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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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大爆発の後

瓦礫の中に焦げたシャロンと葵が佇んでいる。

「シャロン・・・よくやった・・・。お陰で欲しかった情報は手に入れ、ついでに施設ごと俺らが盗んだという情報も削除できた・・・。・・・まさか、削除の方法がこんなにも原始的とは思わなかったが・・・・ゲホッ」

「葵さん・・・そんなところにいたんだね」

シャロンが葵を振り返って見る。

「それより・・・あの爆発によく耐えたな・・・」

「ノーティーエッグズでね」


ノーティーエッグズ【過保護な身代わり様】

これまでの身代わり様とは違い、君を包み込んで守ってくれるよ!


「そうか・・・最近のおもちゃは優秀だな・・・」

「葵さんこそ、何も無いのによく無事だったね」

葵を不思議そうに見上げる。

「一般人に比べて防御力も、耐久力も段違いだからな・・・。俺もまさかこんな爆発に耐えられる程とは思わなかったけど・・・」

シャロンから記録媒体を受取る。

「シャロン・・・そういえばトイレは?」

「引っ込んだよ、そんなの」

何の感情も無く答えた。

「そうか。今日は本当にありがとう。気をつけて帰れよ・・・」

「葵さんもね」

葵は瓦礫の下から部下を回収するためにシャロンに背を向けてふらつきながら歩き出していった。

その背中を見て『なんか十分リトルの仇討ったかも?』なんて思ってしまうほど葵は憐れな姿をしていた。


シャロンは1人でホテルに帰ると入り口に人だかりがあった。

「アスタ様!サイン下さい!」「握手して!」「あなたこそ勇者だ!!」

その脇を抜けて行くと、輪の外でキャメリアが呆れて眺めている。

「キャメリア、これ何?」

「アスタがてっきりシャロンがサイン会を済ませたものと思い込んで油断して、表玄関から出たところを突撃されて今に至るの」

「シャロンはちゃんとサインして来たよ!言われた通り2枚も書いたよ!」

そう言うと指を2本立てて見せる。

「そうなの?ま、何にせよアスタは自業自得ね。てかシャロン、ちょっと焦げてない?」

「クソ!シャロンめ!どこ行きやがったーーー!!」

アスタはサインをしながら悲痛な叫びを漏らしていた。


メリリーシャ郊外にある建物に科学の世界から来たbiancoという闇組織が拠点を置いていた。

幹部のピエロが勢い良く部屋に入ってくる。

「若!rossoやroséに隠れてメリリーシャ郊外に常駐させていた末端組織パンシルの施設が大爆発しました!」

「パンシルの施設が!?大爆発とはどういうことだ!?」

biancoの若が動揺を隠せない。

何せまだまだアスタやチョコくらいの年齢の少年なのだから無理もない。

「それが、原因も含めて全ての情報が消えてしまって・・・。恐らく、爆発はセキュリティによるものでしょう。何者からか情報を守る為に作動したのかと」

「く・・・末端組織だからそう易々とは見つからないと踏んでセキュリティを粗雑にしていたからな・・・」

悔しそうに若がしかめる。

「ここは魔法の世界だ。もしかして、魔王軍にバレたか?魔王軍が浸入してきたのだろうか?」

「それが言いにくいのですが・・・」

ピエロが言いづらそうにするのを食い下がった。

「なんだ?言ってみろ!」

「施設が丸々消える程の爆発の中、辛うじて口を聞ける者がいました。その者に聞いたところ、トイレを探しに来た少女が入って来たと・・・」

腹心の部下の報告に黙って脳をフル回転させる。が、すぐに頭を抱えた。

「・・・ダメだ!状況がわからん!!」

「ええ、私もです」とピエロも同調する。

「しかし、あの施設に浸入されたということは、リリウムの生き残り、novaを嗅ぎつけられた可能性が高いな。rossoやroséには絶対秘密の情報だ。もし、バレたとしたらbiancoの存続に関わる!浸入したのが魔王軍であってほしい!!」

「若、それならきっと大丈夫ですよ」

若が見るからに不安の色を出す。

「何故そう言い切れる!roséやrossoでないという確証はあるのか?」

「落ち着いて考えてみて下さい。トイレを探しに来たなど、あまりにも堂々としすぎています。魔王軍含め、rossoやroséの者だとすれば、きっと誰かに見つかりたくないので、そんなにも堂々とは入らないでしょう。あそこには表通路以外に、運搬用の裏通路もあります。そこを使ったり、組織の1人に紛れるでしょう」

ピエロが微笑みかける。

「以上が、あなたの父上の代から勤めている私の見解です」

「そ、そうだな・・・。悪いな、少し落ち着いたよ」

そして一つ深呼吸をして続けた。

「少女の正体は謎だが、今回の爆発でrossoやroséが何か勘ぐるかもしれない。充分に気をつけよう!」

「かしこまりました」

若は窓から外を見渡す。

「父上亡き後、代々続くbiancoを俺が守らないといけない!」

「若、私も尽力させて頂きます!」

ピエロは頭を下げて一礼した。


一方葵は、瀕死な部下を抱えて遠征基地に戻っていた。

「よぉ、葵。さっきメリリーシャ郊外で大きな爆発が・・・どうしたんだよ?お前も爆発してるじゃねえか!」

唖然とするきしめんを無視して部下を押し付けた後、科学の世界から手に入れた電子機器に記録媒体を差した。

そして流れたアナウンスに驚愕。

《セキュリティサインをして下さい》

「ドチクショウがぁぁぁああ!!」

今までに聞いた事のない同僚の叫びと爆発姿には、きしめんもそれ以上何も聞けなかった。

肝心のリリウム一族に関する情報はというと、シャロンの字で“aster”と書かなくては見られないという厄介なことになった。

当分の間、葵はシャロンを筆頭にパーティに頭が上がらないし、パーティもそれをエサに遊び賃をせしめたという。

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