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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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セキュリティサイン

曲がり角を曲がった時に、ついにシャロンは敵と遭遇してしまった。

「誰だ!!」「何故こんな所に少女が!?」

『敵にバレた!いや、寧ろここまで堂々としていて、今までバレなかったのが奇跡なのか?』

敵もシャロンを見てパニックに陥っている。

「シャロンだよ!おしっ・・・トイレを探しに来たの!」

堂々たる返答に銃口を向けられる。

「ふざけるな!どこの組織の回し者だ?」

「少女を使うとは悪質なカモフラージュだ。ここは魔法の世界だ。もしかすると、魔法で少女に化けているのかもしれない!」

『まあ・・・そう思うのが妥当だよな。まさか本物の少女が本当にトイレを借りに来てるだけだなんて誰も思わないよな・・・』

葵が打開策を巡らせていると、シャロンは不思議そうに銃を見ていた。

「それ、この前もウェストポートでおじさんが持ってた。よく分からないから、何となく伏せたけど、それって何?怖い物なの?」

葵が小声でシャロンに語りかける。

「シャロン、空気中の水分を凍らせろ。あくまで凍らせるだけでいい。あとは任せろ」

「今杖の調子悪いから上手くいくかわかんないよ!」

シャロンが杖を持ったまま、かつてウェストポートで指示されたことのある、降伏したように両手を挙げた。

すると次第に空気が冷たくなった。

「何だ?」「急に涼しくなってきたぞ・・・」

葵が通気口の間からサーベルを突き出し叫ぶ。

「シャロン!伏せろ!!」

シャロンが伏せると同時に葵が雷を発生させた。

しかし、その瞬間に「葵様!?」という部下の声も聞こえた。

だが、もう遅い。

部下ごと雷撃の餌食となった。

「俺の部下がぁぁあああ!!」

悲痛な叫びが虚しく響く。

「葵さん、元気?」

「かろうじて・・・」

葵が隙間から覗く。

「もういい。シャロン、そこに倒れている俺の部下を回収するんだ」

「この人?」と手前の人に近寄り指す。

「違う、その奥の・・・いや、その右!」

もどかしそうに指示する。

「この前、俺の部下の持ち物を詰めた瓶があったろ。それで回収してくれ」

シャロンがビンを持って天に掲げながら聞き返した。

「これ、生きてるモノは入らないから服だけでもいい?」

「良いわけないだろ!あとで俺が回収するからもういい!!進め!」

シャロンが再び歩き出す。

葵も地図を見ながら進んだ。

『クソ・・・余計な手間が増えたせいで道順が分からなくなってきたぞ。だが、作戦の為にはシャロンがいては邪魔だ。早く出さないと・・・』

「シャロン、ここを左に・・・って、あれ?」

見るとシャロンは勝手に真っ直ぐ進んでいた。

「シャロンのやつ、また勝手に!!」

葵が走って追いかける。

「おしっ・・・トイレが限界!!急がなくちゃ!!」

またシャロンが変なところを曲がる。

「あぁ、もう!迂回するか!!」

裏通路の葵は一々迂回してシャロンについて行った。

また、勝手にカードキーで扉を開けて通る。

裏通路の葵はギリギリ滑り込んで通ることができた。

葵が肩で息をする。

「シャロン!ふざけるな!!俺から離れて組織の奴に見つかれば、助けてやれないんだぞ!!」

「葵さん!大変!!」

一旦落ち着き、シャロンと共に見渡す。

「ここ、トイレじゃない!!」

「そういえばここどこだ?」

地図を開いて確認すると、そこは目的の部屋だった。

「ここは!組織の最深部じゃないか!!」

シャロンが股を押さえてもじもじと足を動かす。

「うぅ〜!」

「シャロン、あと少しがんばれ!」

「うん!!」と気張って耐えた。

「本当は部下とやるはずだったが、この際シャロンでもいい!シャロン、そこのスイッチが沢山あるところがあるだろ!」

「これ?」とシャロンが厳かな機械に近づく。

「えーと、システム起動の手順は・・・」

葵が別の紙で確認をしようとすると、システムの起動音がした。

「シャロン、今何をした?」

カードキーをまた天に見せる。

「ドアと同じのがあったから、これ通したら光り出したよ!」

「そうか!俺たちはカードキーの無い前提だったが、これで大分手間が省ける!!いいぞ、シャロン!」

「シャロンに任せてよ!」

褒められたシャロンが得意気になり、調子付いて適当にボタンをやたらめったらと押した。

「おい!やめろ!適当に押すな!」

「あ!青色だ!こっちは黄色!次は緑に光った!!」

葵の制止もきかずにどんどんボタンを押していく。

「バカ!モグラ叩きじゃないんだぞ!セキュリティが作動したらどうするんだ!!」

すると、機械音で《セキュリティサインを解除します。セキュリティサインまたはカードキーを通して下さい》とアナウンスが鳴った。

シャロンがカードキーを通すと液晶画面が光る。

「か、解除した!?」

葵が驚くのもつかの間、シャロンは画面付近にあったペンを手に取る。

そして思い出した。

自分の真の目的を。

「そうだ!シャロン、アスタに頼まれて裏でアスタのサインを2、3枚書くんだった!!」

「は!?」と目を見開いて通気口の穴に近づくが、壁が邪魔でシャロンを止めることはできない。

《新たなセキュリティサインを設定します。サインをして下さい》とアナウンスが流れる。

「わかった!」

「やめろ!シャロン!!」

だがシャロンは止まらない。

画面に“aster”と書く。

《筆跡を登録致しました。新たなセキュリティサインを登録完了。セキュリティを解除しました》

「ど、どうなった!?シャロンが書いたからセキュリティは!?」

慣れない科学の世界の仕組みに葵でさえも理解が追いつけない。

シャロンの目の端で大きなスイッチが光る。

「えい!」と拳で思い切り押した。

「だからやめろって!!」

すると、《秘匿情報》が現れた。

文字数の多さにシャロンが混乱して目を回す。

「わ〜!文字が多いよ!」

「それだ!シャロン!!」

葵も思わぬラッキーに興奮して大きな声を出す。

「シャロン、さっき俺の仲間から盗っていた小さな棒のようなモノを出せ!」

急にシャロンの目が泳ぎだした。

「え?棒?し、知らないよ!」

「嘘吐け!さっきこっそり抜いていたのを見てたんだからな!!手癖の悪いパーティめ!それに、お前が持ってても使い道無いだろ!」

観念してポケットから取り出す。

「そのフタを取れ!」

取ると銀色の接続部分が現れた。

「お菓子じゃなかったんだ・・・」

「それは科学の世界の記録媒体だ。それを画面横の四角い穴に差せ!」

仕方なく差してから、言われた通りにボタンも押していくと、データが入っていった。

「よし、完了だ!よくやった、シャロン!」

シャロンが記録媒体をポケットにしまうと、赤く光るボタンを見つけた。

「わぁ!赤いのがホタルみたいにピカピカ光ってるよ!葵さん!か〜わい〜!!」

シャロンが押そうとしたら透明のカバーがあったことに気づく。

「だからお前は変なものを押すな!」

「押してないよ!手前に透明のカバーがあったの!」

困ったように言うシャロンに葵が引っかかる。

「カバー?・・・容易には押せないようにしているということか?」

葵もセキュリティの固さに興味を示す。

「周りに何か書いてないか?何のスイッチなんだ?」

「特には書いて無いよ。・・・あ!」

「どうした!?」と聞くと、シャロンはカバーを開けていた。

「開いた!」

「なんだ、開いただけか・・・」

シャロンが早速押すと、ブザーが鳴り響いた。

部屋が赤いランプで染まり、騒音を立てる様子に葵も焦り始める。

「ブザーだと!?俺らがバレるかもしれない!シャロン!撤退だ!!」

すかさずアナウンスが鳴った。

《セキュリティ作動。全ての情報を削除します。セキュリティサインを書いて下さい》

画面がまた光る。

シャロンがサインを書こうと再びペンを持つ。

「シャロン!何をやっている!早く出るぞ!誰かが来る!カードキーで開けろ!!」

「ダメだよ!だって、アスタに頼まれたんだもん!サインを2、3枚書くって!!」

「真面目か!!」とつっこんでいる間に《セキュリティサインを書いて下さい》と再度アナウンスが流れる。

走って部屋に近づく足音が複数聞こえた。

「人が来た!!シャロン!何をしている!!戦闘に備えろ!!」

シャロンは“aster”と丁度書き終えたところだった。

《セキュリティサインを認証。セキュリティを作動します。全ての情報を削除します。爆破に備えて下さい》

「爆破!?」

葵が言葉に反応した刹那、大爆発が起きた。

メリリーシャ郊外にある施設は大きなキノコ雲と共に跡形も無く消し飛んだ。

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