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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
42/218

みんなでランチ

昼前にホテルのロビーに集合するパーティ。

「あれ?葵さん今日はいないみたいね」

キャメリアが見渡すが葵の姿が見当たらない。

「葵さんいないと寂しいね」

「そうだな・・・」

そして全員で財布を覗く。

『懐が・・・』

あれだけ四天王の財布をくすめたアスタたちだが、ちゃっかりとお金だけ抜いてノーティーエッグの購入は済ませた。

なのでまた一文なしとなったのはいた仕方ない。

しかし、魔王軍と戦ってノーティーエッグズを使い、その時の戦利品でお金を奪いまたノーティーエッグズを買う。

とんだいたちごっこである。


ランチのお誘いを狙って大使館に向かう途中、チョコと出会った。

「よ!チョコ!」

「あ!みんな!」と気づいたチョコが近寄ってくる。

「今から大使の所行くんだけど、チョコも来ねーか?」

「大使ってロマたち?行く行く!」

チョコを連れて大使館へ向かうとパトロックが出迎えてくれた。

「みなさん!遊びに来てくれたんですか?どうぞ、上がって下さい!」

中に上がるとマタリがカフェラテを出してくれた。

「どうぞ、カフェラテです!」

「わー!ラテアートだ!スプーンもバラの形してる!可愛い!」

「私のも!可愛いわね!」

喜ぶシャロンとキャメリアの前にマタリがひざまずく。

「俺はいつも素敵な方にはバラの形を配る様にしているんです」

マタリがキャメリアの手を握った。

「俺の愛を伝える為に・・・ね」

キャメリアの頬が赤く染まる中、アスタは震えていた。

「どうしたの?アスタ?」

シャロンが聞くと、アスタがバラのスプーンを見せる。

その形を見たマタリが凍りついた。

「実は僕のも・・・」とチョコも見せるとバラの形をしていた。

「あ・・・そういう人もいるもんね」『これが噂のバイセクシャルか』

「愛の形は人それぞれだもんね」『確かに女性限定の愛とは言ってないもんね・・・』

「いや!違っ!男にはパンジーを配ったはず!!はっ!!」

マタリが気づいて後ろを見るとロマがドアの隙間から覗いていた。

そっと閉じ、クスクス笑う声が聞こえる。

『あンのクソガキー!取り返しがつかねーイタズラしやがって!!』

「おいロマ!この野郎!」

ロマを追いかけて部屋を去っていった。

「マタリって前から極度の女好きだと思ってたけど」

「どっちもいける人だったのね」

「さすが都会。多様性に富んでるね」

カフェラテを味わっていると、パトロックとリントンが入ってきた。

「みなさんお昼ご飯に今から行きますが、ご一緒しませんか?」

「僕らのオススメのレストランなんだ!」

「嫌だよ!こんな奴らと行きたくない!」

マタリに首根っこを摘まれながら現れたロマが不満を見せる。

「いいじゃねーか!みんなで行こうぜ!」

「どうです?ご一緒に!」

パトロックに再度聞かれるとパーティがヘラヘラと笑いながら答える。

「えー、悪いなー!」

「そんなつもりはなかったんだけどぉ!」

「皆がそう言ってくれるのなら遠慮なく!」

横で聞いていてチョコが呆れながら驚く。

「悪いと思うんなら帰れば?」

容赦なく言うロマに「そう言うなって!」と返し、アスタがチョコの肩を組んでを指した。

「ほら!男の憧れと飯食えるんだぞ!」

「わ!」とチョコがバランスを崩す。

「よし、行こう。マタリの財布で」

急に意見を変えるロマ。

「バカ、経費だよ!」

「経費をあまりあてにしないで下さい!」

パトロックがマタリに怒った。


そして、みんなで外に出て大使オススメのレストランに着いた。

「ここが俺らの贔屓ひいきにしてるレストラン、サンスベリアだ!」

中は20席程の小さな個人店だが、賑わっている。

「おーい、ビストート!来てやったぞ!」

厨房からシェフの格好をしたマタリぐらいの年齢の男性が出てきた。

「なんだ、また税金泥棒共か!」

「なんだと!」とマタリが怒ると、パトロックが止める。

「ケンカはよしてください!ビストートも口が悪いですよ!」

席に着くとビストートが注文を取りに来た。

マタリがビストートを指し、みんなに紹介する。

「紹介するよ。こいつは口は最悪だが、腕だけは良いサンスベリアのシェフ、ビストートだ!」

「お!今日は女もいんのか!」

「おい、レディに向かってその言い方はなんだ!!」

マタリが起こるが、お構い無しに女子2人に喋りかける。

「メニューにしてない試作中のだけど、レディース限定のメニュー食うか?まけとくよ!」

「へー!食べたい!」

「じゃあ私もそれで!」

あとはアスタとロマはAランチ、チョコとパトロックはBランチ、マタリとリントンはCランチを頼んだ。

前菜のサラダが出た後にランチのパスタが出てくる。

「はいよ、Aの水菜とトマトのアーリオオーリオバヴェッティーネ、Bのブカティーニ・アマトリチャーナ、Cのサーモンのクリームソースフェットチーネだ」

また、少ししてから女子の分を運ぶ。

「試作中のメニュー、サーモンとモッツァレラチーズの豆乳トマトクリームソースジャガイモのニョッキ」

「美味しそう!」

「豆乳なんだ!ヘルシーそうね!」

その喜ぶ反応に得意気にする。

「だろ?豆乳使ってパスタソースを作れば小太りの女共が釣れるだろ?」

その言葉に女子がフォークを掴まなかった。

「まあまあ、この口の悪い人の言うことは気にせず食べて下さい!」

パトロックが気を利かせて言うとアスタが店内を見渡して疑問をぶつける。

「そういえばビストート1人で経営してんの?バイトは?」

「いねーよ」

「バイトはこのバカの口が悪いからすぐ辞めちゃうんだよ」

マタリの言葉でまた喧嘩する。

「根性無しが多いんだよ!最近のは!」

「お前の根性が腐ってんだよ!」

「この人よく店やってられんな・・・」

隔離され世間知らずのアスタさえ、さすがに呆れていた。


食後はカフェが出てきた。

「ねえねえ、ドルチェ食べる?」

リントンが聞くと女子が「食べる!」と声を揃えて答える。

メニューを取り出して見せてあげる。

「ランチメニューのドルチェはこの3つの中から選べるんだ!」

「シャルロットって何?」とシャロンがビストートに聞く。

「女性の帽子に見立てたケーキだ」

「ビストートは性格に似合わずそう言う小洒落たのを作るんだよ!」

マタリの皮肉をよそにビストートの説明でシャロンがはしゃいだ。

「可愛い!シャロン、シャルロットがいい!」

「じゃあ私ティラミス!」

パトロックが男子にも聞いた。

「アスタとチョコはいりませんか?」

「俺らはいいや」

「ありがとう!もう、お腹一杯なんだ」

シャルロットとティラミスが運ばれる。

「シャルロット綺麗!」

「お皿に粉砂糖で字が書いてる!」

一口食べると甘すぎないで、食後のカフェに合うような味がした。

「美味しい!」とシャロンは頬を押さえる。

「ティラミスも甘さが絶妙ね!」

「これもビストート1人で作ってんの?」

「そうだよ!」とリントンが答える。

「カフェもしてたし、ビストートって何でもできるんだね!」

ビストートが伝票を置きに来た。

「ま、料理人にはこれくらいは必要なスキルだ」

「お前の場合バイトがいないから全部1人でやってるってだけだろ?」

「バイトの募集要項にラテアートができる人って書いてますもんね」

店内の求人をパトロックが見る。

「結構満足の量があったし、美味しかったけどいくらぐらいなの?」

「高そうだよね・・・」

「僕らがお誘いしたんだし、払いますよ!」

アスタが伝票を開くと目を丸くした。

「嘘だろ!?あんなに食べたのに!」

「1人たったの銅貨ワンコイン!?」

「ドルチェはさすがにプラスαもらってるけどな」

ビストートがしれっと答えると、チョコが驚きを隠せないまま聞く。

「安すぎない!?」

「こういう安くて量の多い料理を作れば卑しい豚共が食いつくからな」

再度の暴言にアスタとマタリが呆れる。

「本当、口悪いな。このシェフ」

「こいつは料理の腕だけで持ってるような男だ。あと夜は要注意な!値段が急に牙を向くから!」

アスタが水を飲むと温かった。

「ぬるっ!!」

「あ!それ僕のです!!」

パトロックに返す。

「ごめん・・・。でも、何でこんな温いのなんか・・・」

「白湯です!」と照れながら答える。

「こいつ健康オタクなんだよ」

「体に良いからっていつも白湯用意して貰ってるの」

マタリが親指で指し、リントンも言うと「冷たいのは体に悪いので」と言い、さらに錠剤を飲み始めた。

「何飲んでんの?」

「サプリだよ。足りない栄養補ってんだってさ。ジュースは100%じゃないと飲まないし」

「脂質と糖質多いからってケーキも付き合ってくれないし!」

「へー、健康に気をつけてるんだね!」

つまらなさそうなロマやリントンと違ってチョコが感心する。

「気持ち悪いよな、こいつ」

「そこまでは言わないけど・・・まあ、気持ち悪いな」

最後までビストートの口の悪さが炸裂した。


食後みんなで外に出る。

「ごちそうさまでした!」とパーティが大使達に礼を言う。

「いえいえ。素敵なレディ達とお食事ができて嬉しい限りです!」

「何でこいつ病気になんないんだろうな」

ビストートが外に出てきた。

「黙れ!お前は一生結婚できねーよ!」

「ビストート、美味しかったよ!」

「また来ます!」

気の良いリントンとパトロックにさえ「おう!次来る時までに地元に税金返しとけよ!」と口悪く返す。

「終始口悪いね、このシェフ」

「それじゃ!俺らはここで!」

「また遊びに来て下さい!」

「チョコ!また来いよ!今度は1人で!」

ロマが嬉しそうに言う。

「うん!またお話ししようね!ロマ!」

4人で歩いていき、チョコとはあすなろ荘の前でお別れした。

「美味かったね!」

「あそこなら何とか行けるんじゃない?」

「そうだな!」

財布を開けて確認する。

「そうでもないな・・・」

そっと財布を閉じたら、アスタが提案した。

「なぁ・・・ちょっとギルド行って依頼受けないか?きしめんやパルフェの財布分も四天王と戦う用に補充したノーティーエッグズ代で消えたし・・・」

「いいわね!ギルド申請してみましょう!!」

パーティがメリリーシャのギルドまで足を運ぶ。

受付にて申請を行った。

「え!?登録料がいるの!?」

3人が話し合う。

「どうする?全然無いけど・・・」

戸惑う2人に「フフフフ・・・」と不敵にシャロンが笑う。

「これ、あるよ!」

見せつけたのはきしめんとパルフェの財布だった。

「いやいや、もう中身無いって!」

「ちっちっちっ!これを見てもわからないなんてアスタはお子ちゃまだなぁ!」

シャロンの口振りに少しイラつく。

「あ?」

「まあまあ・・・で?シャロン、それどうするの?」

キャメリアの質問に自信満々に答えた。

「これ、質屋に入れよう!!」

まさに目から鱗の提案だった。


一方、四天王達。

「あーもう!葵!あの財布私のお気に入りなの!どうにかして取り返せない?」

「俺のだって最近買った良い財布なんだよ!何とかならんか?」

葵が2人に揺らされ問い詰められていた。

「・・・質屋でも探してみたら?」

本当にあった。

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