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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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祝勝会

葵と別れ、コロシアム付近をブラブラと歩いているとチョコレート・リリーと出会った。

「あ!チョコ!」

「やあ、みんな!」

アスタの声かけに手を挙げてチョコが挨拶をする。

「なんかほっぺ怪我してんぞ?」

チョコが頬を抑えた。

「あぁ、さっきから痛いと思ってたらやっぱり怪我してたんだ・・・」

「その荷物は?」

キャメリアが指差すと持ち上げて見せた。

「なんだか重そうね。そんなの持って観戦してたの?」

「いや、これは・・・」

カバンを開けるとマントや仮面が出てきて、広げて見せるとブラックサレナの衣装だった。

「ブラックサレナの衣装だよ!」

「はぁ!?え!?」

「ブラックサレナって!」

「チョコだったの!?」

パーティの反応にチョコが慌てる。

「あれ?知らなかったの?」

「し、知らんかったぁ〜!!」

3人で声を揃えて驚いた。

「僕はコロシアムの賞金をあすなろ荘に入れてるんだ!それに、ここで勝って有名になればどこかにいる父さんや母さんに僕のこと知って貰えるかなって思って!」

「そっか、前向きね!」

話しているとチョコが後ろから肩を組まれた。

「サレナ!よくもやってくれたわね〜!!」

「サレナ!優勝おめでとう!」

どうやらさっきのコロシアムの選手のようだ。

「2人とも大丈夫?金的と締めはやりすぎたね・・・」

「バーカ!あんくらい慣れっこよ!」と言うキャメロットに対し、フィストは苦笑いで「金的は結構くるけどな・・・」と答えた。

「あはは・・・ごめん」

「それじゃあね!」「またな!」

2人を手を振って見送る。

「はー、意外と仲良くしてんのな。選手同士って・・・」

「そうでもないよ。あの2人は気さくな方なだけ。ほら・・・」

視線の先では遠巻きに開始すぐにチョコにやられた2人の選手がこちらを睨んでいた。

「・・・そうよね。これがきっと普通なのよね」

「チョコも若いのに大変だな」

シャロンが1つ手を叩いた。

「そうだ!チョコのお祝いしよ!昨日リントンが紹介してくれたノットでさ!」

「お!いいね!」

「そんな!ノットって高いでしょ!」

手を振ってチョコが遠慮する。

「大丈夫よ!私達、臨時収入(パルフェの財布)があるから!」

キャメリアがニヤニヤと笑っていた。


ノットに行くとリントンとロマがいた。

「あ!大使らも来てたんだ!」

近くの席に座る。

「こんにちは!」

ロマが鬱陶しそうに大きなため息を吐く。

「なーんだ。こいつら来るなら別に来なくてよかったじゃん」

「まあまあ、それは結果論だし。それに僕のおごりなんだからさ!」

「どういうことなの?」とシャロンが聞く。

「この前は言ってなかったけど、ここはお一人様お断りなんだ」

「へー、都会のカフェってそんなんなのね」

「全部が全部じゃないよ!ここはそういうコンセプトってだけ!」

「・・・ん?つかそいつ!」

ロマがチョコに気づいて指す。

「ブラックサレナじゃん!!」

「やっぱり有名なんだ!チョコ!」

アスタが驚いて見ると、チョコが照れていた。

「チョコの祝勝会しに来たんだよ!」

「そうだ!お2人もご一緒にいかが?」

キャメリアの言葉を聞くなりロマが迷わずチョコの隣に座る。

「勿論!」

「ご一緒する!」

ロマがアスタに質問する。

「ブラックサレナと何で知り合ってんの?」

「ちょっと色々あってな!しかしロマの食いつき様を見たらわかるけど、やっぱ凄い奴だったんだな、チョコって!」

「当たり前だろ!負け知らずのグラディエーター、男の憧れだよ!」

ロマの言葉にみんなで感心した。

「や、やめてよ!恥ずかしいよ!」

「あはは!そんなに謙遜すんなって!」

アスタがバシバシ叩いているとロマがアスタに親指を指して共感する。

「そうそう!ここにいるポンコツとは違って、実力あるんだから!」

「そうそう!俺らみたいなポンコツと違っ・・・」

途中で気づいてロマを追いかけていった。

そんな2人をよそにリントンが口を開く。

「最近さ、このメリリーシャの街の近郊にも魔女が住み着いたり、魔王軍が入ってきたりしてて怖いけどさ、チョコみたいな強い人がいると安心できるね!!」

「ああ、今日もたしかコロシアムの開始直前に爆発とか火柱とかあったんだよね?」

チョコがコーヒーを飲みながら聞くとキャメリアが頷いた。

「ええ、たしかにあったわね」

「あれさ、聞いた話だと魔王軍のきしめんとパルフェが関わってるって!!」

いつの間にか帰ってきたロマが口を挟む。

その後ろでアスタは黙ってバツが悪そうな表情をしていた。

「魔女もいるの?」とシャロンがリントンに質問する。

「そうだよ!最近越してきたカラの魔女が郊外の丘にある家に住んで何故か毎日雨を降らせてたり、街の隅の方にあるスラム街にも人食い廃墟があって、噂では人形の魔女がいて迷い込んだ人を食べてるって聞いたよ!」

「あとさ、あとさ!!牢獄の魔女が薔薇の花園作ってるとか、居城にしてる廃墟があるとか言うよ!!」

「魔女めっちゃいるじゃん!!」とアスタが驚く。

「なんかわからないけど、嫌な予感がするんだ。エディブルの花園から移住してそれなりに経つけど、ここ最近の変動には不安を覚えるというか・・・」

元気なく言うリントンにロマが「大丈夫!!」と行って立ち上がる。

「いざという時は僕が大使館のみんなを守ってやるさ!!それに、チョコもいるからさ!大丈夫だって!!」

「ありがとう。頼りにしてるよ!」

兄が弟の無知からくる自信を認めてあげるような、そんな口調からはやはり不安の色が残っていた。


祝勝会が終わり、解散する。

パーティでホテルに向かって歩いているとキャメリアが忘れ物に気づいた。

「あ!ホテルのカギの交換用バッチ忘れて来ちゃった!!」

「えー!何やってんの!」

「早く取ってこい!」

口々に非難を受け、膨れながらキャメリアが取りに戻った。

「まったく!キャメリアは何やってんだ!」

アスタが文句を垂れている横でシャロンは標識を見ていた。

『A-251番地・・・A?番地?』

「あー!!忘れてた!!」

アスタがビクッとするや否やシャロンが走り出す。

「ちょっ!どこ行くんだよ!?」

「A-464番地!」

追いかけてアスタも走る。

「は!?何で!?」

「約束したの!!」

突っ走るシャロンの足は早かった。

「誰と!?」

「えーと、えーと・・・フェットチーネ?だっけ?とにかくそんなのと!!」

「わけ分かんねーよ!!」と大声で叫ぶ。

ひたすら走り、A-464番地にシャロンが着いた。

「お待たせ!来たよ!!」

「あ?」と男の声が聞こえる。

なんと、待ち合わせ相手というのはきしめんだった。

きしめんも突然現れた目の前の少女をどう取扱っていいか困っている。

「お前誰だよ?」

「シャロンだよ!昨日電話した!夕方まで待っててくれたんだ!」

堂々と答えるシャロンに「はぁ!?」と聞き返した。

そんなシャロンに戸惑っているとまた別の声がする。

「シャロン待てよ!」

アスタは角を曲がったその先の光景に絶望する。

きしめんもやって来たアスタを見て思わず立ち上がった。

「あ!お前は!!」

「シャロン・・・それはフェットチーネやない。きしめんや・・・」

アスタの頬には一筋の絶望の涙がきらめいていた。

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