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月桂樹の冠,  作者: 叶笑美
メリリーシャの街
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葵の写真

シャロンはジュースやら食事をした後、言いつけ通り葵の部屋にいた。

大きなあくびを一つする。

「ふぁ〜ぁ・・・眠くなってきたな・・・」

そしてベッドで横になると、ものの数分で寝てしまった。

しかし、すぐに葵のケータイが机の上で鳴り響く。

「んぁ・・・すぐ出ます!!」

シャロンが寝ぼけながらケータイを手に取る。

「むむ?・・・き、し、め、ん?」

通話ボタンを押して耳に当てた。

「葵、そろそろメリリーシャに到着したか?」

ケータイから出てくる声を半分虚ろに黙って聞く。

「明日の昼すぎにA-464番地まで来てくれ。メリリーシャでの拠点まで案内する。それじゃあ」

「りょうか・・・」

シャロンの言葉の前に電話は一方的に切られていた。

「んん?切れた。ま、いっか」

ケータイを机に置いて再び寝た。


アスタ達がパルフェを埋めた場所を離れるため、映写機の写真を抜きながら路地を出ようとしたら葵がいた。

「葵!」

「お前らの様子が変だとシャロンが言っていたので探しにきた!」

何だか穏やかではない雰囲気を感じる。

「葵さん、何で怒ってるの?」

「さっきの会話を聞かせてもらった。パルフェと戦闘をしていたようだが、何故俺の写真を持っているんだ?」

睨まれてアスタが慌てる。

「しかもそれをパルフェに一度渡したのか?」

「えっと、それは・・・」

静かに怒る葵がサーベルを抜いた。

「仲間の仇・・・とでも名目上言っておこうか。悪いがこれ以上はお前らの好きにはさせられん!」

そして襲い来る葵のサーベルを必死にかわす。

「その写真を返せ!人の写真を悪用しやがって!!それもタチの悪いストーカーに渡したな!!」

サーベルを振って雷を出した。

「きゃ!」とキャメリアが悲鳴を上げしゃがむ。

「落ち着け!」

「落ち着いてられるか!お前らにこれ以上害を与えられるのはごめんだ!!」

さらにアスタに向かって振り、追い詰めた。

「わ!!」

アスタの背には壁があり、サーベルは喉元につきつけられていた。

「ここで始末してやる!!」

両手を挙げて無抵抗なアスタに葵は容赦無く睨みつける。

「悪かったよ!そんなに写真を渡されるとマズいだなんて思わなかったんだよ!!」

「ストーカーに写真を渡してマズくないわけないだろ!!」

怒鳴られて怯むが弁明のため言い返した。

「でもちゃんと回収する気だったんだよ!マジで!」

キャメリアもそこにフォローを入れる。

「そうよ!それに、葵さんがメリリーシャに来ていることは私達ちゃんと内緒にしたわ!!」

「そう!だから許して!!」

「だが、一度渡したのも事実だ!」

葵が構えてアスタ目掛けて突くと、咄嗟にしゃがんで避けられた。

サーベルは写真を刺し、流した電流によって燃え、灰となった。

アスタがその様子を見て安堵のため息を吐く。

「・・・よかった。これが一番の解決方法だ」

キャメリアが近寄る。

「葵さん、写真は無くなったわ。これでもう私達が葵さんに害を与える要素は無くなった。それに、私達地元から出たばかりの世間知らずだからストーカーがどれほどのものかわからなかったの。これを機に肝に銘じるわ。だから許して頂けないかしら?」

不服そうにはするが、危険因子の排除ができ冷静さを取り戻してサーベルを納める。

「今回だけだからな。次は無いと思え」

「よかった・・・」とアスタは尻もちをつく。

「ありがとう、葵さん!」

礼を言うと葵は背中を向けて歩いて行った。

パルフェの救助要請のため、部下に電話をしようと思いポケットを探すが部屋に置いて来たことを思い出した。

「あれ?・・・部屋に忘れたか。まあいい。後で救助要請をしてやろう」

一方、パルフェは穴が深くて電波が入らなかった。

「もー!!電波が入んない!これじゃあ救助要請できないじゃない!!あのガキども小賢しいわね!!」

悔しそうに上を睨んでいた。


3人でホテルに帰る。

「そういえばシャロンは?」

「自分の部屋に入れないから俺の部屋にとりあえず待機させている」

葵の部屋に入るとシャロンがベッドに大の字で寝ていた。

「シャロン起きろ!」

「えー!もうちょっとぉ〜!」

寝言を言うと寝返りを打って葵に背を向ける。

なかなか起きないのでさらに揺する。

「シャロン!アスタとキャメリアが帰って来たぞ!」

「むぅー。また今度でいいよぉ」

少しずつイラ立ち、「シャロン、ご飯の時間だぞ」と小声で言う。

「はい!シャロン起きます!!」

その言葉で途端に起き上がり、敬礼をするシャロンに3人は呆れた。

その後部屋からパーティを追い出し、1人で新聞を見る。

そこにはブラックサレナの特集が組まれていた。

「グラディエーターのブラックサレナ。メリリーシャの英雄か。・・・滞在中に少し調べておくか」

新聞を置いてふと思い出す。

「ところで、あの写真って何であいつら持ってたんだ?完全なカメラ目線の全身なんて、撮った覚えがないのに・・・」

葵は一抹の不安を覚えた。


後日、イナリは必死で探し物をしていた。

「無い!無い!どこにも無い!!」

「どうしたんだ?そんなに慌てて」と仲間が聞きに来た。

「あ、いや・・・大丈夫!大した事じゃないよ!!」

「そう」と仲間が去ると、また探し始める。

「やっぱり無い!!俺の宝物、葵様の全身写真!!あれ高かったのにー!!」

魔王軍内で四天王の人気は非常に高く、特に葵はファンの多さから、盗撮写真や監視カメラから写真化されたブロマイドが組織内で裏取引きされていたことを葵は全く知らなかったという。

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