ノーティーエッグズ
大使館から出たパーティ。
「なあなあ!ケーキの前にさ、さっきロマが使ってたノーティーエッグズ買おうぜ!」
「いいわね!それで葵さんをはめて強請ってやりましょ!」
アスタ、キャメリアの気持ちは都会のおもちゃに移ろいでいた。
「えー!ケーキ屋さん行こうよ!!お腹空いた!!」
はしゃぐ2人に対してシャロンが不満を垂れる。
「もう気分がノーティーエッグズだから俺はケーキいいや」
シャロンがアスタの袖を引っ張り店を指差した。
「じゃあせめてクレープ買ってよ!!」
その先を見るとそこそこ並んでいる。
「えー!並んでんじゃん!!シャロン1人で並べよ。俺ら斜向いのおもちゃ屋で先に見て待ってるよ!」
シャロンは頰を膨らませながらお金を貰って並びにいった。
おもちゃ屋に向かった2人はその手前で、イナリと遭遇した。
「お前ら!!何でここにいるんだよ!!」
「別にいいだろ!観光だよ、観光!!」
アスタがふてぶてしく答えると、「二度と俺の目の前に現れるなよ!!」と言い捨てて、肩をぶつけながら通り過ぎる。
「いってーな!!」
「何よあいつ?」とキャメリアも鬱陶しそうに見るが、アスタは笑っていた。
「何笑ってんの?」
アスタが「じゃじゃーん!」と言って見せたのはイナリのポケットからスった二つ折のパスケースだった。
「なーんだ。財布じゃなかったか・・・」
がっかりしつつ開けると、中には葵のブロマイドが入っていた。
「ワォ!」
「うわぁ・・・・・・」
2人はストーカーの真価を覗き見した気分になった。
アスタ達がノーティーエッグズを探す。
「これいいんじゃね?静電気発生装置!」
「いいわね!この蜘蛛の巣もありよ!葵さんの動きを封じましょ!」
あれこれ言い合いながら物色する。
「いたずらした後の逃走経路も大事だな!これも買おう!」
「そうね!色々買いましょう!」
シャロンを待たずに購入し、外へ出る。
「いや〜、いい買い物したわ!」
「これで葵さんから財布を奪ってやれるわね!」
「葵がどうしたって?」
2人が声に振り返るとパルフェがいた。
「パルフェ!」
「どうしてここに!?」
驚いて固まる2人に更に威圧する。
「仕事よ、仕事!それより、あんたらに聞きたいことがあるの!」
「な、何だよ?こんなしがない田舎出身の少年少女に何の用だよ?」
「私たち、四天王様に問い詰められることなんて何もないわよ?」
「スーベニアはどこ?」
2人はメリリーシャに来る前のウェストポートの街での出来事を思い出す。
『そうか!あいつはパルフェの部下だった!!』
『よくも上司と部下で同じ人に同じ熱量のストーカーができるわね!アスタ!お願いできる?』
「スーベニア?あー、たしかウェストポートにいたな。資料館で攻撃されたけどさ、あの時葵が2人のスーベニアに付けられたリボン外したんだよな?」
「そうそう、なんか攻撃されてたけど、それ以降私たちの前に姿を現してないわよ。だからどこかなんて知らない!」
パルフェは疑問に思いながら黙って考える。
『葵が間違えて外すかしら?それはこいつらの嘘として、スーベニアが行方不明になったのは?まさか葵の報告にあった科学の世界の組織にやられた?』
そんなパルフェの様子を見て好機と捉えた。
『お!いけるぞ!』
『たたみかけましょ!!』
「それじゃあ、俺たちそろそろ行くな!」
「シャロン待たせてるし!それじゃ!」
「待ちなさい」と声をかけられる。
背中を向けていると、興奮気味にパルフェが聞いてきた。
「葵はこの街にいるの!?」
目をランランとさせて聞く姿に2人は一歩退がった。
『葵の話を覚えてたか!!』
『そういえばパルフェは、ヤバめのストーカーだったわよね!!』
2人が体勢を整える。
「葵がこの街にいるかは知らねーよ」
「嘘よ。さっき葵の名前が出てたじゃない。それに、葵も近々仕事で来るのを知ってるんだから!」
「次に会ったらの話をしていたのよ」
2人して知らないフリをする。
「なーんだ、まだいないの?で、次に会ったら何するって?」
「別に」「何も」と言ってパルフェから目をそらした。
「葵の財布を奪ってどうするの?」
2人が汗をかいて黙る。
「仲間が危害を加えられそうになってるのを黙認するわけにはいかないわね!前回のこともあるし、始末させてもらうわ!!」
パルフェがナイフを構えたら、アスタが短い紐を投げ渡した。
突然渡された紐を反射的に手で受け取ると、紐が手首に巻きついて封じられた。
ノーティーエッグズ【渡し紐の逆襲】
紐を投げ渡すと、受け取った相手の手首に巻き付くよ!
これで相手を制してたこ殴りにして反撃だ!!
「何よこれ!!」
引っ付いた両手を見る。
「今だ!行くぞ!」
キャメリアが後ろに回り、必死に紐を解こうと奮闘する背中を押し倒した。
「きゃ!」
この隙に2人して逃亡する。
「こンの!!」
しかし、パルフェが思ったより早く紐を解いてしまった。
「来たわ!!」
キャメリアが振り返って追いかけて来るパルフェを見た。
「あの紐すぐ解けすぎだろ!!」
「バカね!私達は縄抜けくらいできるわよ!!」
逃げきれないと悟った2人がパルフェと対峙する。
アスタが刀に手をかけたが周囲を見渡して抜くのをやめた。
「あなたの武器は人通りの多いこの街じゃ不利ね!」
「くっ!確かに・・・」
キャメリアが張り子を両手で包む様に持つ。
「アスタが不利でも、私のはいけそうね!ラエビガータ!!」
ラエビガータの能力で霧を出した。
周辺の人たちが不思議そうに辺りを見渡す。
「何だ?」「急に霧が・・・」
霧が次第に晴れると2人はいなくなっていた。
「霧と人に紛れたわね。そんなんで私から逃げられると思わないでよ!」
パルフェをまいた2人は人通りの少ない路地へと入った。
アスタとキャメリアが小さな人形を握って捨てると大きくなり、2人にそっくりの姿になった。
ノーティーエッグズ【安価分身様】
握って捨てると自分そっくりの人ができて、相手を翻弄できるよ!
安価だから喋らないし、ひたすらジョギングするだけの分身だよ!
「あともう2体は買ったらよかったな!」
「仕方ないわよ!お金無かったし、二手に分散するだけでもましよ!」
分身と別れて逃げる。
だが、角を曲がると目の前にパルフェが立っていた。
「ど・う・も!」
「な、何で!」
「逃げるわよ!」
引き返してさらに走る。
そして入り組んだ路地を何度も曲がって逃げた。
「もう来てないな!?」
「ええ、なんとか!」
しかしまた目の前にパルフェが現れた。
「お疲れ様!」
「何なんだ!?」
「分身をわざとゆっくり走らせているのに何で私達をピンポイントで見つけてくるのよ!!」
一方分身様はシャロンと合流していた。
「お待たせ!アスタ、キャメリア!」
2人が黙ったままジョギングする。
「何してるの?」
尋ねるシャロンを無視して全く答えない。
「ねえってば!!」
無言を貫く2人に腕組みをしてそっぽを向く。
「2人とも嫌い!」
しかし、まだ黙っている。
シャロンは次第に涙を溜めてホテルへと向った。
「葵さーん!!」
オリジナル2人はまた路地を走っていた。
「とにかく逃げるぞ!!」
「建物が多い分路地も多くて助かるわ!!」
走っているとナイフが飛んできて、キャメリアのスカートを壁に刺した。
「キャ!」
「もう逃がさないわよ!」
キャメリアがステファニアを召喚し、ツタを伸ばすが届く前に切られてしまう。
すかさずアスタも刀で切りつけるが、避けられ刀身を踏まれた。
「この狭い路地じゃあ太刀筋が限られて読みやすわね!ま、元から素人のあんたの太刀筋なんて何ともないけど!」
その間にキャメリアはナイフを抜き、パルフェ目掛けて投げ返した。
そのナイフを指で挟んで止める。
「逃げるのやめて戦闘体勢に入ったってことは、2人なら勝てるとでも思った?おこがましいわよ!!」
パルフェが両手に一杯ナイフを構えた。
「これでおしまいよ!!」
キャメリアが路地の奥を見て叫ぶ。
「葵さん!助けて!!」
「葵!?」とパルフェが振り返ると葵が路地の奥に立っていた。
「今の内よ!」
「おう!!」
葵に気を取られているうちに2人が逃げた。
「あ!・・・まあいいわ。葵、もう着いたのね!早いじゃない!手伝ってくれない?あの子達あなたに危害を加えようとしていたわ!」
パルフェが話しかけても葵は黙ったまま立っている。
「ねえ、葵!黙ってないで何か言ってよ!」
近づくと壁に映像が映されているだけだった。
「何これ!映像!?」
足元を見ると小さな機械があり、葵の写真が差し込まれていて壁に映し出されている。
ノーティーエッグズ【虚栄の虚像】
写真を差し込めば映像として壁に映せるよ!
割と立体的に写し出されるからこれでいじめっ子の弱点の人を映し出して怯えさせよう!!
「やってくれたわね!!逃げても無駄よ!」
パルフェが映写機を持ち上げる。
「ま、これは有難くいただくとして♪」
大切にしまった後、手に持っていた双眼鏡を覗く。
「見ぃつけたっ!」
不敵に笑うとパルフェは路地を走り出した。
「私の能力からは逃げられないわよ!」
アスタとキャメリアが路地を必死に走る姿がパルフェの双眼鏡にはしっかりと写っていた。




