希望のトルマリン(短編版)
きっかけはある1人の芸能人が明かした一つのギネス記録だった。
【暗殺をされた回数】この記録を持っているのは今年16歳になる高校一年生の少年だった。小学生の頃から子役や俳優として活動していた彼は小6の秋に単身アメリカに渡り、向こうで俳優として活躍した。そして今年日本に戻ってきて、ゲイを公表している俳優としてコメンテーター等様々な仕事をしてきた。
そして、とあるバラエティーの企画の一つでこのギネス記録を公表し、そのエピソードとそこから考える最も人を殺した暗殺について述べた。
その言葉が日本のみならず世界にも大きな波紋を与えた。
「はい!ということでさらっと衝撃の事実が明かされた所で、っていうか突っ込みどころがありすぎるんですけど、次の企画に進みます。その名も【暗殺された回数のギネス記録を持っている◯◯君に聞く!一番の暗殺ってなに?】です!
いやーぶっとんだ企画ですよね。では、早速聞いていきましょう、何か思い付くのはありますか?」
そう司会者から振られて、最近の暗殺に多い手口でこの世で最も人を殺したものなんですけど……と話し出した。
『俺が考えるこの世で最も人を殺した暗殺は人間の言葉ですね。
日本にはこんな言葉がありますよね?
《言霊》言葉に宿る力で発せられた言葉はその通りの状態を実現させる力がある。
まさにその通りで悪意ある言葉は簡単に人を殺してしまうんです。
今はSNSがあるのでより簡単に人を殺す言葉を気軽に発信してしまえる。顔が見えない、身バレがしない、自分の事を知らない…だからよく考えずに書いてしまう。そして、それは暗殺者にとって格好の道具になる。うまく唆したり誘導して人を殺す。今は武器を使った暗殺ではなくネットを使った暗殺が主流になりつつあります。
ネットやSNS上での誹謗中傷に対する厳罰がないのもこの流れをさらに加速させる原因になっています。
さらに暗殺者は唆したり誘導しているだけで本人は誹謗中傷をしていないので捕まることがないのも一つの原因ですね。』
「いやー怖いですね。実際に起こったそのSNSを使った暗殺って何か知っているんですか?」
◯◯はしばらく考えた後
『俺が知っている手口の一つでこういうのがあります。
SNSで日頃から誹謗中傷をしている人を三人選びそれぞれに1人アンチコメントや悪意ある書き込みをするよう誘導して、実際にその対象を自殺させる。それを何人か繰り返した後誹謗中傷の証拠と住所や顔等の細かい個人情報を大量に用意して、お前がこいつらを殺したと突き付け、本命のターゲットの誹謗中傷をするように命令する。
三人は、自分が誹謗中傷をして人を殺したなんて他人に言えるわけがないので指示に従うしかない。
それでも逃げるのがこんな誹謗中傷をするような人間です。
逃げたら大丈夫。安易にリスクを考えない。だから、暗殺者によって個人情報(住所家族構成家族を含む職場や学校の場所に親しい友人の個人情報。今までのアンチや誹謗中傷の証拠、更に過去の犯罪や罪など詳細)を晒される。そしてこの時点でやっと理解するんです。もう逃げられないと。』
そして、番組はエンディングへと進む。
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