第1章 国王からの招待状
テンプレてんこ盛り第二弾!
以前の作品『社交だけを求められた白い結婚でしたが、何故か王宮の夜会でお古のドレスを着ろと命じられました。私の侯爵夫人としての評判はガタ落ちですが、これって契約結婚の意味ありますか?』と比べるとタイトルの長さも文字数も三分の一ほどにまとまった作品が仕上がりました。
テンプレだけど、一応オリジナルな話になっているとは思うですが、違っていたらスミマセン!
順次投稿していきます。読んで下さると嬉しいです。
キツイコメントは、豆腐メンタルなのでご遠慮下さい。
ホーズボルト辺境伯のところに、一通の招待状がもたらされた。それはアイナワー王国のライオネル国王からの個人的なお茶会のお誘いだった。
今までどんなパーティーの招待状も全て完全無視してきた辺境伯だったが、今度こそ有無を言わさぬぞ、とばかりに国王の側近が直々招待状を携えてやってきたのだ。
一体今更なんなのだ! いい迷惑だと辺境伯は思った。しかも家族揃って来いとはどういう了見なのだ。
「辺境伯家が家族揃って国境の砦を離れられるわけがないではないか。陛下は国防の重要性を理解されていないのか?」
と使いの者に怒鳴ると、それではせめて奥様とお子様達を!という。
「妻子を人質にでもする気か!」
と思わず本音が出たが、敵ではない自国の王に対してその物言いはさすがに聞き捨てならない。不敬だと、使いとしてやってきた国王の側近が、怒りを露わにしたので、さすがに辺境伯も黙った。
実のところ、自国を裏切って国境を挟んだ隣の帝国と手を組むことだって、やろうと思えばやれるのだ。
何しろホーズボルト辺境地は、昔から隣国との交流が盛んなので、領民の四分の一は隣国の血が混じっているし、言葉にも不自由しない。だから帝国に編入されても領民はそれほど困りはしないだろうと。
とはいえ、やはり争い事を起こせば無駄な血が流れる。できるだけそれは避けたいので、今のところ反旗を翻すつもりはない。
だから自国から疑われることは迷惑だし、できるならそれは避けたいというのが本音だ。
しかし、妻子を絶対に王宮には行かせたくない。
どうも今回はいつになく強硬で拒否はできそうにもない雰囲気だが、どうしたものか。
一応受けた振りをして、流行り病で家族皆ダウンしたとでも言ってドタキャンするか、などと家族と話をしていたら、たまたま遊びにやって来ていた友人のオークウット公爵から、
「自分も一緒に行こう。
なにか企んでいたら全力で守るから」
と言われた。
オークウット公爵は王族とは血縁関係にあり、一応王位継承権も持っている実力者だ。しかし有難い話だと友人に感謝しつつも、彼は速攻でそれを断った。
辺境伯たるもの、王家に怯えて公爵家に守ってもらったなどと思われたらたまったものじゃない。
辺境の地を護るものとして、周囲から侮られ、笑い者になっては命取りになりかねない。
すると、彼の妻がため息をつきながらこう言った。
「仕方ないわ、死ぬほど嫌だけど、私と娘で行ってきますわ。
だけど跡取りの息子達は貴方と残ると伝えてくるわ。もしそれでは駄目だと言うのなら、使いの者をたたっ斬って宣戦布告してやるわ!」
そして辺境伯夫人は勇ましく大剣を掴み、大岩のような大柄の護衛二人を引き連れて、王宮の使いが待つ応接室へ向かったのだった。
読んで下さってありがとうございました。