40話 ペルム紀大絶滅
「うっ……‼」
「お前が警察だ。本当にムカついた<福祉士>を始末させてくれて本当にありがとうございました。とても創意的な投稿だった」
犯人と指名された人には、2つの選択肢がある。肯定あるいは否定。
そして<ジムマン>は、対抗する意志も持たず、頭を下げながら<警備員>に卑屈な口調で彼の推理を肯定した。
「お、おっしゃる通りです。ですから僕が、あなたの味方だということも知っているのでしょう。だ、だから明日まで……」
「あ、駄目駄目駄目駄目駄目」
アンデアンデアンデアンデアンデ。
<警備員>は人差し指を振ってそう言った。彼はもどかしい現実に舌打ちした。
「言ったじゃないか。俺のマフィアパートナーが完璧主義者だと。滑らかな進行のためにも、君は今夜死ななければならない。それは本当にすまないと思う」
「な…!ちょっと、協力意思を明らかにしたじゃないですか!行動と、投票で!!」
「全然関係ない。君がいい人であろうが悪い人であろうが、俺に対して親切であろうが無礼であろうが、それはどうでもいい。君は警察だ。だから死ななければならないのだ。ただ、生まれつきの問題。誰かを恨むことではない」
「な、な…!」
脱出口など一切ない論理的監獄が作られ、<ジムマン>はぱっと立ち上がり、叫びながらその論理監獄の鉄格子を揺さぶった。
「何をそんなに全部確信しやがって!おい、<警備員>!僕が人工知能である可能性は?僕が…!」
「それギャグなの?君は最初から、俺の頭の中から消去されたんだが」
「何だって?」
「2日目が始まるやいなや、すぐ嘘をついたくせに何が人工知能だ。この嘘つきが」
<警備員>はすでに、<ジムマン>の言葉と行動に何の興味もなさそうだった。彼は決まったことを実行するだけだった。そういう彼が、ふと思い出したように膝をポンと叩きながら<ジムマン>に向かって言った。
「遺族の連絡先でも教えてくれれば、ポチとして50万ウォンぐらい……ぶげあああっ!!」
ドカッ!!
<ジムマン>は渾身の力を込めたストレートを<警備員>に殴りつけ、1000パウンドクラブに入った筋肉によって、その拳は骨が骨を打つ音を出しながら<警備員>の奥歯を3本もぶっ飛ばしてしまった。<警備員>が床に倒れると、<ジムマン>は<警備員>の胸ぐらをつかんで持ち上げながら叫んだ。
「この狂ったサイコめが!だ、誰を殺そうとしてるんだ!僕は死なない、死にたくない!!」
「ガツ、ガガ…!この筋肉狂いが!おい、赤いボール!き、規則違反だろうが!!」
<警備員>の言葉にすべての視線がレイナのほうに向かったが、レイナは首輪の作動の代わりに、評論家の態度を見せた。
『…<警備員>さんは、少し殴られたほうがいいかも?』
「む、何だ!?」
『いや、これじゃなくて。私が止めると、ちょっと不公平になるので』
『市民の皆さん?止めないのですか?』
「何?私たちに、あんなことまで止める義務でもあるのか?」
<多血質>が無関心な態度を見せながら言った。<警備員>に逆らうのはもう諦めたが、最後の自尊心ぐらいは残っているというような態度だった。そんな彼に、レイナが親切にこれから起こることを説明した。
『でもこのままなら、<ジムマン>さんが規則違反で脱落になりますが』
『そして夜が来て、夜は市民がもう1人脱落。生存者は4になって、ゲーム終了』
『いくらルール通りだとしても、マフィアに有利すぎですよね?だから止める機会を……』
「……おい、<ジムマン>、<ジムマン>!ちょ、ちょっと。我慢して、我慢して!」
残りプレーヤーたち4人、<多血質>も<小母さん>も<理工系>も<女子高生>も、皆が一緒になって<ジムマン>の腕をつかんで彼を止め始めた。<ジムマン>はその抜け目のない態度に再び怒りを覚えながら叫んだ。
「放せよ、このクズどもが!自分たちが生きたくて人を止めやがって‼」
「そりゃ、そうじゃなくて!」
「暴力は悪いぞ、暴力は!!」
誰かがそう言ったが、<ジムマン>にとっては完全に戯言だった。彼は今、死という名の最大最悪の暴力と向き合う運命であったのだ。4人で彼を止めることはできず、彼はもう一度<警備員>の腹部に強力なアッパーカットを炸裂させることに成功した。
そして結局、<ジムマン>の首輪からうるさい警告音が鳴り、その後<ジムマン>は目が閉じて、意識を失ったまま床に倒れた。
「ああ…!」
『安心してください、みなさん』
『進行役の裁量で、睡眠薬を投入しました。脱落ではありません』
そうして状況は落ち着いたが、すでに会議室の風景はメチャクチャだった。
上座には依然として誰も手を出さない<人文系>の死体、床には乱闘の末に不自然な角度で倒れた<ジムマン>、そして奥歯を3つも吐きながら血まみれになった<警備員>。テストやゲームの品格はどこにも見当たらなかった。
「はー、はー!ちくしょう、そのまま殺したらいいのに。睡眠薬って何だよ!」
『うるさいですね。ある観点から見ると、あなたとの約束のためです』
「一体何の……あ、5日目の夜?おい、そんなことは融通性を発揮しろ!4日目の夜に終わるとむしろ大歓迎だぜ!」
『ごめんなさい。人工知能なので』
「……」
<警備員>と<人工知能>の会話は短かったが、プレイヤーたちにとっては1つの障壁であった。
彼らの会話は、このチューリングテストとマフィアゲームが終わったことを告げていた。彼らの取引事実は本物だった。故に、すべての変数が消えた。残るのは<人工知能>に逆らってはいけないという真実だけで、レイナが赤い光を点灯しながら話した。
『皆さん、忘れないでください』
『ビンゴするかしないかの投票です。これは必須投票だから。今すぐ始めます。異議はないですよね?』
「こ、この…!」
ビンゴを死ぬほど邪魔したくせに、今さら人工知能自らビンゴを提案していた。<多血質>は怒りを隠さずに言った。
「1人を気絶させて、ビンゴするかしないかの投票だと?6人のうち5票が必要なのに!これは詐欺だ!」
『ああ…』
『もちろん、それは善処します。臨時脱落者の概念で』
『プレイヤーの数を5とみなします。ビンゴ発動を望むなら、賛成4票を集めてきてください』
レイナはそう言ったが、実はどうでも構わなかった。反対2票がある限りビンゴは絶対発動されないという事実は変わらなくて、その事実は結果として出力された。
<第4回ビンゴするかしないかの投票結果>
<賛成:3反対:2棄権:1>
賛成:多血質、小母さん、理工系
反対:警備員、女子高生
棄権:ジムマン
結果:4票以上の賛成を得られず、4日目ビンゴ未実行
「…反対……」
4日目昼の最後のシーケンスは、ポニーテールヘアの急浮上に終わった。
プレイヤーの視線が集まり、その視線と向き合った<女子高生>は、腕ぬきを着けた右手で自分の頭を撫でながら言った。
「はい、私が<人工知能>です。文句ありますか?」




