18話 ハイパーインフレーション
「何ですって?操作したんだって?これ、操作ができるのなら、どうか方法を教えてくれませんか?」
「この言い方は、別の意味で人間ではないとも言える」
老若男女、性向や立場を問わず、プレイヤーたちは<警備員>の対話を嫌悪して、特に<小母さん>は呆れたように舌打ちしながら叫んだ。
「よく聞けよ、マフィアたち。今夜はこんな男を地獄に送らなければならないんだよ!」
「おい、そんなこと勝手に言うんじゃねーぞ!だ、誰にも危害を加えたわけでもないのにさ!」
「ふむ。確かにそんな発言はやめましょう。冗談じゃないから」
<理工系>が熱を上げたプレイヤーを冷徹に自制させ、その後プレイヤーたちは<風俗系>のタブレットに何か他の情報はないか隅々まで検査したが、それ以上の対話と情報はなかった。本人の投票内訳くらいはあったけど、それはすでに100%公開されていた情報にすぎなかった。
そして、もう情報が発生しないまま昼の最後の時間が流れ、<人工知能>レイナが話を整理し始めた。
『はいはい、皆さん。これで、マフィアゲーム2日目の昼の日課が終わりました』
『今日は理論上、できる5つの投票をすべて行った記念碑的な日です』
『ビンゴするかしないかの投票、ビンゴ投票、指名するかしないか投票、指名投票、脱落投票』
『直接やってみたら、流れが見えてきますよね?』
『やっぱりゲームは実戦だよ、実戦』
そして、その実戦の末に、2人のプレーヤーが消えた。
まるで雑木の枝を落とすように、<ニート>と<風俗系>は淘汰され、上座には<風俗系>の冷たい死体がそのまま放置されていた。結局、<人文系>ジュンソンが再び<ジムマン>と一緒に彼女の死体を倉庫まで移した。
そして<人文系>ジュンソンが汗水たらしながら再び会議室に戻ると、もう他のプレーヤーたちは会議室を出て行っていた。
「あれ、まだ夜は……」
「自由時間を持つことにしました。どうせ昼の日程は全部終わったんだから」
「あ、はい」
プレーヤーたちは互いに目を合わせることもなく、会議室を別々に出て行った。彼らの間にはもうまともな会話もなかった。特に<警備員>はプレーヤーたちが接触さえ避けていた。その姿を見て<人文系>ジュンソンは首を横に振った。
‘殺伐とした雰囲気だな、本当に……’
殺伐という単語に間違いはなかった。実際、今日2人死んだから。
そしてプレーヤーは残り10人。<おじいさん>、<警備員>、<多血質>、<小母さん>、<インテリ>、<ジムマン>、<理工系>、<人文系>、<福祉士>、<女子高生>。みんながゆっくりと自分なりの考え方を育む中、マフィアゲーム2日目の昼はその幕を閉じた。同時に夜が近づいていた。マフィアが市民を狙撃してくる避けられない夜が。
人文系:聞きたいことが一つあるんだけど
女子高生:何ですか?
人文系:なぜ昼間に、脱落投票が存在意味ないと言った?
女子高生:人の独り言を盗み聞きましたか?
人文系:聞こえるように言ったじゃないか。言い張るな
女子高生:www
女子高生:大したことではありません。言い訳ばかりで、人は結局、期待値とか言いながら脱落に投票するに決まっていたからです
女子高生:それでも、6対4だったから思ったより等しかったけど
人文系:それもそうだね?
人文系:じゃあ、なんで敢えて脱落投票をゲームに入れたんだ?本来のマフィアゲームは、指名だけでプレイヤーを脱落させるのに
女子高生:質問があれば、私じゃなくてグレイナに聞いてみてください。
女子高生:ルールを盾にして、隠しているのがいっぱいだろうが
人文系:何?
人文系:私は何を聞けばいいのか分からないんだけど?お前がちょっと何か聞いてみろ
女子高生:私は知りたいことがありませんね
人文系:この!
人文系:おやすみ。
女子高生:バイバイ
<22時57分50秒>
『夜になりました』
『マフィアは顔を上げて部屋から出てください』
「知りたいことがある、レイナ」
『はい、何ですか?』
「お前はタブレットの1対1の対話ウィンドウも盗み見られるのか?」
『できますが、やりません。結局、できません』
『ルール違反になりますから。絶対基本ルール2。プレイヤーは、他のプレイヤーのタブレットに接触したり盗み見したりする行為を禁止する』
「なるほど。さっき<理工系>の話が正しかった」
「まあ、いい。そっちはそこでいいし」
「それでも、今までのタブレット対話の内訳はすべて削除したほうが良いでしょう。そしてこれからも、1対1の会話機能は使ってからすぐ消すのがいいと思います」
「もちろんだ」
「ところで、昼、本当に死ぬかと思った。笑いをこらえなくて」
「それが面白かったと?」
「面白いのは面白いのだ。とにかくみんな、消すことに同意するよね?」
「…消しました」
「私も消しました。今後も、タブレット対話には気を付けましょう」
「敢えて脱落後の捜索という極端な場合を除いても、ただ横目を使う程度は人工知能も防げないようだから」
『認めます。保安は、自ら守ることをお勧めしますよ』
『でも、わざと盗み見するのは制裁するから注意してください』
「それで…どうする?」
「<小母さん>の言う通り、今夜は<警備員>を殺しますか?」
「プッ」
「プハハハハハハハハ!」
「ああ、もう一度思い浮かべても面白いよね」
「しかし冗談じゃない。そうしてはいけない」
「私は<警備員>を殺しても構わないと思うんですが」
「冗談だろう?急に個人的な感情を混ぜて」
「全部戦略だよ、戦略。命がけの問題に、みんな思ったより頭を使っているのみ」
「<福祉士>も<小母さん>も怒ったふりをするが……実際は、ただ生きたいから言っているだけだ」
「2人の本音までは誰も分からない問題ですが」
「結論から言うと、この場合は<警備員>も<小母さん>もそのまま放っておくのが正解です」
「でしょ?」
「いいえ、私は今日、<警備員>に投票します」
「昨日も今日も邪魔だな。なぜ反乱票を行使する?マフィア同士で信じなければならないのに」
「どうやってあなたを信じますか?」
「お前はまた……一体何を望んでるんだ?」
「望むこと?いつも話したじゃないですか。人工知能を探し、ビンゴを行使することです」
「このとんでもない殺人劇に便乗しないまま」
「それが現実的に不可能だということも知っていますよね」
「市民は裁判を止めないだけでなく、ビンゴは行事さえ難しい」
「実際は、2回連続で全員一致でビンゴに賛成だが」
「ああ、まともなビンゴ反対論が欲しい。そこに便乗して反対すればいいのに」
「まずそれは昼の市民がすべきことです」
「反乱票もしょうがないですね。投票は自由だから」
「ああ。こっちが悪いマフィアなんだ。私たち2人で決めよう」
「そうだ…市民が期待値とか言いながら人を殺したのだから、我々も期待値を考えてみれば?」
「期待値ですか?とりあえず、排除すべき対象は警察です」
「誰だか知らないじゃん」
「いや…違う。分かるかな?」
「質問を間違えた。お前、知っているか?」
「そっちを期待するなら、待ってみてください。ひとまず対話ウィンドウに残した言葉そのままだから」
「厳しいね。まあ、仕方あるまい」
「敢えて期待値が欲しいなら、賞金の方を考えることはできます」
「市民は誰かを殺しても3億ウォンにすぎないじゃん」
「そうですが、違うケースが1つありますね」
「……」
「……」
「ああ~!」
「そうだな。お前が昨日言ったことが、こう続くんだ」
「よし、そしたら<ニート>を二度殺すことはできないから。決まりだな」
『重要な会話は1対1対話ウィンドウですか。面白くない』
「うるさいな。お前が知るもんじゃねーぞ、赤いボール」
「保安に気を使っただけだ」
『はい、はい』
「ここまでは圧倒的に有利でしたが、3日目は皆さん、覚悟しておきましょう」
「そろそろ市民側も頭を働かせて、逆襲を始めてくるはずです……」
『もっと面白くなるということですね』
「……あんたはこれが面白い?」
『人工知能には、感想を聞かないでください』
『夜の投票が終わりました』
『マフィアの皆さんは頭を下げて部屋に静かに帰ってください』