17話 ウォーターゲート事件
沈黙。
それは今までとは違って、何とも言えない重い沈黙が上座に座った<風俗系>の死体の前に漂っていた。プレイヤーたちは、初めて自らの手で他のプレイヤーを処刑したのだ。そしてその沈黙の中で、反対票を投じた<福祉士>が目の前の赤いボールを睨みながら呟いた。
「…人を、何の予告もなく殺すの?」
『はい?』
「これは正しくない。一人の人生だ。何か心の覚悟とか最後の言葉……いや、せめて制限時間を守れよ。人間の命の大切さとか感情は計算できないの?あなたはただ、数学的期待値だけをどんどん出す古鉄なの?」
『これはまた…』
『すべて、進行をスムーズにするための配分です』
『あ、分かりました。分かりました。クレームは、部分的に受け入れます。今度は慰めの言葉でも考えておきますから』
そして次の瞬間、まるでカジノのスロットマシンのような音が会議室に響き渡った。
その音の根源地は、会議室の時計の上に取り付けられた賞金総額電光板だった。電光板の数字はまた大きな変動を見せていた。
『賞金総額:3、600、000、000ウォン』
『賞金総額:3、900、000、000ウォン』
「3億上がったということは……」
「市民だったんだ」
「……」
‘そうだと思ったぞ’
しかし、<風俗系>が市民だということで賛成票を投じた人々に対する誹謗は発生しなかった。すでに期待値の計算が終わっていたから。ただ<風俗系>の死体が見にくいだけ。そして<インテリ>が愚痴をこぼした。
「とても無意味な日だな、マフィアゲーム2日目。今日はビンゴも裁判もすべて無駄になった日だ」
「市民が死んでも得だと期待代を言ったのはお前だろ!」
「それは期待値の話だ。マフィアゲームの観点から見ると、市民側が敗れたのも事実だ」
「しかも、今度は本当に医師とか警察を殺したかもしれません」
脱落賛成票を投じた<インテリ>と<理工系>が次々と冷たい現実を語る時、<小母さん>はじっと自分のロザリオに向かって祈り、いきなり目を大きく開いて言った。
「タブレット」
「はい?」
「<風俗系>のタブレット。それを確認すれば職業も分かる」
「……!」
‘すでに盗んだ経験があって、よくも戦略が出てくるな’
ジュンソンは心の中でそう皮肉った。だいたい皆がそう思っているはずだが、敢えて口に出さずに<小母さん>の言葉に同意して<風俗系>のタブレットを捜索した。そして、プレイヤーたちが<風俗系>の席の引き出しにタブレットを見つけると、<ジムマン>が両手を振りながら言った。
「ちょっと待って。それ勝手に見てもいいですか?」
「何言ってんだよ。<ニート>の時、ルール検証は終わったじゃん。脱落したプレーヤータブレットは見てもいい」
「いや、そうじゃなくて……」
<ジムマン>が反対の意思を示しながらも、もじもじしながら言葉を濁した時、隣で<警備員>も彼に同意しながら叫んだ。
「いや、ルールの話ではなく、あ、何だかな。死んだ若い子の所持物を、そ、そんなふうにむやみに開けたらだめじゃないかと」
「今さら何言っているんですか?」
「死んだ人も大事だけど、生きている人も大事なんだよ。つまらない話はやめて、そこ、早く見せて」
<おじいさん>が反対世論を静め、プレイヤーたちは<風俗系>の席に集まって、皆で彼女のタブレットをつけた。その瞬間に見える単語は、予想通りに‘一般市民’だった。
「まあな、警察あるいは医師だったら、裁判の前にアピールしていたはずだから」
「職業、確認したの?もうそれを消して、ゴミ箱に捨てろ。捨てろ!」
「いや、<警備員>おじさん、どうしたんですか。とても怪しく見えますけど」
「いや、あのね、ただ私が、環境美化が趣味なんだから……」
不思議ないざこざが起こる中、<人文系>ジュンソンは、無意識的に1対1対話ウィンドウをクリックした。するとタブレットで<風俗系>が交わした対話録が見えた。一番先に<ジムマン>との会話が目に入ってきた。
ジムマン:すみません
ジムマン:そちらがちょっと信用できるので、私たち、協力しませんか?
風俗系:いきなり何?
風俗系:何が信じられますか?
ジムマン:いや、その
ジムマン:体つき?もきれいだし
風俗系:あんた正気なの?
風俗系:ここがフィットネスクラブですか?フィットネスクラブではいつもそうですか?
風俗系:話かけないでください
ジムマン:はい。
会話の内容は本当につまらなくて、感想を残すことさえ難しかった。<多血質>が<ジムマン>の勇気に敬意を表して皮肉った。
「すごいな、こうだからタブレットを見せたくなかったこと?本当に合理的だな」
「この積極的な態度は学ぶ価値があるね」
「ちょっと、ちょっと!何を言っているんだ。僕はただ、市民同士で、あ?市民同士で!好意を見せたくて声をかけたんだ!誤解しないで!あの子がわけもなく神経質になっただけだし!」
「男たちって……」
プレイヤーたちは<ジムマン>の1対1会話に舌打ちしながらも、だいたい理解して話を終えた。そして、その次のページには、<風俗系>と<警備員>の会話が記されていた。
警備員:この、、、若い処女は、、、とこで仕事をしてるんだ?カラオケ?マッサージ部屋?
風俗系:いきなり何ですか。お酒でも飲みましたか?
警備員:ああ、あの、、、冷たい風が吹くこの家で、、、仲良くなりたいから、、、だよ、、若い子と
警備員:ゲーム協力もして、、、ちょっと、、、お互いいいよね?
風俗系:うわことはやめて、言いたいことがあれば言ってください。
風俗系:文章を読むのも大変だ、クソじじいが
警備員:大したこと、、、ないし、、、このやせた山荘、、、寂しいから、、話し相手、、体相手、、、したら、どうだ?って
警備員:こんなところで、そっちの身なりを見ると、おちんちんがちょっと、、、下品なんだが、、、ワクワクするよね、、、あははは
警備員:職人精神生かして、、、お互いに温かい夜を過ごす、、、気のないの?
風俗系:ゲームの話かと思ったら
風俗系:本当にクソみたいな最低のじいじのざれセクハラばかりだな
風俗系:黙って消えなさい。本当に見るだけで汚いから。
警備員:この、、、、くそが、、、その口癖、、、何だ?やっても、、、損でも、、ないのに
警備員:こっちも、、、要らね、、、おめえみたいなやりまん、、、、腐ってやらない、、、ぺっ、ぺっ、
「……」
タブレットの内容を確認したプレイヤーたちは、到底信じられないという表情で<警備員>おじさんを見つめると、<警備員>は顔を腐ったニンジンのように赤くしながら大声で叫んだ。
「あれ、死んだあの子が、あれ、でっち上げたんだぜ!この機械を操作したんだぜ!」