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マフィアゲーム  作者: Kim Junsung
16/48

16話 自然選択

挿絵(By みてみん)


『あまり催促しないでください。どうせすぐ終わるから』

「何がすぐ終わるの?あの人たち、また余計に喧嘩とかして……」

<20時04分44秒>

<00時10分00秒>

<00時09分56秒>

普段は現在の時刻を表記していた時計が、いきなり10分を計るのストップウォッチに変わってしまった。

真っ赤に表記された数字が無情に1秒単位に減り始め、<人工知能>レイナはすぐにプレイヤーたちに次のシークエンスを強要した。

『プレイヤーの皆様は、10分以内に<風俗系>さんの脱落について投票してください』

『投票不参加は脱落理由になります。遅れないように注意してください』

「な…!」

10分は毎度与えられていた投票制限時間だったが、それはあくまでプレイヤーが投票進行に同意した上で与えられる制限時間だった。突然、予告もなく脱落投票が始まると、他のプレイヤーたちが驚いて反発した。

「時間制限はないと言ったじゃないか!午後10時までだと聞いたが!」

『それは‘するかしないか投票’の話です。指名投票の後、指名対象者が決まってからは、猶予時間は与えられません』

『色々と乱雑になる可能性が高いからですね。生存期待値が暴落した人間は…』

『今も見たんですよね?トイレとかなんとか言う姿を』

<人工知能>レイナの特徴。期待値の計算に依存する。

人間を見極める彼女の歯車は無情に転がり、設定したばかりの制限時間10分は、これまでの10分とは比べ物にならないほど速く流れ始めた。上座に監禁された「風俗系」は、少し怯えたような表情を浮かべながら呟いた。

「ああ、クソくらえ。乱雑って何だよ。みんな早く、反対押してください」

「……」

<風俗系>は当たり前のように否決を促したが、ほとんどのプレイヤーは沈黙と不動の姿勢を守るだけだった。その微妙な雰囲気に<風俗系>も次第に現実と向き合い、いらだちを感じ始めた。

「ちょっと待って!ほら、みんな。当然反対ですよね?私、マフィアではないですよ。証拠もないよね!」

「…それをどうやって保障するんだ?」

「何だって!?あ、本当にくだらない!今すぐあそこにある引き出しの中、私のタブレットを確認してみて!一般市民と堂々と書いてあるから!」

『他のプレイヤーのタブレットを見る行為は禁止です』

ルールが理由を示す瞬間。

レイナは待っていたかのように絶対基本規則3番を言及し、ジュンソンはやっと自分のタブレットを見せる行為さえ禁止した理由を理解した。それは市民の自己証明を防ぐためであり、その規則が威力を発揮し始めた。

「でもさ、タブレットを言ったというのは、本当に市民だからじゃない?」

「嘘つきの瞬発力を甘く見るなよ。さらに‘風俗系’。嘘は日常だ」

「あのさ!今、人工知能が決めた呼び方で偏見を持つのよ!?」

「ちょっと黙ってて、<風俗系>。残りわずかの会話時間、邪魔しないで」

プレイヤー10人は荒い息を吐き出しながら議論を重ねたが、結果的にプレイヤーの誰も<風俗系>が一般市民であるという確信を持てなかった。甲論乙駁の中、刻々と時間が減っていく中、<小母さん>が切実な表情で突然<理工系>を見ながら聞いた。

「そこは利口な青年。青年が言ってみて。私たちはどこに投票すればいいの?」

「人の命がかかっている問題を、他人に聞いてどうするつもりですか。神様に聞いてください」

「あ、もう!私は今、期待値に対して聞いているのよ。数学では計算できない?」

「……」

<理工系>は返事の代わりに沈黙を守ったが、その沈黙がむしろ他のプレイヤーたちの疑問を呼び起こした。計算ができるかどうかを、彼は教えてくれなかった。

そして<小母さん>の質問に、<インテリ>が代わりに答えた。彼は前例のない冷たい表情で答えた。

「数学的に言えば、脱落に賛成するのが正しい」

「あ?市民かもしれない……いや、市民である確率がはるかに高いぞ?」

「裁判台に送ったプレイヤーが、市民であれマフィアであれ関係ない。そして、私たちが市民であれマフィアであれ関係ない。終了条件4つすべてを考慮しても、このまま‘プレーヤーの数が減れば減るほど’残ったプレーヤーの生存可能性は高くなる。それだけだ」

「……‼」

プレイヤーたちの頭の中の煙幕を、一瞬で刈り取ってしまう<インテリ>の冷酷な方程式。

市民とマフィアの対決だけを考慮すると、脱落候補を決めるのに熟慮が必要だったが、サバイバルゲームの観点から見ると、生存者を減らすのが有利だった。そして、今この場所で行われているマフィアゲームの実際の設計は、後者に限りなく近かった。


終了条件

1。マフィアプレイヤーたちが全部脱落した時

2。マフィアプレイヤーの数と市民プレイヤーの数が同じになった時

3。プレイヤーの数が4になった時

4。プレイヤーたちがビンゴで人工知能を指名して鑑別、摘発した時


‘そうだ。これは市民とマフィアの対決じゃない……どっちが勝とうが、ただ私が死んだらそれで終わりだから!!’

実際、終了条件の4つのどこにも、とある陣営の勝利を表現する文句は一切なかった。賞金の受領も生存者にN等分して支給するということだけで、強いて言えば、生存そのものが勝利であり、全部だった。現実的にもゲーム的にも。

そして、その事実が明確になった瞬間、プレーヤーたちの瞳は軌道を離脱しながら転がり始めた。この瞬間が彼らの内面のスイッチが押された瞬間で、<風俗系>はその凍りつく雰囲気を感じて、縛られた両手を震わせながら言った。

「ちょっと、ちょっと…今、何言ってるんですか。私は市民ですよ。こ、殺してはいけないんじゃない。こんなに人を縛って、殺してはいけないんじゃない!」

「あの若者たちの言うこと、聞かなかったの?職業は関係ないと言うじゃ」

これまで温厚な態度で言ってきた<おじいさん>でさえ、数学的期待値の前では異論を差し挟まずに、ゲームのアルゴリズムに身を置き始めた。

そして残ったのは巨大な沈黙だった。なぜなら、これからは何を言っても偽善と言い訳になるからだった。この事実を予め感知した賢い<理工系>が早くから沈黙を守り、他のプレーヤーたちは今になってその沈黙の隊列に入ったのだ。もう彼らは、会話の代わりにタブレットの方に視線を向け始めた。

「ちょっと、ちょっと…!私、私じゃないってば?止め、止めてみて!賞金、私の賞金、全部諦めてここにいる人たちに全部あげるから!」

プレイヤーたちは、もはや<風俗系>と目を合わさなくなった。もはや「風俗系」の言葉を聞き入れなくなった。まるでこの世に最初からいなかったようだった。

そしてその瞬間、食卓を手のひらで激しく叩いたのは<福祉士>だった。彼女は断固とした態度で宣言した。

「私は反対票を投じます」

「…あ?」

「これは殺人行為だからです。弁解の余地もなく」

指名投票では皆の予想通り<風俗系>を指した<福祉士>であったが、それはあくまで指名の話だったようであった。彼女は驚くべきことに<風俗系>を弁護し、<多血質>と<警備員>が相次いで呆れたように<福祉士>に向かって言った。

「今まで何を見て、何を聞いたの?裁判を開けないと、市民たちがみんな死ぬんだ!」

「いや…人なりだが、あなたはあの女からあらゆる侮辱的な話を聞いたじゃないか。なのにそんなこと言いたいの?」

「期待代なんて関係ありません。あの下品な女が私に向かって何を言っても関係ありません。私たちは一日でも早くビンゴを達成させ、人工知能を見つけるのが正解です。昼であれ夜であれ、投票は殺人行為に過ぎません」

「……」

驚くべきことに、現在<風俗系>の命を最も心配している人間は、彼女と魂を引っかき合いながら口論を繰り広げた<福祉士>だった。誰かはそれを偽善とか飾り気と呼ぶかもしれないが、とにかくみんなが深い印象を受けるには十分だった。そして、そんな彼女の断固とした態度に、<ジムマン>が手を挙げて協力した。

「うーん、僕も反対票を入れるつもりです。裁判自体は仕方ないと思うが、<風俗系>さんはやはり市民のようだから」

「は、まったく」

しかしそこまでだった。反対意思を表したプレイヤーは2人だけで、残りは依然として重い沈黙を守っていた。そんな中、<人工知能>のレイナが地方放送を流した。

『残り時間、2分です』

『人間たちは、時間制限があってこそ面白い話を聞かせてくれるんだよ』

『とにかく、そろそろ押してください』

‘いや、まだ決めてないんだけど……‼’

指名投票は、どうせ誰か一人を選ばなければならない‘爆弾回し’だったが、この脱落投票は、本当に自分の倫理観と期待値を天秤にかけ、故に自らの意志を込めなければならない‘二者選一’だった。

無慈悲な決定の時間が近づき、上座に座った<風俗系>は絶望的な表情で周辺を見回した。彼女は自分を拘束した鋼鉄の手錠を外すためにガタガタと音を立てながら叫んだ。

「ほら、やめて。賛成押さないで…‼」

『残り1分です~』

「男たち!反対押したら一度ずつやってやるから、どうか押さないで!」

『50秒、50秒』

これからは、意図がなくても何か選択をしなければならなかった。結局、<人文系>ジュンソンがタブレットのボタンを押して、その次の瞬間すぐ<風俗系>が反応を見せ始めた。

「ガ…!」

<00時00分36秒>

明らかに時間は約30秒以上残っていた。

明らかに時間は約30秒以上残っていたのに、急に<風俗系>は全身に痙攣を起こし始めた。

「ガ、ガガ、ガガ…‼」

「あ、あの、あの…‼」

彼女の痙攣に驚き、体を起こしたり、びくびくしたりしたプレイヤーたちだったが、<ニート>の時とは違って、彼らの動揺は限定的だった。ものすごく見辛いものだったが、もはや‘予想できないこと’ではなかった。

「ガガ、ガガ……‼」

静かな沈黙の中で、<風俗系>は皆の同情と放置の中で死んでいき、その痙攣が止まった瞬間<人工知能>レイナが無味乾燥な声で言った。

『さあ…2日目脱落裁判の結果はああ』



<2日目の脱落裁判結果>

<賛成:6反対:4>

賛成:警備員、インテリ、じいさん、小母さん、女子高生、理工系

反対:ジムマン、多血質、福祉士、人文系

結果:6票以上の賛成を得たため、<風俗系>脱落


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