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マフィアゲーム  作者: Kim Junsung
13/48

13話 反知性主義

挿絵(By みてみん)


<16時04分04秒>

「みなさん、もう午後4時なんですけど…投票1つしておきましょう」

「え?マフィアも人工知能も、何も知らない状態だけど?」

「ルールを読むと、私たちが1日に行わなければならない投票は最多5個です。ビンゴ関連2つ、裁判関連3つです。マフィアでも捕まえればもっと増えますし。だから‘ビンゴするかしないか投票’は前もってしておきましょう」

「ちょっと待って。それをやったら、すぐにビンゴもやらないといけないんじゃない?」

「それは…」

その言葉にジュンソンはレイナを見て、レイナは軽く答えた。

『ビンゴするかしないかの投票とビンゴ、そして指名するかしないか投票と指名投票の間に、時間制限はありません』

『敢えて言うと、昼と夜の区分ぐらい?』

『極端に言えば、午前7時頃にビンゴするかしないかの投票が可決されても、みんなが先延ばしにするなら、午後10時までしないこともできます。もちろん午後10時には強制的にビンゴ投票が始まるけど』

「じゃあ確かに、‘やるかやらないか投票’はしておいた方がいいね。皆さん、投票しましょう」

<ジムマン>がそう言うと、プレイヤーたちは自分のタブレットを取り出した。一方、<多血質>が再びプレイヤーたちを見ながら叫んだ。

「ビンゴに反対する人はいないよね?」

「あのさ、<多血質>さん。投票する時はほっといてください」

「いや、お前までそう言うなよ、<人文系>!俺が考えもなく吠えていると思うの!?これは必要投票数が多すぎるからだぞ!今11人だから、規則上ビンゴ発動には10票も必要なんだ!」

「しかし人工知能が誰なのか分からないのも事実です。反対票が出ても理解できますよ」

「なんだと!」

『さあ、投票を始めます。制限時間は10分ですわ~!』

レイナは議論をやめて、投票を開始することを宣言した。最初の投票の時とは異なり、多少時間がかかったが、結果は最初と同様にきれいに出た。



<第2回ビンゴするかしないかの投票結果>

<賛成:11反対:0>

賛成:人文系、理工系、福祉士、多血質、おじいさん、風俗系、インテリ、ジムマン、小母さん、警備員、女子高生

反対:なし

結果:10票以上の賛成を得たため、2日目のビンゴ実行



『ティーヒーヒー』

タブレットに投票結果を伝送したレイナが1人で笑い、その笑い声が気に障ったジュンソンが眉をひそめながら聞いた。

「笑うの?ビンゴ可決だが」

『反対票が出ても理解できますって?努力家ですね』

「…何だって?」

‘ちぇっ、嚙み合わん’

<多血質>の強圧的な雰囲気を打ち落としながらビンゴ反対論者、ひいては人工知能を探し出そうと試みたジュンソンだったが、その試みは簡単に失敗した。この中にある人工知能は、自分を探し出す手段であるビンゴに、再び躊躇なく賛成票を投じた。

しかし、今回の投票はジュンソンが全く期待していなかった反応を導き出した。<おじいさん>が<小母さん>の方を見て聞いた。

「そっちの新妻は、どうして機械が2つなの?」

「……?」

<おじいさん>の指摘に、<小母さん>は驚いて自分のタブレットを1つ引き出しに入れた。しかしすでに手遅れであり、<理工系>が静かに尋ねた。

「もしかして<ニート>のですか?」

「私、私はよく…ただ、地面に落ちていて……」

「地面?<小母さん>、まさか人が死ぬ時に、戦利品のように盗んだのですか?」

皆が呆れたという表情で<小母さん>を叱咤した時、<人工知能>レイナが最後に追い討ちをかけた。

『ああ…バレましたよね。バレたから言っておくと』

『今、<小母さん>さんが<ニート>さんのタブレットも使って投票しましたが、脱落した人のタブレットを操作したからといって、脱落したプレイヤーの権限を代理行使することは不可能です』

『それを持っていても、投票権も賞金受領権もありません』

『まあ、そのまま使うのは自由ですけど』

「そうよ!私はただ拾っただけよ!」

<小母さん>は大したことではないというように<ニート>のタブレットは食卓の上に投げたが、他のプレーヤーたちの視線は冷ややかだった。その中でも<風俗系>と<インテリ>が舌打ちをした。

「は。神って寛大すぎるよね。あんな信徒も許してくれるの?」

「常識というものを持ってみてください、<小母さん>。それで何ができると思って拾ったんですか?あ、むしろ他人のタブレットを盗み見た行為だから、あれはルール違反じゃない?」

『脱落したプレイヤーは、プレイヤーではないという言葉で説明の代わりにします』

『あのタブレットは、もう規則とは関係ありません』

‘うん?じゃあ…’

<人文系>ジュンソンは<ニート>のタブレットをもらって電源を入れた。その行為に人々の視線が再び集まると、ジュンソンは肩をすくめて新しい事実を1つ言った。

「このタブレットによると、死んだ<ニート>さんはただの一般市民ですね。幸いにも、医師と警察ではありませんでした」

「おぉ!そうだね。残したタブレットで職業ぐらいは分かる」

そしてジュンソンは次の情報を期待して対話ウィンドウに向かったが、タブレットの1対1の対話ウィンドウは空っぽだった。対話を削除したというよりも、ただ誰とも1対1の対話機能を使わなかったように見えた。<ニート>のタブレットは、<人文系>のタブレットとその状態が全く同じだった。

そんなふうにしばらく‘死人’に耳目が集まった時、<女子高生>が小さな声で聞いた。

「ねえ、レイナ」

『なんですか?<女子高生>』

「人工知能が……もし昼の裁判とか夜の襲撃にやられて、そのまま死んだらゲームも終わるの?」

<女子高生>の質問は静かに行われたが、あっという間にプレイヤーたちの耳目を集めた。そしてレイナは、少し時間をかけて答えた。

『終了条件4つの中、どこにもそういう条件はないですよね?』

『そもそもそのような事例は、人工知能を結果的に殺しただけで、人工知能を見つけたとは言えないでしょ』

『やっぱり、ビンゴで人工知能を指名してこそチューリングテスト終了と言えます』

『理解?納得?』

「な…何だって?」

明快な回答だったが、その明快な回答はプレイヤーの強い反発を招いた。まさに最悪の事態を想像できたからだ。今回も<多血質>が真っ先に叫んだ。

「何それ!それじゃ、もしかして市民やマフィアが知らずにこの中のお前を殺しても、ゲームは終わらないってのか?」

『答えが終わった質問を繰り返さないでください』

「ちょっと待って、ちょっと待って!まさか、もう死んでしまったのは……?」

「……!?」

誰も指さしなかったのに、プレーヤーたちは自然と窓越しの倉庫を眺めた。死んだ<ニート>の棺がある位置だった。<ジムマン>が混乱した様子で聞いた。

「いや、この子は今騒いでるじゃん。だからもう、死んだ<ニート>であるわけがない…と思うけど…」

「そんなもんじゃない。喉に注射されて死ぬのは人間であって、人工知能ではないってことだ。あいつにはモニターとかスピーカーが割れたくらいの衝撃だったかもしれない。CPUは生きているはずだ…あそこに!」

「なんだか、死ぬ姿もちょっと奇怪だった!」

皆が一瞬にして‘死んだ<ニート>がまさに<人工知能>だ’という仮説を立ちながら検証していく時、彼らの言葉を聞いた<理工系>が静かに呟いた。

「可能であれば、ものすごく強力な戦略です。何より、人工知能の最大ペナルティである‘嘘はつけない’ということを簡単に回避できます。死体は無口だから嘘をつく必要もなくなるのです」

「そう、そう!これ考えてみると、チューリングテスト予選してもパターンが同じだね!あの時も、言葉は多かったが、実際には目の前に座っていたやつが機械だったじゃん!」

仮説に経験まで加わると、プレーヤーたちの意見は瞬く間に片方に傾いた。しかし、反骨精神に満ちた<人文系>ジュンソンは、そこに歯止めをかけた。

「<ニート>さんを殺したのは夜のマフィアですが。少しありえないと思う」

「人工知能が、マフィアと夜に密かに合作したのでは?だから自分自身の<ニート>を殺させたんだ。完全犯罪のために!そうだね、<ニート>、1対1の対話ウィンドウを確認してみて!」

「私が見たんですが、がらんとしていましたよ」

「自分で削除できるじゃん!」

プレイヤーたちの推理が目まぐるしく続き、<警備員>と<福祉士>は話についていけないというように自分のタブレットを確認していた。ジュンソンも各規則をじっと見つめたが、人工知能が脱落した時の規則のようなものはなかった。

そしてプレーヤーたちは、日常とは違うこの空間で、自ら頭を動かしながら仮説と論理を突き詰め始めた。それは非常に意欲的で自発的だった。今回は<インテリ>がレイナに質問攻めを続けた。

「お前が答えてみろ。プレイヤーの中のお前が脱落した時はどうなる?赤いボールであるお前も動作が止まるのか?」

『……』

「どうして無口になった?それでは、質問を変えようか?お前、夜にマフィアたちと対話したことがあるか?あるいは、個別的にマフィアたちに会話を試みたことは?」

『……』

「なぜいきなり黙秘権だ!それでは、最後の質問。ビンゴ投票、<ニート>にすることもできるよね?」

『はい、まあ、可能です』

明らかに質問を避けた。

そして質問を避けたことでプレーヤーたちが確信を持てるようになった。<警備員>が頷いて言った。

「私は最初、死体が人工知能だなんて思ってもみなかったけど、今見たら100%だぜ。このままビンゴ投票もするの?」

「ちょっと待ってください。大事なビンゴの機会を、このような不確実な推論に従って使うのは何かが…」

<福祉士>が顔をしかめて反対意思を出したが、すでに少数派だった。

何よりも、過半数が1人を指名しなければならないビンゴ投票は、投票前にすでに暫定的結論を下すことが必須だったのだ。そして今はプレーヤーの大多数は<ニート>投票に同意している。結局、2日目のビンゴ投票も開始された。



<第2回ビンゴ投票結果>

<ニート>9票、<風俗系>1票、<理工系>1票

<ニート>:多血質、おじいさん、福祉士、女子高生、小母さん、風俗系、ジムマン、理工系

<理工系>:人文系

<風俗系>:福祉士

結果:<ニート>人工知能鑑別作業開始


『はいはい。本来は演出のために、鑑別対象を上座に座らせなければならないが……』

『死体に起きろとは言えませんね』

『<ニート>さんは人間です。もう死んだけどお』

「な…!」

2日目のビンゴは、そのように蒸発した。<多血質>が怒って叫んだ。

「畜生、馬鹿な仮説だった。誰がこんな考えをしてビンゴの機会をまた逃したのだ!」


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