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chapter1_03 第二次世界大戦開戦前夜とノモンハン事変

※ここは乙案を選択した場合(chapter1、chapter2、chapter3、chapter5)の共通ルートです。ご了承下さい。

 (なお、甲案修正案の文面とほぼ同様です。)


 1938年に入ると、西欧ではドイツが突如オーストリア併合を断行します。

 これを同じドイツ人国家でもあるオーストリア国民は熱狂的に支持。

 続いてヒトラー総統は、スデーデンラントの割譲をチェコスロバキアに求めます。

 

 ここで、すわ戦争と西欧は沸き立ちます。

 

 そしてついに英仏が重い腰を上げ、イタリアのムッソリーニー総統の仲介の元、ここに戦争を避けるためのミュンヘン会談が開催されます。

 これが、ムッソリーニー総統の絶頂の時です。

 

 その前後にスペインでは内乱が激化。

 もう西欧は、共産主義と全体主義のために大混乱です。

 幸いこの時は、各国の努力により戦争は何とか回避されていますが、いつ何時大戦争が再び勃発しても不思議でない事態です。

 

 しかも、ドイツは第一次世界大戦で取られた領土の全てを奪回しドイツ人を解放すべく、舌の根も乾かぬうちにドイツ人にとっての最重要目標と言えるダンツィヒ奪回のためにポーランドに圧力を加えようとしています。

 

 何やら、本当に戦争三分前と言った雰囲気です。

 


 その頃日本は、いったい何をしていたのでしょうか?

 軍備面では、海軍はせっかく揃えた八八艦隊のお色直しの真っ最中です。

 大半の戦艦の大改装を、米国との協調によりさらに強固になった太平洋の平和に任せて、戦訓に従い行っています。

 もちろん、条約内での軍艦の建造も、世界初の戦略空軍である海軍航空隊の建設も国富の拡大に伴いせっせと行います。

 ついでに、遠洋航海などしてアメリカ海軍との親睦も深めましょう。

 言うではありませんか、「昨日の敵は今日の友」と。

 

 一方陸軍も対ソ戦備を増強すべく、戦車、航空機の増産とそれを運用する新たな部隊の創設などを、限られた予算の中からせっせと行います。

 また、支那動乱に際しては軍事顧問団を多数派遣して、戦訓と戦技の修得と商売に精を出しています。

 ですが、欧州情勢の逼迫とソ連強大化の対策として、念のため動員準備だけが進められます。

 お金のかかる大陸軍の建設も、対ソ脅威と言う現実的な問題があるので、太平洋戦争後、好景気による予算の拡大の元それなりに本格化し、徐々に満州に一大陸軍の出現が始まりつつあります。

 1940年頃までに、ソ連の増強の合わせて25個師団体制(在満州12個師団、他、満韓合計10個師団程度)が完成予定です。

 数年後にはさらに大きな陸軍の拡張が予定されます。

 しかし、もしそうなればそれは大戦争を意味しています。

 

 一方外交では、明治期の優れた外交はどこへやら、平和と大国意識の上にあぐらをかいて、色々なお題目は名ばかりで貿易拡大を念頭にした、アジア・支那経営の強化が行われています。

 欧州には反共同盟のための外交をしている割にはロクに目もいっていません。

 もっとも、対外リアクションが出来ない大きな理由に、太平洋で大戦争をしたばかりで、他の列強とやり合う元気はさすがにないからと言う理由があります。

 

 また、日本にとってこの時点で最も重視すべきは、やはり対ソ対策であり、そのための関係各国との同盟関係の強化にあります。

 さらに、ロシア帝国の時代よりカムチャッカ半島も割譲しているので、ここでの紛争を出来る限り避けるべく対ソ外交で努力が払われる事でしょう。

 

 そして、日本がもたもたしている間に、欧州は徐々にきな臭くなりますが、特に西欧の外交にまで口を出すことはありません。

 反共同盟こそ何とかしたいと思ってますが、どうも肝心の欧州列強の仲が穏便でないので、せっかくの外交方針も空回りです。

 

 そう言う訳で、ここでの日本外交の状態は、すなわち「傍観」です。

 西欧で巻き起ころうとしている鋼鉄の嵐を避けるための準備だけしつつ、何もしない状態となります。

 当人たちは、一生懸命色々動いているつもりですが、自分本位過ぎるうえに主体性に欠けるので、結果としてそうなります。

 何やら、ライバルを失ってしまったスポーツ選手のようでもありますが、この世界の日本には、金儲け以外の事はあまり頭にありません。

 持てる国となった日本には、自国本位に考えればもはや自ら積極的に戦争する理由が特にない事も、外交的無定見の大きな理由となります。

 極端に考えれば、損得勘定を加味すると「大東亜共栄圏」すら、ナショナリズム的観点以外からは最低限以外必要ないとすら言えます。

 


 さて、そうした中発生するのが、ご存じ「ノモンハン事変」です。

 これは、日本の関東軍とソ連軍の偶発的な衝突が、次第に様々な偶然と必然によりエスカレートし、双方大規模な機械化部隊を投入しての軍事衝突となったものです。

 

 しかも、満州に大油田が発見され、それを日本がせっせと開発し、周辺(満州)の軍事力を増強しているのですから、日ソが満州で何らかの軍事衝突を行う可能性は、史実より遙かに高いと言えるでしょう。

 

 火葬戦記世界では、時間犯罪がいかに進行していようと、お約束とすら言える事件ですので、委細については、ここでもほぼ同じ経緯と辿る事になります。

 

 ただ、史実の資料を比べると、日ソの絶対数での死傷者数がほぼ同じだったという資料が旧ソ連の資料にありました(未確認含む)。

 つまり、物量が互角なら、結果として日本側の判定勝利になる可能性がある事になります。

 

 そして、この八八艦隊の存在する世界の皇国陸軍は、国力の増大に伴いこの頃には史実より豊富な予算を与えられている上に(史実の約1.5倍程度)、日華事変に連なる一連の戦争も発生していないので、贅沢な装備である火力と戦車・機動戦力をある程度主眼におき、歩兵による肉弾戦と言う悲惨な戦術は、ドクトリンとして選択されていません。

 

 さらに史実の二倍以上の国力があるので、後方兵担など近代的物量と言う点でも、陸軍上層部にとんでも無い無理解がない限りソ連軍にそれ程遜色するものでもありません。

 恐らく、補給(輜重)部隊も馬匹でなくトラックで主に物資を運んでいる事でしょう。

 

 また、史実よりも大規模な航空隊を保持、つまり投入される航空機数が多ければ、戦いをひっくり返す重要な要因となります。

 

 ただし、名将ジェーコブ将軍に対して、互角(ないしはそれ以上)に戦える将帥が当時の皇国陸軍にどれだけ居て、それが満州の僻地に派遣されるかと言うと、こればかりは旧軍の体質的にかなり難しいと言えるので、事変そのものの顛末は、結果として双方力つきてのドローという結果に終わります。

 

 そして、この事件により日本陸軍の目はより対ソへと向くことになり、満州駐留軍、通称「関東軍」と陸軍そのものがさらに増強される事になります。

 

 また、ここで陸軍大国ロシア=ソヴィエトと互角の戦いをした事は、日本陸軍の対ソ意識を煽り、さらに戦闘においても「ソ連何するものぞ」と言う自信(増長)を生み出す事になるでしょう。

 

 しかも、この少し前に「独ソ不可侵条約」が締結されるのですから、対ソ警戒が強くなるのはなおさらです。

 それは、この世界の日本は史実ほどドイツとの関係が強いわけでも、信頼している訳でもないので、ソ連との緊張はより高いものとなります。

 陸軍、そして政府が、準戦時体制への移行を始める可能性すら十二分あります。

 少なくとも前線部隊のデフコン(当然こんな言葉は使わないが)は上昇しているでしょう。

 

 かくして、日本は米国との限定総力戦をして数年を経ただけで、戦争体制への移行へとシフトして行くことになります。

 



■欧州大戦勃発 ▼


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