土地購入
川村に送られて駅についたが、特急の出発時間まで少し余裕があった。
「まずは、周辺の地図がいるな」
幸い駅ビルには書店があり、比較的大きな地図コーナーがあった。1万分の1の地図を欲しかったがなかったので、県全体の地図と観光地図を3つほど買った。観光案内所へも行き、タクシー会社とバス会社が載っている冊子を手に入れた。駅前にあるレンタカー会社の名前を覚えた。売店で、ボールペンを買い、今買ったばかりの地図に覚えている限りの情報を書き込んだ。
乗った特急は平日にもかかわらず出張帰りなのかこれから出張なのかわからないが、サラリーマンが多く居て混んでいた。
隣もサラリーマン風だったが、席に着くと眠ってしまった。起こさないように音に気をつけながら、駅の位置や駐在所の位置と見ていったら、意外なほど本署が近くにあることに気づいた。
今日起きたことを様々思い返しながらメモをとっているうちに、特急の終点に到着し、自宅最寄り駅までの路線に乗り換えたところで、大事なことを忘れていたことを思い出した。
「苗字がわからないじゃないか。調べにくいな」
家へ戻ってから電話で聞くことにして、駅前から実家へ電話をかけた。母が出た。「連絡しなくてゴメン。なにか変わったことはない?」と聞くと意外な返事が返ってきた。
「珍しいわね。一週間とあけずに電話してくるなんて。あなたこそ、何かいいことでもあったの?」
一瞬面食らったが、時の穴の話をふっと思い出した。また、行くことになるんだと確信した瞬間だった。やはり計画を進めないといけない。
「まずは法務局だな」