再び森へ
今日中に帰らなければならない理由もないので、もう一度「森」へ行きたいと話すと、馬鹿にした口調で
「暇な人ねぇ。そんな時間があるってことは、無職?」
「いえ、自宅で仕事をしているだけです。今日は散歩していたんで」
「それにしても、帰らなくていいの?独身かな」
「一人暮らしですけど、両親は近くに住んでますよ。彼女とかいないけど」
「お金は持っているのね」
「いや、そう何日も滞在できるほどでも。ただこのまま帰ってもすることがない」
「なんだ。やっぱり無職なのね」
「誤解されてるね。でも本当に自宅でしている仕事で時間はある程度自由に使えるんです」
「ところで婦警さん、年幾つ?」
「女性に年聞くなんて失礼よ!」
「俺24、どう見ても、年下に見えるけどなぁ」
「確かに年下。一個下。ああ言っちゃった」
「へへ」
「なによぉ」
「いや、ちょっと好みかな」
「とにかく駐在所に戻って調書作るから」
「え、駅じゃなく?」
「そう。おとなしく帰らない不審者は、きちんと取調べをします」
「ゲ!」
それから駐在所まで、あれこれ話しながら連れて行かれ、途中財布の中に10万円ほどあるのを確認した。これなら2,3日泊まれるなと皮算用して宿屋を教えてもらおうと考えているうちに駐在所に着いた。
駐在所では、あとあと何度も顔を合わす川村巡査部長が待っていた。