冬の寒さとふわふわわんこ
初めて連載形式にするので、至らぬ点があったらこっそり教えてくださいね。
太陽が顔を出し始めた頃。
足元の雑草に降りた霜に、
深呼吸し肺を満たす空気に、
首に巻いたマフラーのぬくもりに、
冬の、匂いがする。
しゃがみ込み、名も知らない草を眺める。
「雑草という植物はないのです……だったか?」
誰の言葉だったっけなー、うーん。顎に手をあてたり、頭をぐりぐり押したり、どうにか思い出そうとする。
「ま、いっか」
いつか思い出したら、その時に。
立ち上がり、体をほぐすように伸ばせば、首元にできた隙間に風が吹き込む。
「おぉわっ。さっむ」
ぶるっと体が震えた。その「寒い」という感覚さえも忘れかけていた。「どうだ日本の冬は、寒いだろう?」と挑戦的に言われているような朝に、むしろ気持ちが高揚する。
寒いのは確かに寒いけど、
「場所は変わっても、何も同じじゃなくても、アタシだけはアタシ、っしょ!」
おっしゃぁー! と、気合を入れるように叫ぶ。
犬の散歩をしているお爺さんが、怪訝そうな顔でこちらを見る。おや、とその視線には気づくものの、どちらかと言えばアタシの目はわんこにくぎ付け。
だって、豊かな毛並みをした大型犬! アタシは動物全般大好きだけど、特に大きくてもこもこの毛並みをした子は大好きだ。
「おはよございます! 今日も寒いですねー」
そう声をかけながら近づく。お爺さんは微笑むと、「んだなぁ」と訛りのある発音で返事をした。
「あ、わんちゃん可愛い。触ってもいいですー?」
「構わんで」と、さっきと同じような訛りで言葉を返してくれる。やった! しゃがみ込んで、そのふわふわの体を思う存分撫でる。
「うっわぁ気持ちいい。可愛い!」
撫でれば撫でるほど、「もっともっと」とねだるように頭を寄せてくる。「おりゃー!」と自分で言いながら毛をぐっしゃぐしゃにしてやった。
「甘えん坊だがらねぇ、撫でると喜ぶんだで」
「へぇ~、そうなんですね~、っと、おーわっ」
ちょっと撫でるのをやめると、わんこは前足をアタシの足にのせてきた。……さてはこやつ、アタシをどこにも行かせない気だな?
「上等だー!」
わしゃしゃー! と頭・首元・胴と触れる限り撫でまわす。
「……お嬢ちゃん、時間は大丈夫かい?」
一通り撫でながらお爺さんと言葉を交わしていると、不意にそう声をかけられた。
「え、あ! もうこんな時間?」
気づけば30分近く経っている。頑張っていつもより早起きしたのに!
「ま、いっか!」
早起きしたから、あのお爺さんに出くわして、わんこを存分に撫でられたんだし。
「じゃ、お爺さんありがとうございました! わんちゃんも、またねー」
手をひらひら、と振ると、タッと駆け出す。
うん、今日は良い日になりそうだ。
冬って寒いけれど、でも冷たくて澄んだ空気を吸い込むと気持ちいいですよね。
ただ自分の場合、早起きできなくて、いつもより長く布団にこもりたくなっちゃう朝もあります。そういう時にこそ、えいやって外に出て深呼吸して、冬の匂いを探してみるのもいいのかもしれないですね。




