表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コネクター  作者: ユエ
エピローグ
57/57

2 その先の希望

 


 映像はここで途切れた。


 場所は都立高校二年一組の教室。流のクラスメイトがモニターを見つめていた。

 教卓に立つ教師が、全員の顔を一巡する。



「これが今回異常な誤作動を生じた機体が、我々に残したメッセージの全文だ。同機体は、記憶データを抽出したのち即時処分を実行した」



 クラスメイトたちは誰一人反応を示さず、次の言葉を待った。



「鈴白流の肉体は、余すことなく回収された。現時点で既に修復再生が行われ、血流も問題なく再開している」



 モニターの画面が切り替わり、流が映し出される。

 固く瞳を閉じ、渇望していた眠りを享受するその顔は、今にも目覚めそうなほど綺麗に整えられていた。



「自律的な呼吸も始まった。後は脳波が戻れば、自然と目を覚ますはずだ」



 教師は宣言する。



「その日を待ち、我々は鈴白流という、特質な人格の調査を再開させる」



 培養液に満たされた水槽の中で、眠り続ける流の肉体。


 それを見守る数多のアンドロイドたちは、心から彼の目覚めを待ち詫びていた。



「このたび彼に降りかかった一連の不幸に対して、一分間の黙とうを捧げよう」



 いつの日か目を覚ましますように。人事を尽くした彼らは、天命を待つ。


 もしもその日が来たとき、アンドロイドは喜びに沸き立つのだろう。見開かれた瞳に宿るのがどれほど虚ろな光であったとしても、アンドロイドは歓声を上げるに違いない。


 その日、その時、その瞬間が訪れることを願って。


 アンドロイドは祈りを捧げる。







 そして、意識が切り替わった。



「よし、教科書を開け」



 教師は教壇に向かい直り、クラスメイトたちは教科書を開き始める。何一つ変わったところなどなく、各々が思い思いの形で授業の準備を再開させた。


 まるで何事もなかったかのように、流の席だけが誰も座らぬ空白のままで。


 それを特別気に留めることもなく、今日もまたアンドロイドたちの一日が始まりを迎える。



 





 

 

 

読了ありがとうございました。「コネクター」はこれにて完結です。


評価ポイントで応援してくださった方、感想やレビューをくださった方、そして読んでくださったすべての読者様に、深く感謝しております。


よろしければまた、別の作品でお会いできることを心待ちにしています。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
   
読了、ありがとうございました。
感想・評価いただけると嬉しいです! 最新話下部にあります
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ