森で一番の冒険家
リックはお家目指して、駆け出します。
あぁ 狼がリックのほうに飛んでいく。
狼は空の上から、大きな口を開けてリックを狙っています。
このままではリックは食べられてしまいます。
「神様 リックを助けて・・・」
子猫さんと、リスさんと、お猿さんと、狸さんと、ゾウさんは祈ります。
あぁ 危ないっ
皆が目を閉じたとき、空からすぅっと小さな雲が下りてきました。
そうして狼の頭に「ごっちんこ」とぶつかります。
あぁ 羊さんだ。
羊さんが空の上から助けに来てくれたのです。
狼は頭をぶつけて、ふらふらと歩きます。
「チュウッ」
ネズミの女の子が、足にしっかりと噛みつきます。
足がもつれて、大きな木の蔓に絡まって動けなくなってしまいました。
そう、この木がなんの木か、皆さんは気が付いていますよね。
やっとお家について、ドアを叩きます。
おとうさんとおかあさんに、狼が来たことを伝えなくちゃ。
「おとうさん おかあさん 狼が来たよ」
おとうさんとおかあさんは、あわてて飛び出してきて、リックを抱きしめます。
リックが指さす方向には・・・狼が木の蔓に絡まって目を回していました。
「これはびっくり たまげたなぁ」
おとうさんとおかあさんは、目を丸くして驚いています。
狼の後ろには、ネズミさんと、子猫さんと、羊さんと、リスさんと、お猿さんと、狸さんと、ゾウさんがいます。
リックが心配で、皆で追いかけてきていたのでした。
「おとうさんは、リックは夢の話をしていると思っていたよ。」
「おかあさんも、リックは不思議な夢をみるのねと思っていたのよ。」
二人はそんなことを言っています。
やれやれですね。
『あらいぐま リックの冒険』のお話はこれでお終いです。
けれど、リックのことですから、今日もどこかで冒険していることでしょう。
なんといっても、リックは森で一番の冒険家ですものね。
夢扱いされてショックを受けるリックさん3歳の画像を挿入しました。