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誕生と予感

前書きは特にありません。


あえて言うなら、作者の力不足でよくよく考えると可笑しな点があるかもしれないとだけ、お伝えします。


ただ思い付いたことを書いただけの作品、有りがち設定ですが自己満足のためだけの小説なのであしからず。


冷たい診察台に眠る一体の人形があった。

私はこの一体のために数十年も費やした。

それほど私にとって、価値のあるものだった。


世間では既に、お掃除ロボットや家事ロボットのような人型アンドロイドは開発済みだが、今後の日本に本当に必要なものはいまだに揃ってはいなかった。


「これなら、きっと軍一個分にはなるかな…」


私は数日結び直していない邪魔な前髪をかき上げ、笑みを浮かべる。

早速起動してみようとパーソナルコンピューターに接続(アクセス)する。


パチッと見た目16歳の少年が目を覚ます。ウィーン、という機械音と共に起動を開始し、少年の藍色の瞳に光が宿る。

私が近付くと、少年はゆっくりと身体を起こした。

私が思った通りの少年、そして人間らしい動作だ。


「…私は(あららぎ)香菜(かな)よ。始めまして、零式(ゼロシキ)


私にとってこの子は残念ながら、作品には含まれない。

極秘事項で、この研究所を運営する政府にも黙って作り上げたのだ。

存在しない機械人形、だから零式。

ゼロ番にして、私の最高傑作。


「……名前は、零式ですか?」


機械が話す片言の日本語とは程遠い流暢な、人間そのものの日本語で零式は私に質問した。


「それは違うわ、名称よ。君の公式名は機械人形(アンドロイド)零式アラタ。だから零式。因みにアラタは(アラタ)の大御神という神様から取ったの」


「…アラタ、ですか。なら人間のような名前はないんですね」


人間のような名前?

私は少し驚愕する。普通の機械人形なら、人間の名前なんて気にしないものなのに。


「君は人間らしい名前が欲しいの?」


「欲しいとは思いませんが、あった方が都合がいいんでしょう?」


「…そうね。これから君には色々と苦労をかけるだろうし…」


零式じゃすぐに機械人形だとバレるかも。


「…それなら、私の蘭、という名字と零式の零の呼び方を変えて…」


「…(あららぎ)(れい)ですか?」


「そうそう!それでいいでしょう?分かりやすいし」


「…構いません」


零は診察台に座り、白のシャツとズボンという簡単な格好で立ち上がった。そして自分の足や、腕を眺める。


「…博士が、俺を作っていたとき。てっきりこんなに人間に似た身体(ボディ)になるとは思いませんでした」


「あ、あの時ね?一度脳となる基礎精神を作り上げて、起動してみた時の。あのときは口がまだないから、話せなかったのよね」


楽しそうに私は話し、零も様々な質問を私に投げ掛けた。

待ちわびていたこの日が、とても楽しかった。

零は思っていたより好奇心があって学ぶ意欲もあったし、私の脳に蓄積されている長年の知識を、零の脳部分に記録(インプット)させておいたおかげで話も良く合った。


「一つだけ、聞いても?」


一応、零の身体の検査を行っていた時に聞いてきた。

私は快く頷く。


「…博士は、どうして俺を作ったんです?政府に秘密なんて、そんな危険なことをしてまで」


「そうね…私、本当は機械が大嫌いなの。特に自動人形(オートマトン)はね。彼らって命令にただ従うだけじゃない、脳に刷り込まれたたった一つの命令を」


「それは機械人形も一緒です。心がないから、命令に忠実で」


「そうかもね、でも零は違うのよ。私、天才だから…心まで、作れたのよ?」


そういって笑う博士と、不思議そうに見つめる機械人形。

その後一人と一体は、まるで親子のように数年を共にした。

零はその間に人間の生活に慣れたし、自分の燃料(エネルギー)についても学んだ。自分が普通に食事をすることで燃料を得られること、自分の手足の整備、錆になんて犯されない特別な鋼金属で出来ていて、頑丈なのに人間のような皮膚の感触になるよう工夫されていること。


そして、最後には。

絶対に機械だとばれないこと。


「バレたら、貴方は自動人形たちに狙われるわよ?貴方って最新技術で、しかもこの世に生まれてることを認識されてないんだから。表には私の子供ってことになってるしね?」


「なら、俺を…戦闘用にしたのは何故ですか」


そう問われると、博士はにっこり笑う。


「私、博士よりも先生になりたかったのよ。この後、日本に波乱が来ると思うわ。それも大規模のね。私だって無事じゃないかもしれない。だから、対抗できる子供を教育しないといけないのよ。私、学園を作ってるの」


この言葉通り、数ヵ月で博士は学園を作り、創設者になった。

世界に対抗するため、人工島を丸ごと学園に変えてしまった。学園を作るという計画は、以前から進めていたらしい。

その頃には、ある事件が勃発していた。


大勢の自動人形を率いり、テロ行為を繰り返す組織"カナリア"。

大企業や日本の軍施設の破壊を繰り返し、あげくに日本政府との戦争も始めてしまっていた。

何よりも、自動人形ばかりが戦闘員に組み込まれているためカナリア側は損害が少なく、自動人形は特別な技術は必要なしに作成する機械と鉄さえあれば何体でも作成できた。


博士は、こうなることを予測していた。

予測していて止めることが出来ず、対抗するための若者を欲しがって学園を作ったのだった。


日本は人手が足りず、強制的に満16歳の少年少女たちを学園へと入学させた。

こうして、日本は第三次世界対戦を始めたのだった。


博士は零も学園へと入学させ、零はすでに知識などを取り揃えてほぼ人間と変わらなくなっていた。


時間はすでに丸二年、零が作られてから6年後のことだった。

読んでいただきありがとうございます、

ここからの展開は後々ゆっくりと書いていこうと思います、あくまで趣味ですので。


ただ、感想や改善点等々コメントをいただけると嬉しく思います。


今後もよろしくお願いいたします。

一応登場人物を書いておきますね!


蘭香菜(あららぎかな)

職業は研究所の博士。零を作った本人で、本人談いわく自分は天才らしい。世界で初の機械人形の心を作った人物であり、更に学園創設者。


蘭零(あららぎれい)

蘭博士に作られた機械人形。限りなく人間に近い容姿に作られ、顔はそれなりにイケメン。戦争が始まった際は作られてから6年経っている。見た目年齢は16歳で、当然それ以上は老けない。博士は戦闘用として作ったため、スペックは非常に高い。

博士には学園と生徒を守るという使命を言い渡されて学園に入学する。

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