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8月31日~夏の終わりの風物詩~

作者: 麻生愛海

いよいよ夏休みも終盤。世の中早めに片付けないと大変なものがありますね。

学生の皆様課題は進んでいますか?計画的に課題は終わらせましょう。

 今年もまたあの日がやってきた。

「あぁ。もうすぐ夏の終わりか…」

大量の宿題と格闘しながら私はため息をついた。机には算数や漢字のドリル、読書感想文、日記…。

学校から出された課題が一つの山のように積み上げられていた。

夏休みは今日で終わり、明日から学校が始まるというのになぜ宿題がこんなに片付いていないのか。

それは言うまでもない。

「今日は疲れてしまったから明日やる。」何かに口実付けて先延ばしにしてしまったのだ。

そして今はカラスが名残惜しむかのように鳴く夕暮れ。

「どうしてこうなっちゃうのかな…。」

頬杖ついてボロりとため息つく。

「どうしてこうなっちゃうんだろうね…。」

聴こえてくるはずのない幼なじみの面白み含んだ忌々しい答える声が聞こえた。

後ろを振り向くと戸口でニヤニヤしながら待っていた。

「ちょっと!何故あんたが私の部屋に無断で入ってきたの?あんたなんてお呼ばれしていないわよ」

そうくってかかると、幼なじみは肩をやれやれとすくめた。

「夕飯ご馳走するなり何でもするから夏休みの宿題手を貸してくれと今朝メールよこしたのはどなたさん?オレも自分の課題なり用事を済ませてこんな時間になっちゃったんだけど…。随分ひどい言い分だな。」

そう突っ込まれてうっとなった。

確かになんでもいいからとにかく手伝いに来いとメールしたような気がする。

「まぁ。お前が8月31日に課題地獄に陥っていつもオレに泣きついてくるからいつもの恒例行事だよな。

大体いい加減学習しろよ。どう夏休み過ごせば最後の日泣かずに済むかって…。ブツブツ言う間に終わらせるぞ。要は始業式の日に提出しないといけないものを終わらせれば当面なんとかなるだろう。」

深い溜息きをつきながら私の机の元に来た。

「うわ…お前本当にこの1ヶ月の夏休み一体なにしていたって言うんだ。どうせ、最後の1週間でなんとかなるとか思っていたんだろうな。幸い自由研究や図画工作とか構想練るのに手間が掛かるのは終わっている。…ってお前がオレと一緒にやったんだったっけ。…結構お前、人だのみなところ多いな」

机に積まれた課題を見て顔をしかめた。

「まだ明日は夏休みだから明日やればいいと思ったらついつい先延ばしになっちゃって…

やっぱり夏休みは有意義な物にしないとと思って…沢山予定入れてしまったから。」

「それ去年も同じこと聞いた。遊んでばかりで課題山積みは有意義になっていないし。」

と乾いた自嘲しながら言い訳する私とばっさりと容赦なく切る幼なじみ。

「でもちょっとずつして行ったんだよ」

と決まり悪くなり弁解する私であったが、彼は無言で白紙状態の漢字スキルを目の前に叩きつけた。

「最後の日に10ページ以上も白紙になっているのに威張って言うなって。

ボヤボヤしているとさっさと夜になってしまう。さっさと始めるぞ。」

「う、うん…」

こうして日が暮れるまでの2、3時間私たちは忙殺された。

「読書感想文は、大体物語が話の展開が分かりやすい物を選んで要約と適当にそれらしいのを書けばいい」「大体算数苦手だからと言って後回しにするなって…。」

「時事のレポートは今時ネットでいくらでもネタが上がるだろう。

それを適当に選んで適当に選べばいい。ったくほったからしすぎだ」

等とブツブツ言いながら彼は手伝ってくれた。明日ていしゅつするものだけ終わらせることができた。

「ふっ~とりあえず難を逃れた。」

「もうこれに懲りて来年は計画的に課題を片付けるんだな。」

氷の入れた冷たい麦茶飲みながら机にぶっ倒れた。

暑さもまだ残るこの夏の終わりに冷たい麦茶で喉を潤せれば一仕事をしたという気分になり、

爽快感とどっど疲れが出る。机の側にあった私のベッドに二人で仲良く寝転んだ。

「…それにしても今年の夏休みも風物詩が来て終わりだな。夏も。」

寝転びながら苦笑交えて幼なじみが呟いた。その声には名残惜しい響きがあった。

過ぎ去っていく休みを惜しむような声だった。この日が終わったら学校が始まり、新たな学期を過ごしていくのだろう。そういえば夏ももう終わりだ。

「風物詩…?」

ぼんやりと私はなんとなく尋ねてみた。

「オレの夏休みはお前の夏休みの宿題に付き合って終わるんだ。

去年も一昨年もその前の年も付き合わされていたらそう思ってさ。」

力なく笑った。私はムッとして聞いた。

「じゃあ、何で毎年付き合ってくれるのよ。断ればいいんじゃん」

「…」

ふたりの間にしばらく沈黙の時間が生まれた。

「お前こそどうしてオレに手伝いを頼むんだよ。他にもあてがあるだろう?」

そう切り返されて言葉に詰まった。そしてややあってから顔を気恥ずかしそうに赤らめて答えた。

「そ、それはあんたなら何がなんだで手伝ってくれると思ったの。

ど、どうしてそう思ったのか分からないんだけど…。1番に気の置ける存在だからかな。」

ふふと照れ隠しに笑ってごまかした。

「ったく困った幼なじみだぜ。幼なじみのよしみで付き合うために。この日毎年空けているんだけどよ。今年は予定外の予定が入っちまったが…。今年が来てからこれがないと夏休み終わった気が最近しねぇな。」

へへと楽しげに笑いあってから静かに寝転んだ。

「夏終わるな。」

「うん…」

しみじみと夏の終わりを一番感じるこの日が終わった。


私は学生時代の夏休みの課題の思い出はよく覚えていませんが、あまり31日に慌てた記憶がありませんね。強いて言うなら理科の自由研究にかなり苦労した記憶がうっすらあります。

親巻き込んで悪戦苦闘したような…。でもよく覚えていないならあまり苦労しなかったか嫌すぎて忘れてしまったかもしれません。あなたはいかかですか?


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