かいがら
大体は、白か、黒か、紫か。
ときどき、ベージュだったり、茶色だったり。
探そうとすると、見つからないけど。
ただ歩いているだけなら、足元から音が聞こえる。
しゃり、しゃり。
ぱり、ぱり。
踏まれれば、砕け散る。
波にもまれ、粉になる。
黒かったものが、白くなり。
茶色かったものが、白くなる。
どんどん、どんどん、粉になる。
からの中身は、とうに無く。
何が食べたのかも、何が入っていたのかも、わからない。
白く砕けたからは、砂に交じって。
でも。
砂に、なれない。
いつまでたっても。
足元の音は、しゃりしゃり、ぱり、ぱり。
貝殻の持ち主は。
僕に踏まれたものを見て。
何を思っているのだろう。
粉々になって、どこまでいったら、かいがらは、かいがらではなくなるのですか?