第1話:腰振る夜に
「お尻を!お尻を顔に乗せて窒息させてください!」
「んー?これが良いの??」
「ん!んぁ!んん!」
「ほら!!若い女の子にケツで顔面踏まれて嬉しいんでしょ?」
ああ!やっぱり日本の風俗は最高だ!
ホスピタリティが桁違いだぜ!
おっと、冒頭からとんだ御無礼を。
俺の名前は堀辺由太。
世界中の風俗を開拓する気高き風俗レビュワーである。
世界広しといえどもエロは万国共通。
そうでありながらも千差万別。
俺は理想の風俗体験を求めて極東の島国を飛び出し、東南アジアを皮切りに西回りで各国を掌握して、遂には南米まで踏破した。
そして、始まりの地であるここ歌舞伎町にて、まさに集大成を迎えようとしているのだった。
世界中の風俗を回って得たものは多い、その一方で失ったものも少なくない。
その筆頭は金と仕事だ。
『短い人生、好きなことをしろ』
そんな啓発セミナーにありがちな口車に乗せられて、気が付けば貯金は尽きてスッカラカンの一文無し。
このプレイが終わったら真面目に働かなければならないが、とても普通の職には就けそうにない。
面接官「ブランク期間は何をされていたんですか」
俺「世界中の風俗を巡ってましたー」
想像するだけで地獄だ。
そんなどうでも良いことは忘れて、今は目の前の現実を堪能しよう。
蒙昧な回顧の最中も、若い嬢の執拗な顔面騎乗は続いていた。
「どう?苦しい?でもそれがいいんでしょ?」
「ん!んー!んぁん!」
最高だ!本当に最高だ!
海外風俗は抜くことばかりで、創意工夫をしなかった。
それがどうだろう!
この小さな島国では、20歳にも満たない女の子がこんなにもゲストを楽しませようとしている!
先人たちは言った。
「Japan as No.1!!」
さて、苦しさのギリギリまで堪能するのが紳士の嗜みであるが、さすがにこのままでは本当に窒息してイってしまいそうだ。
俺はベッドを叩いて「もう止めてくれ」と意思を伝える。
「苦しいの?ねえ?死んじゃいそう?ねえ?」
「んー!んーんー!んー!」
嬢は俺の頭を足とケツでがっちりホールドしている。
その圧力たるや恐ろしいもので、 女性の下肢の筋力は150kgfにもなる。
それは一般男性を拘束するには十分な筋出力だった。
しかも、変なスイッチが入ってしまっているのか、楽しませ方の加減が分からなくなっているらしい。
ヤバい、意識が遠のいていく。海外疲れで思ったより体力を消耗していたようだ。
朦朧とする意識の中で、一つの箴言が頭を過る。
『若い風俗嬢とのハードプレイには気を付けろ』
体からスッと力が抜けて、意識が回復する。
目を開けると眼下には、ボディコン姿の女性が見えた。
彼女は泣きながら、中年男性の体を揺っている。
「ねえ!起きて!ねえ!」
おいおい、何をそんなに慌てているんだいお嬢さん。
そんなオッサンが目覚めなくたって誰も困らねえだろ。
しかし、その中年の男にはどこか見覚えがある。いや、今までに何度となく見てきた顔であり、見過ぎて見飽きた顔であった。
そうして俺ははっきりと理解する。
死者:堀辺由太(享年38歳)
死因:顔面騎乗による窒息死
ーー おらは死んじまっただ~♪
俺は何かに操られたように雲の階段を登る。
よたよたと登り続けると天国の門に到着した。
天国の門は果てが見えない程に大きく、訪問者を威嚇するように厳格な門構えである。
「おいおい、どうやって入るんだ?」
途方に暮れる俺だったが、不意に肩を叩かれる。
「お兄さん、今日はどんな遊びをお求めですか?」
「は?」
「いいおっぱい入ってますよ!どうっすか?」
その怪しげな男は革製のケースを片手に、お決まりの営業スマイルを張り付けている。
「いや、俺はそういうのいいんで」
「お兄さん天国初めてでしょ?遊んでいきましょうよ?」
「えー、どんな子いるんですか?」
エロの探求心には勝てない!!!
いや、見るだけだから!見るだけ!
「人間が良いですかね?」
「え?!人間以外もいるんですか?」
「そりゃ人間以外もいますよ。天国ですから」
「え、えっと。例えば???」
「エルフにフェアリー、獣娘やモンスター娘まで、なんだっています」
「まじっすか。。。」
「お兄さんの好みをガツンと言ってもらえれば、そこにピッタリの子をガッシと当てますんで!何でもいってください!」
おいおい、なんてこった。ここは天国なのか?
「えーと、そしたら…」
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2026年5月8日 堀辺由太




