7.かつての故郷
7人は、小泉の言う隕石の場所を目指した。しかし、一向に隕石は見えてこなかった。
「小泉ぃ、ないじゃん隕石。」
和寿は、小泉を問い詰めるように言った。小泉は、ため息をつきながら謝った。その様子を見ていた5人は、同情した。
和寿は、親しみやすい人間ではあるが、自分の思い通りにならないとすぐ不満を口にし、周りを問い詰める性格が300年経っても変わっていなかった。
「小泉、気のせい…じゃないのか?」
ヤスは、小泉を気遣うように声をかけた。
「大丈夫だ…昔から俺は少し感覚が変わっているだけだからな…すまない。」
小泉は、平静を装っているつもりだったが、落ち込んでいることを隠しきれていなかった。
そんな中、マサオが何かを見つけた。
「ねぇ、あそこってなんか見覚えない?」
マサオの言葉で、6人が辺りを見回した。すると、確かに見覚えのある建物が壊れているがそこにあった。
「この建物…どこかで。」
ヤスの言葉は、現在の7人の心情を表していた。すると小泉が口を開いた。
「間違いない…ここは俺が以前住んでいたアパートだ。」
小泉の言葉で、6人はようやく思い出しかけていた記憶を蘇らせた。そして、潤が口を開いた。
「ま、待て。ってことは、ここは…」
「間違いない。ここは…俺達が大学時代に住んでいたアサヒ町だ。」
潤に続いて小泉が言った。その事実に、7人全員が驚愕した。300年前、一同は大学時代にアサヒ町で交流していたが、既に全員がそれぞれの地域に離れ離れになったはずだった。しかし、目の前のアパートは、今いる場所がアサヒ町であることを証明していた。
「どういうことだ? 俺たちは確かアサヒ町を離れて暮らしていたはずだ…」
マサオの疑問の言葉には全員が頷いた。そして、木限アミが突然ある方向を指差した。
「ねぇ! あそこ! なんかあるよ!」
アミの指さした方向へ7人が足を運ぶと、そこには小泉が言ったとおり、300年前に落下してきたと思われる隕石が大きなクレーターをつくって存在していた。しかし、隕石そのものは拳一つ分ほどの大きさしかなく、とても世界を破滅させるほどのものには見えなかった。
「なんだこれ? 小さいな。」
錦戸は、感じたことをそのまま口に出した。そしてためらうことなくその隕石を拾い上げた。
「見た感じ普通の石だぞ? こんなんで世界終わるか?」
ヤスは錦戸の疑問に推測で答えた。
「もしかしたら、世界を破滅させたのは隕石ではない可能性があるな。もっと強烈なものかもしれない…それより、小泉、なんでここに隕石があるとわかったんだ?」
ヤスの言葉に、小泉は言葉を失った。直感だった。脳内に勝手に映像が映し出されたが、それが何なのか、翔自身もわからなかった。
すると和寿が急に小泉の肩を掴んだ。
「わかったわかった! これが岸辺の言ってた不思議な力なんだよ! 良いよな小泉、一人だけ目覚めて。」
嫌味のようなニュアンスの言い方に、小泉は手を払いのける。小泉自身が一番戸惑っていた。まるでかつてテレビで見た透視能力を自分が身につけたような感覚。普通なら興奮するものだが、状況が状況なだけに素直に喜べなかった。
「もしこれが力なのだとしたら…未完成かもしれない。詳しい場所まではわからなかったから。」
小泉は、言葉を振り絞った。
「大丈夫だ小泉、誰もお前のことを恐れたりはしない。」
ヤスの言葉に、小泉の心は少し救われた。そして7人は隕石を持ち帰り、自分たちが目覚めた場所へ戻り、隕石を調べることにした。
しかし、その7人の様子を監視している者がいることに気づく者はまだいなかった。




