4.人類の遺言
小泉はディスクを機械に読み込ませた。
「一体それは何なんだ部長・・・」
潤は、小泉の取り出したディスクへの疑問を小泉にぶつけた。
「これは、人類の残したものだ・・・まだ内容は俺たちも見ていない。この手紙が一緒にあってな・・・コールドスリープや隕石についてが書かれていた。」
小泉の話が終わったと同時にディスクの読み込みも完了、映像が映し出された。そこには、当時の内閣総理大臣である岸辺直承が映っていた。
「あ・・・岸辺直承じゃないか!」
潤は映像を見た瞬間に驚いた。映像に映る岸辺直承は、そんな潤を無視し、話し続けた。
『今この映像を見ているということは、人類はおそらく君たち七人のみになったということです。しかし、今の世界は、あの隕石について調べられる状況ではありません。我々は、人類の今後をあなた達七人に託すことにします。未完成であるコールドスリープ技術ではあなた達の一命を取り留めるのが、精一杯です。おそらく、体の老化も通常よりもかなり遅いですが進行してしまうでしょう。しかし、決してあきらめないでください。あなた達は最後の希望です。無事、肉体が限界を迎える前に目覚め、隕石を調べられるよう我々は願っていま・・・』
岸辺直承の映像が謎の光に包まれ、砂嵐へと変わった。ここで一つ新しい事実が判明した。謎の隕石は少なくとも2回以上落下してきた可能性があるということだった。
「こんなことが・・・俺たちが眠っている間に起こっていたなんてな・・・」
ヤスは、当時でも見せなかった焦りの表情を浮かべていた。それは、この場にいる五人全員が同じだった。
「俺たちは未完成のコールドスリープにより、通常よりも遅いが目覚めたら老化が進んでいた・・・おそらく四十代だろう・・・一体俺たちは何年間眠っていたんだ!」
マサオは、現実を受け止めることができなかった。片手に握っていたギターを地面に叩きつけ、壊してしまった。
「私たちすっかりおじさんとおばさんだね。」
アミもすっかり元気を失っていた。そんな時、潤は小泉に提案した。
「そうだ部長、この機械で今が何年か調べられないか? 見たところ新しいようだし・・・」
「そうだな、やってみよう。」
小泉は、潤の提案を採用し、機械を操作し始めた。彼は、一番最初に目覚めた人物であり、その間も機械をいじっていたおかげで多少なりとも操作には慣れていた。
「なに・・・まさかそんな・・・」
小泉以外の四人も機械に表示された数字を見た瞬間愕然とした。自分たちが元々過ごしていた時代は2022年、しかし、機械に表示された数字は、2322年。彼らは実に300年もの時間、コールドスリープされていたのだ。
「うそだろ・・・300年・・・」
目の前のデータを信用することができなかった潤。しかし、それは紛れもない事実だった。
ヤスが口を開いた。
「でも何故、この機械はこんなにも新しいんだ? 300年もの間この機械が故障しないなんてありえるのか?」
ヤスの疑問は、その場にいる五人誰しもが抱いたものだった。しかし、マサオはある仮説を唱えた。
「もし・・・この機械自体も...俺たちがいるこの部屋全てがコールドスリープされていたら・・・可能なんじゃないか?」
マサオの仮説は、色々とつっこみ所はあるが、今はその仮説しか自分達の中で納得できるものはなかった。
そんな中、彼らの後ろにある扉が操作していないにも関わらず突然開いた。




