23.ラスケ市
潤達はついに ラスケ市 にたどり着くことができた。潤以外は、ラスケ市のことを全く知らないが、潤にとって現在のラスケ市は懐かしく、そして儚いものだった。
「見るも無残な姿だ。300年の間にこんなことになっていたとは。」
潤はそう言いながら一筋の涙を流したが、すぐに服の袖で涙を拭き、鼻声になりながらも5人に声をかけた。
「みんな、ラスケ市のことは俺が1番詳しい。まずは俺の実家があったところに案内するよ。そこでいったん休もう。」
潤の案内で一同は潤の実家に辿り着いた。家らしき建物は見受けられるが、見るも無残に倒壊しており、もはや人間が休めるような場所ではなかった。
「潤、大丈夫か?」
翔は潤のことが心配になり声をかけたが、潤はやせ我慢しながら大丈夫だと答えた。するとヤスは、あることに気がついた。
「おい潤、地面に扉みたいなもんがあるぞ。これは一体なんだ?」
ヤスに言われた場所を潤は見た。すると、潤の中でかすかに幼き頃の記憶が蘇った。
潤は幼少期、体を動かすことが好きな少年だった。野球やバドミントンに没頭し、幸いセンスもあり、スポーツというものを楽しむことができていた。そんな彼が家に帰った後、いつも不思議に思う場所があった。潤自身も何のために存在しているのかわからなかった、実家の冷蔵庫の下にある扉のような物。幼い頃の独特な感性で不気味な雰囲気を感じ取った潤は、そこに近づくことはなかった。
時々、好奇心が抑えられなくなり両親に「あれは何なのか」と聞いたこともあったが、はぐらかされるばかりだった。ただ1つ、幼き頃の潤がはっきり覚えていることがある。その話題を出すたび、両親は必ず冷や汗のようなものをかいていたのだ。
「ここは、ちょうど実家の冷蔵庫があった場所だ。小さい頃、この扉が気持ち悪くてな……近づこうとはしなかったんだ。」
潤はそう言うと、今でも若干の不気味さを感じながらも、なぜか自然とその扉に手をかけていた。
マサオは潤の行動に不安を感じていたが、潤はその扉を思いきり引いて開けた。扉の先には長い下り階段が伸びており、その奥は日の光が届かず、暗闇に支配されていた。
潤は、何かに取りつかれたかのように階段を下りていった。他の5人は、その背中が心配になり、後を追った。
「なんだここは……どうして民家に、こんな長い階段の地下室なんてあるんだ?」
なおは不安げに呟きながらも、黙って階段を下っていく。10分ほど歩いただろうか。暗闇の中、小さな扉のようなものが現れた。潤はそれを押したり引いたりしたが、びくともしない。
しかし、ヤスは、思いきり扉を蹴り飛ばした。鈍い音とともに扉は破壊され、6人は中へと入ることができた。
そこには、見たこともない機械、ホルマリン漬けにされた正体不明の生物、そしてドラマでしか見たことのないような異様な光景が広がっていた。




