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20. 愛の光

 和寿のとてつもない能力に潤たち6人は苦戦していた。どんな能力も作戦も和寿の言葉の前にはすべて無力化されてしまう。まさに絶体絶命だった。

 「こんなに清々しい気分は久しぶりだ。本当に悪い奴らだよお前らは、こんなにも良いものを独り占めしてたんだからな。」

 翔はなんとか和寿の動きや言葉を先読みしようとするが、すでにその力すら無力化されてしまっていた。

 「くそ、先が読めない…ヤスの鋼化もマサオの光速移動も何もできない!」

 悔しがる翔の姿を見た和寿は、翔を頭から踏みつけてきた。

 「誰も俺には勝てないんだよ。」

 和寿の笑みはかつてないほど不気味なものだった。それは己の力をコントロールできず暴走する亡者そのものだった。

 和寿はゆっくりとマサオに近づき、マサオを蹴り飛ばした。

 「お前とは一緒にフットサルしてたっけな。よし、今日からお前は俺のボールな。」

 和寿はそう言うとマサオの体を何度も蹴り続けた。苦しみの声を上げるマサオ。しかし誰も助けることができなかった。

 そんな中、アミだけが歯が砕けそうなほど噛みしめ、爪が手に刺さり血が滴るほど拳を握りしめていた。そしてアミはふらつきながらも立ち上がり、声を荒げた。

 「マサオから離れなさい!」

 アミの声にニヤつきながら視線を向ける和寿。

 「お?彼氏が痛めつけられて怒ったか?でも無駄だぜ。誰も俺には逆らうことはできない。」

 和寿はアミにゆっくり近づく。しかしアミは足を震わせながらも決して逃げず、和寿を睨みつけた。

 「たとえ和寿さんでも、マサオや私の友達を傷つける人は許さない!」

 アミは恐怖で涙を流しながらも、なお和寿に立ち向かった。

 「ならマリンのために死んでもらう!」

 和寿が手を上げた瞬間、アミは気付けば見慣れた景色を見ていた。先程まで死闘を繰り広げていたのが嘘のように不安や恐怖など何もない、懐かしいアサヒ町の景色だった。

 「な、なんで...まるで昔みたい。」

 アミが戸惑っていると遠くから声が聞こえた。声のする方に顔を向けるとそこには河川敷が見え、マサオ達がバーベキューをしている姿があった。

 「アミー!早くこっちこいよー!」

 マサオがアミを呼んでいた。アミは、すぐさま走り出そうとしたが全く足が動かなかった。それに気をとられているうちにまたしても景色が変わり、今度は暗い雰囲気でマサオと2人きりでいる状況になっていた。

 「俺達、別れた方がいいのかな...」

 マサオにかつて言われた台詞だった。そこでアミは悟った。これは、走馬灯だと。和寿の戦いの中、今、自分は命の危機にさらされていると考えた。このままでは、自分は何もできずに仲間と共に死んでしまう。しかし、既にアミは気づいていた。助かる方法を。そして、その後何度もマサオ達との過去の思い出を見続けた。

 アミは、目を閉じて深呼吸を1度行い、目を開けた。その瞳は何かを決意した様子だった。

 「絶対失くさない。恋人も友人も全て。」

 そう決意したアミの体が突如、桃色に輝き出した。和寿はすぐさま距離を取った。アミから発せられる光は瞬く間に巨大なものになった。

 「あれはまさか!」

 マサオは察した。その光は、自分が力に目覚めた時と同じものだと。光の中に立っていたアミは若かりし頃の姿を取り戻していた。

 アミの手の指先から直線の光線が鋭く放たれた。和寿は咄嗟に避けたが首をかすめた。

 「な、これはまさか…」

 驚いたのは和寿だけではなかった。全員が理解した。

 恋人、友人、己の大切なもの、愛するもののために光を放ち、その光を力へ変える。

 『愛の爆発ラバーエクスプロージョン

 アミが力に目覚めた瞬間であった。


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