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2.途絶えた記憶

 潤は、目を覚ました。しばらくの間自分が何者なのかすらわからなくなっていた。三十分、一時間経っただろうか、段々と記憶を取り戻していった。しかし、途中から記憶が途絶えていることに気付いた。河川敷で見たあの光、それが一体何だったのか、そこから自分はどうなったのか、それだけが全くわからなかった。

 辺りを見回すと自分が何かに入れられていることに気付いた。入れ物の中からは、外の光景がうっすらと見えた。見たことのない場所、見たことのない機械、様々な物が見えていた。

 「なんだよこれ・・・どうなってんだよ・・・」

 そうつぶやいた瞬間、彼を閉じ込めている入れ物がまるで機関車の汽笛のような音を立てて開き始めた。そして潤は自分の体が既に動かせることが分かると体を起き上がらせ状況を理解しようと脳を限界にまで働かせた。

 そんな中、潤は何者かの足音に気がついた。音のする方に目を向けると、青髪でメガネをかけた四十代の男がそこにいた。

 「ようやく目を覚ましたか、潤。」

 その声を聞いた瞬間、潤はその人物が何者なのか気付いた。

 「ぶ・・・部長?」

 潤の脳裏にかつての思い出がフラッシュバックした。その男の名は、小泉翔。潤が学生の頃、よく遊んだ者の一人だった。彼は、潤が所属していたクラブの部長をしており、それをあだ名としてつけて呼んでいた。

 「部長、ここは一体どこなんだよ。しかもなんでそんなじじいになってんだ、一体何が起きたんだ!」

 潤は慌てたように、小泉に問いかけた。小泉は、深く考え、口を開いた。

 「潤・・・落ち着いて聞いてくれ・・・今ここには七人の生き残りがいる。」

 小泉の言葉を潤は理解できなかった。こいつ、ついにいかれたのか、そんな言葉が脳裏をよぎった。小泉は話を続けた。

 「いかれてなんかいないぞ。まず、お前も覚えているだろ? あの日に見た謎の光を。」

 その言葉の意味を潤は一瞬で理解した。記憶が途絶える寸前に見たあの謎の光、潤の日常をあっという間に変えたあの謎の光。

 潤は、段々と小泉の言葉の意味を真面目に考え始めた。

 「あの光は、どこからか出現した隕石だったんだ。それが、日本に落下...人類の九割が全滅したんだ。」

 小泉の話を聞いていくうちに潤の頭は割れそうだった。あまりの情報量の多さに処理が追いつかなかった。

 小泉は、話を続けた。

 隕石の衝突で人類はほぼ滅び、生き残った科学者たちにも原因を調べる力は残っていなかった。

 そんな中、ある研究者が、生存者の中に“特別な力を持つ七人の若者”がいることを発見する。

科学者たちは世界中から集まり、七人を必死に捜索。

ようやく見つけ出したものの、彼らは隕石の衝撃のせいで全員が意識不明だった。そこで科学者たちは、七人をコールドスリープにし、未来を託すことを決断したのだった。

 「ということだ。わかったか?」

 小泉の説明をなんとか理解した潤。しかし、色々とツッコミどころがあり、それを追求した。

 「な、なんで意識不明の俺らをコールドスリープにしたんだよ・・・より一層目覚めなさそうじゃねえか!」

 小泉は、潤の疑問に答えた。

 「当時の人類の状況では完全なコールドスリープは無理だったんだ。なんとか俺達の一命をとりとめるのに精一杯だったらしいしな。」

 小泉の言葉にさらに反論したかった潤だったが、目覚めたばかりだったせいか言葉が出てこなかった。

 「だが、幸運か不幸か・・・残りの五人の生き残りは俺達がよく知ってる奴らだぜ。」

 小泉の言葉に潤はさらに驚いたと同時に嬉しさを抱いた。


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