19. 友情の亀裂
和寿からはとてつもない殺気が放たれていた。力が目覚めた3人のオーラが金色ならば、和寿から放たれているオーラは黒色。
和寿はゆっくりと6人に歩み寄る。
「和寿…一体何が起きたんだ、様子がおかしいぞ。」
和寿の異変は目に見えるものだった。その姿は自分たちに殺意をみなぎらせている、そう感じ取れるものだった。
「俺さぁ、マリンに協力することにしたんだわ。」
和寿の言葉に耳を疑う6人。自分たちの大切なものを全て奪い去ったマリンに協力する和寿の姿を信じることができなかった。
「和寿さん! どういうつもり!」
ユウは声を荒らげた。しかし、和寿はその言葉を無視し6人に向けて手をかざした。
「吹き荒れろ」
和寿が何かを唱えると、手からとてつもない勢いの竜巻が6人に向かって放たれた。
「まずい!」
ヤスは、瞬時に体を鋼化させ竜巻を受け止め、かき消した。 「な、なんだ…あいつは何をしたんだ…」
小泉は、和寿の力をまだ理解しきれていなかった。何かを放つことができる力、それしか見当がつかなかった。
「こんなにも良い力…自分のために使わないともったいないよぁ。」
和寿は不敵な笑みを浮かべた。すると今度は手を上空へかざした。一見隙だらけな体勢、しかし、先ほどの竜巻を見た6人は無闇に和寿に突っ込むわけにはいかなかった。
「炎よ、舞い上がれ」
すると今度は地面から無数の炎の柱が吹き上げ、柱に6人は閉じ込められた。
「な、竜巻の次は炎だぁ!?」
マサオは動揺を隠せなかった。竜巻と炎、全く共通点がないこの攻撃は和寿の覚醒した力を理解することを邪魔した。
なんとか炎の柱を抜けた6人、しかし、再び和寿は言葉を発した。
「沈め、100倍にな」
6人は急に地面に体を打ち付けた。そして、抵抗するが立ち上がることができないほど体が重くなっていた。
1番力が強いヤスはなんとか立ち上がろうとするも腕1本すら動かすことができなかった。そこに勝ち誇った表情を浮かべた和寿が6人に近づく。
「気持ちいなぁ…こんなにもすごい力をお前ら3人は独り占めしてたんだ、こんなになるのも当然だよなぁ?」
和寿の見下した態度、言葉は6人に怒りをこみ上げさせた。
「和寿! 本当に裏切ったのか!」
錦戸の怒りの言葉に和寿はニヤつきながら返答した。
「あぁ、俺のことを馬鹿にするお前らとは違ってマリンは俺のことを認めてくれたからな。おまけに力も目覚めさせてくれたし。」
和寿の開き直った態度に怒りを抑えられない6人。そして小泉翔は和寿に先程から抱いていた疑問を投げかけた。
「和寿…お前の力…一体…」
和寿は今度は高らかに笑いながら返答した。
「はははは! 俺の『超具現世界』は、発した言葉をなんでも具現化させてくれるんだよ! まぁ、直接死なせるような言葉は自分の寿命を大幅に削るようだからあんまりやらんようにしてるけどな!」
6人は明らかになった和寿の力に怒りの中絶望した。言葉をなんでも具現化する力。そんなもの立ち向かう方法が思いつかなかったからだ。自分たちの攻撃も防御も力も全て無効化されるのかもしれないという考えがよぎった。
「俺を認めてくれたマリンのために、すこーしだけ我慢してくれや。」
和寿は6人に手を伸ばした。




