18. 心の隙間
和寿の頭の中に、マリンの声が響き渡る。その声は、頭痛を伴うほど激しいものだった。
「和寿さん、あなたは立派な人間です。あの6人の異常者と一緒にいてはいけません。」
マリンは、和寿に優しい声を掛けていた。
和寿は、それがマリンの罠であると理解していた。しかし、自分に向けられる優しい言葉。聞いてはならないとわかっていても、耳を傾けてしまう自分がいた。
「へぇ、俺のことを褒めてくれるのか。案外優しいんだな。」
和寿は、あえてマリンの罠に足を踏み入れてみた。マリンのこれからの動きを探るためだった。この時までは。
「あんな異常者と一緒にいたら、あなたまで狂ってしまう。私は、あなたと一緒に世界を作り直したいんです。一緒に戦いましょう、和寿さん。」
マリンの甘い言葉に、和寿の心は徐々に心地よさを感じてしまっていた。
しかし、和寿はかろうじて理性を保ち、わずかな反論を返した。
「でも俺は力が覚醒していない。お前の足を引っぱるだけだぞ。」
マリンは静かに答えた。
「大丈夫です。私の力であなたの能力を強制的に解放します……あなたの力は7人の中で一番優れているのだから。私はあなたを信じています。」
その言葉を聞いた瞬間、和寿は、心のどこかでついにマリンを許してしまった。
本来なら金色の光に包まれるはずの覚醒。しかし、和寿を包んだのは、黒い雲のような禍々しい気配だった。
その闇の中で、和寿の身体は若かりし頃の姿へと戻っていく。
「すげぇ……あいつら、こんなすごい力を独り占めしてたのか……俺だけを……残して!!!」
和寿の心は、完全に6人への恨みと憎しみに染め上げられた。
マリンの力によって、あらゆる言葉を具現化する能力『具現世界』が強制的に解放されたのだ。
「私はあなたを支えます……私のために、あの6人の異常者を倒してください。」
マリンの甘く危険な誘いに、和寿は短く答えた。
「いいぜ。待ってろよ。」




