17. 羨望
小泉は、詩のようなものを見つけることができたが、それが何を示しているのか理解できなかった。それは他の者たちも同じだった。1人を除いて。
「待てよ…それ、俺の通ってたラスケ中学の校歌の一部だ!」
潤は、その詩に聞き覚えがあった。3年間歌い続けてきただけに、300年経過した今でも忘れずに覚えていたのだ。
目的地が特定できた7人は、ラスケ市へ向かう決断をした。しかし、アサヒ町からラスケ市までは距離があり、歩いて向かうにはあまりにも時間がかかりすぎる。
「俺の力なら1人でラスケまで一瞬で行けるが…7人同時となるとさすがにきついな。」
マサオの高速移動でも、7人をまとめて運ぶには限界があった。7人は必死に移動手段を考えたが、良い案は浮かばなかった。
「仕方ない…今日は一旦休もう。あそこにデパート併設のホテルがあったはずだ。地下ならまだ残ってるかもしれない。」
ヤスは、1日に何度も戦い続けた仲間の体を気遣っていた。
潤達は、ヤスの案内に従い、ホテルの地下へと避難した。300年経過したとはいえ、わずかに人が生活できる程度の環境が残っていた。
片桐潤たちは、横になった瞬間、すぐに眠りについた。それほどまでに体力を消耗していた。
7人が休み始めて3時間ほど経った頃、和寿だけが目を覚ました。
「俺だけか…あぁ、体が痛い。」
布団も毛布もなく、冷たい床に直に寝ていたため、節々に痛みが走る。
そんな中、力に覚醒した3人の姿を見て、和寿は深いため息をついた。
「なんで俺はまだこんななんだよ…」
覚醒した力を持つ仲間を羨む気持ちはまだ収まっていなかった。
外の空気を吸おうと地上に出ると、荒廃した景色が広がっていた。和寿はその光景を見て思わず呟いた。
「こんな世界も悪くないんだよなぁ」
まるで荒廃した世界そのものを楽しむかのようだった。
その時、突如として激しい頭痛が襲った。頭を抱え、うずくまる和寿。
「なんだ…頭の中に誰かが話しかけてる!?」
その声に覚えがあった。マリンの声だった。
7人が眠り始めてから5時間ほど経ったころ、ヤスや翔が次々と目を覚ました。そして、和寿の姿が見当たらないことに気づいた。
「あいつ、どこへ行ったんだ…まさか一人で外に?」
錦戸だけでなく、他の5人も胸騒ぎを覚えた。6人は急いで地上に向かったが、周囲を探しても和寿の姿はなかった。
「俺が今、和寿の場所を特定する。」
小泉は、力を解放し、和寿の位置を探った。
和寿の視点で風景を見ることができた。しかし、そこには小さくだが自分たちの姿が映っていた。
「これは俺たち…? まさか、まだ近くにいるのか?」
小泉は映った景色の位置から逆算し、和寿のいると思われる方向へ5人を案内した。しかし、歩を進めるほどに体が重くなっていく。
「なんだこれ…体が重くなってきたぞ…」
錦戸は異常を感じ取った。それは他の5人も同じだった。
「これは恐らく…何者かの殺気だ。だがこの方角は…」
ヤスの胸騒ぎは大きくなる一方だった。
そして、ついに目の前に和寿が姿を現した。
「和寿! 心配した……なっ!?」
6人は、かつての若かりし頃の姿に戻った和寿を見つけた。




