14. 闇の中の決意
小泉は闇の中を漂っていた。そこは何もない空間、ただ真っ黒な色しかない空間だった。
「なんだここは・・・」
小泉は手を伸ばせどなにも掴むことができない、何もないのだから。小泉はふと気がついた。記憶がなくなっていた。
「ここはどこだ、俺は一体・・・」
小泉がそう思ったとき、言葉が聞こえてきた。
「だいたいあんた何なんだよ!」
正太の声だった。
「みんな、小泉さんに悪気があるわけじゃないですよ。」
「小泉さんおかしいですよ!!」
「おれ、ミサと付き合うから」
様々な声が聞こえ、小泉はその言葉に心を押しつぶされそうになり、吐き気すら催した。聞いたことのある言葉、思い出したくもない言葉、徐々に小泉は記憶を取り戻していった。
「やめろ・・・やめてくれ・・・うわあああああああああああ」
小泉は耳をふさいでも聞こえてくる言葉に身も心もボロボロになっていた。その言葉は、身体にも影響を及ぼし、小泉は体中から出血も起こしていた。次第に小泉は闇の空間の中でも意識が遠のいていく。
「俺は・・・もう・・・ダメかもしれない・・・」
その時、小泉の耳に違う声が聞こえてきた。
「小泉ぃ、遊ぼうぜー?」
その声に小泉は、意識を少し取り戻した。その声は錦戸だった。それだけではなく、6人の声が聞こえてきた。
「部長、野球見よう!」
「小泉、また遊ぼうな」
「気をつけて帰れ~い」
「飯奢ってくれーい」
「部長!こっち来なよ!楽しいよ!」
小泉の意識はその声に完全に呼び戻された。
「なんだ・・・これは、あの時の楽しかった思い出・・・?」
小泉を覆っていた空間は、いつしか、アサヒ町で7人でともに過ごした楽しい日々を映し出すものに変わっていた。いつしか忘れてしまっていた。300年前、アサヒ町から離れ、地元で就職、そこから味わった孤独や後悔によって楽しかった日々を忘れてしまっていた。
「そうか・・・俺は忘れてしまっていたんだ・・・目の前のことに精一杯になっていたんだ・・・でも、俺は1人じゃなかったんだ・・・」
自分の偽りの孤独に気付いた小泉の体が金色に輝き始めた。
「俺はいつまでも守られてばかりじゃない・・・強くなってみせる! みんなを守ってみせる!」
小泉のその言葉と同時に金色の輝きが小泉の体全体を覆った。




