13. 小泉のトラウマ
潤達は、小泉の不完全な力を頼りにマリンの気を辿っていた。
そこに錦戸が何かに気付いた。
「おい、あれはなんだ?」
錦戸の指差す方を全員が目を向けた。そこには見たことがある人影が立っていた。
ユウと正太と同様、見覚えのある2組の男女だった。その姿を見て小泉は絶句した。
「あれは…ミサとオオサワじゃないか…」
小泉の脳裏にまた残酷な過去がよぎった。
かつて小泉が思いを寄せていた女性、その事を知りながらもその女性に手を出し、結ばれた男。その名もオオサワとミサ。
「よお! 小泉、久しぶりだな! 」
オオサワの上機嫌な様子は変わらずらミサの様子も300年前そのものだった。
「はわわわ〜、みんなお揃いで!」
またしても小泉にとって残酷な記憶を作った人物が、マリンによって召喚されていた。
「マリンは…小泉に何か恨みでもあるのか?」
ヤスはそう思わざるおえないと感じた。小泉への個人的な怨念すら感じる人選だった。
しかし小泉は涙目になりながらも、必死に拳を握りしめて耐えていた。
「大丈夫だ…俺は…絶対に負けない...」
小泉の声は震えていた。
だが、その目には悪夢と必死に戦おうとする意思が宿っていた。
「おお、小泉。少しは強くなったな! じゃあこれでどうだ!」
オオサワがそう言い、手をかざすと、黒い霧があふれ出した。その霧はだんだんと人の形に変わり、小泉には信じがたいものになっていく。
「そ…そんなバカな…!」
小泉は目の前の光景に目を疑った。
「俺は人数制限はあるけど、2人までならマリン様と同じ力が使えるんだ。」
オオサワは、制限付きではあるがマリンと同様に記憶から人を作り出す能力を持っていると言った。
作られた存在はマリンの半分ほどの力しか持たないが、7人を痛めつけるには十分だった。
そしてオオサワが作り出したのは、ユウと正太。
「小泉さん、今度こそ覚悟してください。」
「ユウだよ!またまた登場!」
ユウと正太の声を聞いた瞬間、小泉はついに気を失ってしまった。
そこには、ユウ、正太、オオサワ、ミサという小泉のトラウマの再来が広がっていた。




