10.ユウと正太
マリンの作り出したユウと正太は、潤たち7人に襲いかかった。2人の攻撃を避け、間合いをとる7人。ユウと正太から発せられるオーラは、目を覆いたくなるほど凄まじいものだった。
「久しぶりっすね、小泉さん。元気でした?」
正太の言葉は、小泉の脳裏に残酷な記憶を蘇らせた。小泉は全身に鳥肌が立ち、冷や汗をかき始めた。
「小泉さん、相変わらずだね〜。」
ユウの、一見空気を和ませるような声色は、小泉にとっては恐怖そのものだった。
「小泉! 奴らの言葉に耳を貸すな!」
ヤスは、ユウと正太に拳を振るった。しかし2人は、紙のように軽々と拳を避け、再び距離をとる。
「くっ…しかし、なんだ奴らの言葉は…頭が痛い…」
小泉の体には確実に実害が出ていた。ユウと正太の言葉には力がある。そんな感覚が7人の胸に浮かんでいた。
「気づいたみたいっすね。俺たちの言葉は、相手の精神に直接ダメージを与えられるんすよ。」
正太とユウの言葉は、相手の心の底に眠る恐怖、不安、罪悪感、それらのネガティブな感情を増大させる力があった。
『精神衰弱』。それが2人の持つ能力だった。
「このままあんた達全員の精神を崩壊させてやるよ。」
正太はふと笑みを浮かべた。しかし気づいていなかった。マサオが歯をギリギリと噛みしめ、握りしめた拳には爪が食い込み、血が滴り落ちていたことに。
仲間を思う友情。人の不幸を嘲笑う者への憤怒。その強い想い、それが、彼の眠っていた力を呼び覚まそうとしていた。




