第6話:地熱の息子と、氷の彼方の旧首都
ルミエールの夜は、魔法の灯り が静かに揺れる。
俺、カイトは、老師ゼンの隠し部屋 にいた。
石壁に刻まれた古い地図。
中央に、巨大な円筒形の装置――地熱炉の設計図。
「カイト。これが、お前の両親 が残したものだ。」
ゼンが、古びた水晶 を差し出す。
中には、二人の声 が記録されている。
記録の再生
水晶が光る。
――ホログラム が浮かび上がる。
「記録者:レイナ・ヴォルト。
地熱炉設計主任。
――カイトへ。
もしこの記録を見るなら、
お前は地熱の脈 を感じているはずだ。
私たちは、魔法大戦の最中、
地上の旧首都 に逃げた。
そこには、太陽の欠片 がある。
――光を取り戻す鍵 だ。」
「記録者:ガイウス・ヴォルト。
地熱炉技術者。
――カイト。
お前は、地熱の息子。
私たちの血 は、炉と共鳴する。
だから、お前だけ が、
旧首都の扉 を開けられる。」
映像が終わる。
俺の目から、涙 がこぼれる。
「両親……生きてる?」
ゼンが静かに頷く。
「不明 だ。
だが、旧首都 には、
生存者の痕跡 がある。」
シルバーフロストの決断
拠点に戻ると、ガルド が待っていた。
「カイト。旧首都 へ行く。
――太陽の欠片 を取り戻す。」
リナが地図を広げる。
「距離は北へ50キロ。
極寒の氷の平原 を越える。
道中、氷の亡魂 の巣がある。」
エルムが杖を握る。
「設計図のデータから、
太陽の欠片 は、
魔導兵器のエネルギー源 だった。
――光を再現 できる。」
俺は拳を握る。
「行く。
――両親に会うため。
ルミエールに光を取り戻すため。」
新装備と旅立ち
鍛冶屋。
バルドじいが、折れた短剣 を再鍛造。
――地熱短剣・改。
刃に、両親の魔法回路 が刻まれる。
「これで、地熱を斬れる。」
ミオが、芋の保存食 と ネズミの干し肉 を詰める。
「カイト……死なないで。」
涙をこらえる笑顔。
俺は、芋の皮マフラー を彼女に返す。
「預かっててくれ。
――光を持って帰る。」
氷の平原
地上。
雪嵐 が吹き荒れる。
視界は5メートル。
――氷の亡魂 の咆哮が響く。
「カイト! 右!」
リナの声。
俺は短剣を抜く。
――地熱の刃 が、赤く光る。
亡魂の氷の腕 を、一閃 で断つ。
「すげえ……!」
ガルドが笑う。
「お前の血 が、武器を覚醒させた。」
ローブ集団の首魁
平原の中央。
――黒い要塞。
ローブ集団の本拠。
中央に立つのは、
黒ローブの男。
――元・魔法大戦の将軍、ヴェルム・クロウ。
「シルバーフロスト……
太陽の欠片 は、我々が支配 する。」
ヴェルムが手を上げる。
――魔導兵器の残骸 が、起動。
巨大な氷のゴーレム が、立ち上がる。
「カイト! 地熱短剣 で、核 を狙え!」
ゼンの声。
俺は走る。
――地熱の脈 を感じる。
ゴーレムの胸に、赤い核。
「うおおおお!」
短剣を突き刺す。
――爆発。
ゴーレムが崩れ、要塞が揺れる。
ヴェルムが、血を吐く。
「地熱の息子……!
だが、旧首都 には、
真の闇 が眠る……!」
――逃走。
旧首都への道
要塞を突破。
――氷の彼方 に、
光の柱 が立っている。
――旧首都の位置。
ガルドが肩を叩く。
「カイト。
――お前の冒険は、ここからだ。」
俺は、地熱短剣 を握る。
「行く。
――両親に会う。光を取り戻す。」
魔法の灯りは、遠くに消えた。
代わりに、雪の向こう に、
微かな光 が揺れていた。
――次は、旧首都。そして、真実へ。




