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第六幕 雷牙との邂逅

夜の帝都は静まり返り、月明かりだけが石畳を照らしていた。

 巡察を終えたエリナは一人、無言で歩を進める。


 その時、不意に風を裂く重い気配が背後から迫った。

 振り返ると、獣人の巨躯が槍を肩に担ぎ、石畳を踏み割って立っていた。


「ほぉ……これが“帝国最強”と呼ばれる女騎士か」


 現れたのは獣王国の戦士――雷牙。

 鋭い眼光と獰猛な笑みを浮かべながら、大槍をわずかに傾ける。


「噂より華奢だな。だが安心しろ、俺は男女は関係なく殺す」


 エリナは即座に剣を抜き、刃を月光にかざした。

「帝国の地で騒ぐ輩を放ってはおけないな。獣王国の戦士よ、ここで退く気はないのか」


「退く? ははっ、冗談だろ。俺は雷牙だ。狙った獲物は逃さねぇよ!」


 次の瞬間、槍が唸りを上げて振り下ろされる。

 石畳が砕け、破片が宙に飛び散る。

 だが、エリナは滑るような動きでかわし、剣を閃かせ反撃した。


 火花が散り、刹那の間に数度の応酬。

 互いに一歩も引かぬ攻防ののち、雷牙は槍を引き戻し、豪快に笑った。


「やっぱり強ぇな! 帝国最強の名は伊達じゃねぇ。だが次は軍を連れて来る。その時は、お前の首を落として帝国の剣を折ってやるぜ」


 その言葉を残し、雷牙は夜の闇に溶けるように姿を消した。


 エリナは剣を収め、月を仰ぎながら小さく息を吐く。

「……次の獣王国との戦いは、少し手こずることなりそうだな。」


 その後しばらく巡回していると、騎士団ギルドにある訓練所の前にまだ来た。中を覗くと、汗だくになりながらも剣振るう晴翔の姿があった。

「……あやつがどう動くかで、未来は変わるかもしれない…か」


 そう呟き、エリナは再び歩みを進めた。

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