表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4話 みんな大好きステータス

 「勇者様方にはここでステータスを身に宿してもらいます」


 所変わり先ほどの応接室から神殿のような部屋に案内された


 白で統一された広い空間で、ぱっと見は席のない協会のよう。そして、正面の低い階段の上には水晶が置かれた台がある

 御神体のようなものだろうか?ただならぬ気配を感じる。尻の辺りがムズムズするのは、尻尾が変な感じがするということだろうか。…意味不明!


 「ファーオン様からの神託によれば、あなた方のステータスは見れない状態です。ここでファーオン様に祈っていただければステータスを可視化することができます。

 曰く、自分で選んだ職業とスキルを知れる。とのことです」


 『お主らが依頼を達成できるように力を与える。お主らの可能性を見て選択肢与える』


 主神サマが言っていたことを思い出す


 ステータス。ゲームなどで主に使われるキャラの性能を確認できるシステムのことである。ネット小説、主になろう小説などの作品でも使われる手法でもある


 にしてもステータス、職業にスキルかぁ…。大分 なろう じみてきたな。王様の口ぶりから考えるにこの世界はステータスがあるのが常識っぽい。地球から召喚された初代勇者とやらの入れ知恵か?それとも元からあったのか?


 「あのー!ステータスってなんですかぁー?」


 クラスメイトの女子が声を上げる


 「あぁ…。よくお聞きください勇者様方。ステータスとは、初代勇者とファーオン様が我々人類のために創りこの世界の理としてくださった、自分の実力を可視化することができるものでございます。そう!ステータスはこの世界に生まれたすべての生物に与えられる加護!あたりまえに使えるべきものなのです!

 ファーオン様の加護が与えられているのに使えないなんて!使えなければおかしいものなのです!魔物でさえ使えるものなのです!勇者様ともあろう方が使えないなんて言語道断!一刻も早くファーオン様の寵愛を受けなければなりません!

 さあ!順番にお並びください!」


 うわぁ…宗教やぁ…


 王様の言葉、周りの近衛兵と思わしき人々から漂う雰囲気。カルト宗教味によって自然と顔が歪んでいくことが自覚できる


 なんで…なんで僕にはカルト宗教に縁があるんだよ…嫌だなぁ……


 とりあえず、順番に来てくださいと言われたのでとりあえず出席番号順で並ぶ。ちなみに僕は前の方で心里は真ん中ぐらいだ


 「さあ!この水晶へ手を置きファーオン様に祈ってください!」

 「は、はい。でも祈るって何をしたら…」


 出席番号1番、刈谷(かりや)くんが水晶に手を置きブツブツ何かを言うと、水晶がまあまあの光量で光りだす


 「えっ!?光った!?」


 わっかりやすい非現実にざわめきが広がる


 そして、水晶の上に見覚えのある大きな光る板が出現した


 「それがステータスです勇者様。ご確認ください」


 そう言いながら、王様と近くにいた兵士もそのステータスを見上げる


 列に並んでいる自分も自然と目に入ってきた


_____________________________________

 名前:刈谷 迅

 年齢:16歳

 レベル:1

 職業:剣士

 種族:人族

 HP:150/150

 MP:40/40

 筋力:19  耐久:16

 俊敏:16  器用:11

 魔功:6  魔防:8

 固有スキル:【グラディウス】

 種族スキル:【適応】 【英雄因子】

 スキル:【アイテムボックス】 【鑑定】 【共通語理解(日本語)】

     【剣術】Lv1 【身体強化】Lv1 【戦意高揚】Lv1 【危険感知】Lv1 【直感】Lv1

     【冷静】Lv1 【痛覚軽減】Lv1 【出血耐性】Lv1 【物理耐性】Lv1 【精神異常耐性】Lv1

 称号:【日本人】【異世界の勇者】【剣神の(しるべ)

_____________________________________


 「なんと!?…これは素晴らしい!」

 「種族スキルが二つ!?」

 「これがLv1のステータスか…?常人の倍はあるぞ…!」

 「次代の剣神か!?」

 「スキルの数が多すぎる!」


 「は、はぁ…そんなにすごいんですか?」


 なにやら王様と兵士が驚愕しているが、こちとらステータスの基準もしらんのだぞ?


 「すまない、少し取り乱した。そうそう基準がわからないであろう、新人が最近入っていたよな?来てくれ」

 「は、はい!自分です!」

 「すまないが、ステータスを見せてくれないか?」

 「も、もちろんです!」


 そう言いながら、水晶に手を置きステータスを見せてくれた新人の兵士さん


 もしかしてその水晶、ステータスを拡大表示する機能がついてる?

_____________________________________

 名前:サーシャス

 年齢:15歳

 レベル:1

 職業:剣士

 種族:人族

 HP:120/120

 MP:30/30

 筋力:12 耐久:10

 俊敏:10 器用:9

 魔攻:5  魔防:6

 種族スキル:【適応】

 スキル:【剣術】Lv1 【危険感知】Lv1 【痛覚鈍化】Lv1

 称号: なし

_____________________________________


 …ステータスはあまり変わっていないようだが、スキルの数が段違いだな


 「…スキル以外はあんま変わんないっすね」

 「え!?とんでもない!」

 「基礎が高いと成長した後も高くなるのですぞ勇者様!」

 「さすが勇者様!ファーオン様の使徒よ!」

 「そ、そうなんですか…」


 王様とその側近が怒気迫る勢いで詰め寄り、刈谷くんもわかりやすく引いている


 「ま、まあ!そんな凄いステータスなんでしたら俺たち勇者に期待しといてくださいよ!」


 いや調子よすぎだろ


 そんな感じで前の数人の番が終わり、次は僕の番だ


 なお、前の数人も驚かれていた


 「お願いします」

 「ここに手を置き祈ってください。期待しておりますぞ」


 側近の人のねぎらいの言葉を受けながら綺麗な水晶に手を置き適当に祈る


 (あ~…ファーオン様ファーオン様。ステータスをさっさと見せてください)


 本当に今思いついた言葉を適当に呟くと水晶がほのかに光り、水晶の上に光る板…ステータスボードが現れた


_____________________________________

 名前:大山修一

 年齢:16歳

 レベル:1

 職業:忍(雉衆(キジしゅう)

 種族:狐族

 HP:120/120

 MP:90/90

 筋力:8  耐久:8

 俊敏:19 器用:16

 魔攻:16 魔防:14

 固有スキル:【急所理解】

 種族スキル:【狐の幻術】 【狐火】

 スキル:【アイテムボックス】 【鑑定】 【共通語理解(日本語)】

     【剣術】LV1 【暗器術】Lv1 【忍術】Lv1 【危険感知】Lv1 【悪意感知】Lv1

     【索敵】Lv1 【直感】Lv1 【隠密】Lv1 【冷静】Lv1 【演技】Lv3 【痛覚軽減】Lv1

     【毒耐性】Lv1 【精神異常耐性】Lv3

 称号:【日本人】【異世界の勇者】

_____________________________________


 忍者…僕はなぜこの職業を選んだのだ?あとなんだよ雉衆って


 「なんだこのスキルの多さは!?」

 「忍ですと…!?このスキルの多さにも納得ですな…!」

 「日巫国との交渉が有利に進めますぞ!感謝する!勇者 修一!」

 「あ、ありがとうございました…」


 顔が近くて勢いがすごいので素早く水晶の前から退いた。とりあえずステータスは後でじっくり見るとして、今はステータスを身に宿し終えた他のクラスメイト達がいる壁際に行く


 にしても、みんな浮かれすぎではないか?


 壁際にちょうどいい高さの…塀?があったためそこに座りながら、順番待ちをしているクラスメイトを見る


 事実ステータスを見れるようになった刈谷くんはまだステータスを見れないクラスメイトに自慢に行っているし、並んでいるクラスメイトも先ほどの不安そうな雰囲気はどこえやら、ワクワクしているように見える

 落ち着いているように見える人は少ない


 …はは、自分は違うって厨二病かよ


 「ちょっといいかしら」


 急に声を掛けられ声の主を探す。僕に声を掛けたのはクラスの…ギャル?である屑川 いな(くずかわ いな)さんである。


 女子にしては長身で、出る所は出て引っ込む所は引っ込むといったスタイル抜群な人だ。隠さず言えばボン!キュッ ボンな人である。


 そういった所が目立つだけで、僕が邪な目で見てるわけじゃないからな!


 髪はツインテールで、目は昔の僕のように光が灯っていない

 これが彼氏さんの前ではランランと光るんだがな


 「どうしたんですか?屑川さん」

 「別に敬語はいらないわよ」


 彼女は僕の隣に塀に腰を掛け、優雅に足を組んだ


 「そう?それで何の用?」

 「いや、今の状況がおかしいと思ってね。こちらが勇者とかいう特別な存在だとしても、一国の王が高校生に敬語?相手の手の上のような気がするのよね。なにより、それにカルト宗教味を感じるわ」

 「相手は一国の王だよ?手の上なのはみんな覚悟済みじゃないかな?それに、本物の神がいるような世界だから宗教思考が強いんでしょ」

 「カルト宗教には嫌な方の縁があってね。…あなたもそうなんでしょ?」


 へぇ…類は友を呼ぶとはよく言ったものだな。屑川さんも宗教絡みで良い思い出がないってのは初耳だな


 「間接的に、だけどね。それで?」

 「なに、その内この国の裏側を探ろうと思ってね。あんた【忍】なんでしょ?」

 「危ないことには近づかない方が良いと思うけどね。まぁ相談くらいには乗るよ」

 「そう…あら彼女さんが来たみたいだから私はもう行くわ。大事にしなさいよ」

 「もちろん。屑川さんも彼氏さんは大事にしなよ」

 「はぁ!?彼氏じゃないんですけどぉ!?」

 「はいはい」


 わざとらしく地団駄を踏みながら去っていく屑川さん


 なんだったんだ?


 「ただいま修。…今のは?」


 表情や態度には出さないが、内心困惑していたら目の前に綺麗な灰色のケモ耳を揺らしながら立っていた心里に声を掛けられた


 「おかえり。さぁ?なんか国の裏側を一緒に探ろうって誘われたけど断っておいた」

 「ふ~ん…そうだ。私【侍】だって」


 そう言いながら、自分のステータスを見せながら隣に座る心里

 僕のステータスも見せながら、心里のステータスを見させてもらう

_____________________________________

 名前:川城心里

 年齢:15歳

 レベル:1

 職業:侍

 種族:人狼族

 HP:150/150

 MP:35/35

 力:19   耐久:9

 俊敏:20  器用:14

 魔攻:3  魔防:9

 固有スキル:【トランスフィクシオ】

 種族スキル:【部分獣化】【月下祝福】

 スキル:【アイテムボックス】 【鑑定】 【共通語理解(日本語)】

     【剣術】Lv1 【身体強化】Lv1 【危険感知】Lv1 【悪意感知】Lv1 【直感】Lv1

     【冷静】Lv1 【痛覚軽減】Lv1 【出血耐性】Lv1 【物理耐性】Lv1 【精神異常耐性】Lv3 

 称号:【日本人】【異世界の勇者】【剣神の標】

_____________________________________


 「ほうほう…力と耐久が僕より高くて…魔法系はあんまりっぽいね」

 「修は魔法の所が私より高い」

 「イメージ通りの侍のステータスだね」

 「…忍者って感じ」

 「んで、この称号の【剣神の標】ってなんだろ?」

 「さぁ?…剣神って人に聞かなきゃわからない」

 「まあ、とにかく強そうだから良かったよ」

 「ん」


 尻尾をお互いの膝の上に置き、わしゃりながら情報交換をしていくが疑問が残る。称号もそうだが、心里や刈谷くんの固有スキルは何故かなんか意味がわからないカタカナなのか。


 まあそのうち説明されるっしょ!

――――――――――――――――――――――――――――――

TIPS ステータスとは?


 昔のまた昔、神話の時代に召喚された日本のオタクが主神ファーオンと共同開発した理

 自分の職業に対する総合的な技術力や強さなどの確認方法

 なお、その日本のオタクが後の”初代勇者”である

――――――――――――――――――――――――――――――

TIPS 称号【異世界の勇者】


 危機を迎えた世界を救うべく異世界から来た勇者のごとき力を持つ者に送られる称号

 称号とはいえ勇者は勇者である。神の力を受け取った勇者は一般人とは違う成長をする

 今回の勇者は特に力を入れているようであるな

 【精神異常耐性】は【恐怖耐性】や【ストレス耐性】などの耐性系スキルの上位スキル、【物理耐性】や【痛覚軽減】も同じく上位スキルである

 こんな年端も行かない子供に何を期待しているのやら

――――――――――――――――――――――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ