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8-1

新章となります。

カインがいよいよギルドにて己の今のちからを試すことになります。

 廊下を通った誰かの足音でカインは目を覚ました。

 一度も目が覚めず、十分な睡眠を得たおかげで身体は快調であった。

 ベッドから飛び起き、外していた装備を身に付ける。

 スネアからもらった武器を身に着けようと置いておいたソファを見ると、知らぬ間に服が置かれていた。

 書き置きも何も残されていないが、一先ず着てみる事にする。

 つぎはぎと糸のほつれが随所で見られるみすぼらしい服装を脱ぎ、上着を着る。

 思いの外、サイズは程よく、身体を捻ったりしても動きやすい。

 ついでにと下着も着替え、廊下へと出た。

 左と右、どちらも突き当りが見えるためどちらに行くべきか悩むが、左の突き当りから良い香りがしたのでこちらを選ぶことにした。

 上下共に着替えたのはいいが靴はそのままで、痛み汚れた木靴が台無しにしている。

 カインは服装について拘りは一切もたないが、流石にこれはいただけないと感じた。

 突き当りにつくと、匂いは右からやってくると鼻が教えてくれた。

 それを信じて進むと、僅かに空いている部屋の一室から白い煙が漂う姿が見えた。

 煙はカインをまるで手招きでもしているのか、こちらに向かって永遠とドアから生じている。

 昨晩は飯を抜いてしまったせいか腹はその分を取り戻そうと力強く鳴って、空腹を訴えた。

 カインはゆっくりと足音を立てないよう静かにすり足の様に廊下を移動する。

 幸いにも分厚い絨毯のおかげで踏み降ろした時の衝撃音は布に吸収され、音は一切といっていいほどでない。

 着実に距離を詰めながら進み、やがてドアの手前までやってきた。

 漂う煙を手で仰いで嗅ぐと、肉の香りがした。

 今度はドアに耳を立ててやれば、働く男たちの声と煮る、焼く、揚げるの代表的な調理音が聞こえてきた。

 厨房で間違いはないが、何を作っているのだろうか。

 カインは僅かに空いた隙間に近づいて中を確認しようとしたが、唐突に肩を叩かれた。

 驚いて飛び上がり、勢いよく振り向く。

 召使いであった。

 眉を八の字にして呆れた表情で腰に手をあてるその姿はカインへの失望感からだろう。

「朝食なら別室で用意してありますので、そちらへどうぞ」

 それだけ言い捨てると、カインに見せないようにため息を漏らしながら足早に去っていった。

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