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あれ昨日は投稿したはずなんですけど反映されてないですね。
野盗が出て以降は一度も襲撃は起こらず、商隊は無事に町が見える所までやってきた。
大きな川に接した場所で船の行き交いが頻繁に行われており、カインは思わず見惚れてしまった。
「あんな大きい川、始めてみました」
昼食は各自進みながらとるという決まりらしいので、カインはリッツが手渡してくれたパンを食べ歩きながら御者台の上で優雅な料理をいただくスネアに驚きの声を伝えた。
「ははは。あれは川じゃなくて海というんだ。海は想像もつかないほど大きい。お前の遥か上をいく大きさだ」
海。
カインはその言葉を初めて聞いた。
あんなに水があれば水不足とは程遠い町なのだろう。
カインの村では井戸水が枯れることが頻繁に起こり、その時は近場の川まで数時間かけて汲みに行った事を思い出す。
人一倍、水を汲んできた時には母親がよく頭を撫でてくれた。
今何してるだろうか。
カインが少し哀愁に浸っていると、街の入り口が見えてきた。
ルガの街よりも巨大な防壁が街を半月型に守っており、背面は海が守る。
そして、防壁の内側にはもう一つの防壁が作られており、今まで見たこともない形をしている。
「あれは?」
カインが気になって指をさすと、スネアが頷いた。
「ボドガの街だ。外側はワシらみたいな庶民が住んでおる。そして、内側の方はこの辺り一帯を治める領主が住んでおって、彼の雇う兵隊たちが暮らしておる」
領主といえば、ものすごく偉い人だ。
昔一度だけその名前を聞いたことがあるが、どこでだったか忘れた。
一体どんな人なんだろうか。
「着いたら支部に寄って荷降ろしの作業があるぞ。それから数日の間は街で休んで次の街へ向かう予定だ」
半分聞いていないカインに言い聞かせるようにスネアはゆっくりと話した。
やがて霞んで見ていたが防壁の入り口に並ぶ馬車の隊列がみえてきた。
ルガの時と見た時とはちがい、数が相当に多い。
あまりに長いせいか、離れた場所で野営場所を設置して、順番が来るまで待つ者の姿が見える。
自分達も待たなければならないんだろうか。不安な顔でスネアを見つめる。
「心配せんでええぞ、カイン。ワシらはテティス商会。並ばずとも特別に入れる」
スネアは高笑いをしながら、握る手綱に力を込めていた。