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6-14

 数名の槍使いが大口のモンスターに迫る。

 すかさず気配を察知したモンスターが口を再び大きくあけるとそのまま丸呑みしてやろうかとなる。

 それを合図に他のバルサック率いる護衛ががら空きとなったモンスターの背に槍を突き立てた。

 バルサックの槍が最も深く刺さり、身体を貫通するまでに至るとモンスターはそのまま力なく倒れた。

 そしてトドメとばかりに複数の護衛が何度か槍を突きさす。


「そこまでにしておけ、使える素材まで傷つく」


 誰かが制止させ、確実に動かなくなったことを確認するとカイン含めた待機組に近寄るよう合図をだした。

 カインは一番最後に到着し、今しがた戦っていたモンスターの死骸を見る。

 自分もゴブリンや狼を倒してきたが、それに比べれば強く思える。

 しかし仲間の結束があればほんの数分で容易く倒せるのかと数の力に感心した。


「カイン。お前はこの死骸を馬車まで運んでおけ」


 バルサックはそれだけ言い残すと、他の護衛とともに川沿いに少し茂る林に向かっていった。

 明らかにカインよりも大きな獲物を一人で運ぶには無理があるも、命令された以上従わざるをえない。

 背負えば楽だが、死骸からは血が流れ続けており服を汚したくはない。

 引きずっていこうにもカインの力では動かせず、途方にくれてしまう。

 情けない顔で人形に助けを乞うも手は貸さないとばかりに川の方へと向かっていった。

 

「誰か手伝ってください」


 カインのか細い声に大人たちはみな聞き流し、やるべき使命に懸命に取り組んでいる。

 誰一人、他者を手伝う余裕はなく黙々と仕事をこなしていく。

 未だ血を流し続ける獲物を前に立ち尽くしているが、自分ひとりでやり遂げなければならない。

 何か手立てがあるはずだと、周囲の者の動きから問題を解くための手がかりを探る。

 魚を取るもの、石をひろうもの。

 そうした者たちの中にカインが注目したのは一本の木を切り倒した組であった。

 何に使うのかは不明だが自分たちよりも大きいものをどのように運ぶのか、成り行きを注視する。

 横に倒れた丸太の下に一回り小さいある程度の太さのある枝木を僅かな隙間を作って置いていく。

 並べられるだけやると、二人が丸太を後ろから力一杯おしてやる。

 すると、丸太は枝木の上を進み始めた。

 その速度は非常にゆっくりとしたものであったが、着実に前へと進んでおり、二人の後ろに待機していた者が丸太が越えた後に残った枝木を拾い上げていく。

 拾った枝木は進む方向、丸太が通るのであろう場所へ最初に置いた要領で間隔良く置き、やがては通過する丸太に備えていた。

 カインもみよう見真似でモンスターを運ぼうと考えるも、手元に枝木はない。

 何か代わりになるものはないかと辺りを探すと、休んでいる馬車の内部に麻紐で強く結ばれた薪を見つけた。

 

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[一言] ちょいとブラックじゃね?(;'∀')
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