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6-13

 バルサックがいう窪地を注視する。

 普遍的なものでとりわけ珍しい造りでもなく、カインにはそれのどこが問題なのか理解できないでいた。

 しかし、バルサックには何かが視えているようで部下数人を率き、さらにそこから二手に分かれて窪地の左右に移動した。

 カインに視線を送ってくるのでどうなるかと眺めていると、一人の護衛がこぶし大の石を窪地に投げ込んだ。地面を少し抉る。たったそれだけの事をしただけだったが、目を疑う瞬間が訪れた。

 窪地が揺れ始める。

 局地的な地震が起きたのか、振動はこちらへは伝わってこない。


「来るぞ!」


 バルサックが反対側の護衛に声をかけ、各々武器を抜いた。

 揺れ続けていた振動が収まり、何事もなかったかのように静寂を取り戻す。

 しかしバルサック達は武器を構え、何かを待っていた。

 空気の重たさが皮膚を刺激するような感覚にカインも固唾をのむ。

 

「避けろ!」


 誰かが放った一言で護衛達は一斉にその場から地面を蹴って離れた。

 立っていた場所が一気に崩れ落ち、巨大な口が地中より現れ、地面ごと飲み込む。

 

「出てくるぞ、乱すな!」


 バルサックが指揮を取る。

 再び口が現れ、本体の姿が顕となった。

 体格と口とがあまりにも不釣り合いなモンスターがバルサックたちの前に現れた。

 背丈はずいぶんと低く、ゴブリンよりも小さいそれは決して侮りがたい相手に思えた。 

 モンスターは口を左右に振りながら近づこうとする護衛たちを威嚇する。

 迂闊に寄れば鋭い犬歯が身体を貫き、細かくされた上で丸呑みにされてしまうだろう。

 カインはどうするのか動悸を早めながら見つめる中である点に気づく。

 それは護衛達の武器がみな槍で、長さを活かした戦い方に徹している事であった。

 バルサックも騎乗時に見せたあの槍を構え、モンスターの前をにじりながら出方を伺っている。


「フェイントいくぞ」


 バルサックの次の指示が隊にとんだ。

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[一言] まさかのエンカウント(゜Д゜;)
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