3-7
カインは暫く押し黙り、少女に聞かれないよう牢屋の隅ですすり泣いた。
誰しもが才能があるわけでもない、そんな事実はカインが一番良くわかっていた。
「あんた、ここから出たらどうするの?」
「僕は……」
村に帰りたいとは言ったが、決して本心ではない。
ただの世迷言で、自暴自棄から思わず出てしまった言葉である。
辛さから自分を逃してやるために吐いただけの戯言にすぎない。
「もちろん、冒険者を続けるよ」
「そっ。じゃあ私もあんたの事、手伝ってあげるわ」
「いいの?君にも目標とかあったりして、僕なんかについて来ても」
カインは驚いて立ち上がった。
「まぁ、私も行く宛なんてないのよ。あんたと同じワケあって、飛び出して冒険者になったクチよ」
「へぇ~。意外だった」
少女にそんな理由があったとは。
もう少し詳細を知りたいが、きっと少女が話してくれることはないだろう。
カインが自分から己の事を語ったように、いつか少女も自分から話してくれるだろう。
「言っとくけど、基本的にはあんたが私の手伝いをするのよ。そのついでに私もお返しに手伝うわ」
「ははは……御手柔らかに頼むよ」
カインが一方的に少女の事を仲間だと思っていた事もその言葉を聞き、安心する。
二人は既に仲間であったのだった。