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3-6

「君も知っている通り、僕は田舎の村の出身なんだ」

「知ってるわ」

「その田舎の村の中でも特に田舎の方で、貧しい生活だった」

「あんたの服から何となく察してたけど、やっぱりそうなのね」

「うん……。それで僕の村には旅商が年に何回かやってきて物を売ってくれる。その時、僕は旅商に冒険者の話をしてもらったんだ」


 カインは口調は変えず淡々と語り続けた。

 

「旅商はまだ小さかった僕におとぎ話をするつもりで話したんだと思う。けど、僕はその話を信じて、僕でもなれると勝手に思い描いちゃったんだ。そこから毎日、誰に聞いても分からない剣の扱いを一人で練習してたんだけど、やっぱり独学じゃさっぱりで、君も知っている通りまともに扱えさえしない」

「でもゴブリンも狼も倒せたじゃない」


 少女がすかさず元気付ける。


「僕一人じゃ無理だった。君がいなかったらゴブリンに殺されたかも、狼なら確実に。僕には冒険者としての才能がないのかもしれないって思っちゃって」

「こんな調子で冒険者として続けられるんだろうか」


 カインは天井を見つめ、放心した。

 冒険者としての生き方は己の身の丈にあっていないと今日の出来事で痛感した。 

 単なる農民が夢見がちな物語に釣られ、勢いに任せて村を飛び出たのはいいものの、大した才能も無い上に無理をした結果がこれかと大きなため息をついた。


「村に帰りたいよ……」


 涙まじりの声でカインがうわ言のように呟いた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 力が無いなら、もっと仲間を集めたらいい。 数だって、チカラさ!
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