3-5
「ギルドの地下?」
「二人で来たじゃない。あの建物の地下だとおもうのよ」
「どうしてそんなことが分かるのさ」
カインは少女がまた適当な事でもいっているものだと忌々しく思った。
牢屋に入れられている道理を聞き出すのもあるが、ギルドの地下だと思う証拠を見せて欲しいのほうが勝っていた。
「あそこに壁掛けの松明があるでしょ」
あそことは、おそらくは突き当りで明かりを灯す松明の事だとすぐにわかる。
この辺りの唯一の光でカインはなるべく明るい所に居たい気もちから今は光が僅かに差し込む鉄格子の前へ移動していた。火の勢いは変わらず、燃えて続けているがそれがなんだというのか。
「あるけど?」
「あるけどって……ああ、あんたの所じゃ流石に見えないわよね」
「何かあるの?」
「壁掛けの支えの部分にね、ギルドのマークが描いてあるわ」
ギルドのマーク。
カインはその一言でギルドカードのことを思い出した。
作成した後にどこへ入れたのかさっぱり忘れてしまっている。
「事情を説明したら解放してくれるんじゃない?」
「どうかしらね」
「そんな……」
後ろめたい事などした覚えはない。
「なんだか暇ね」
少女はぶっきらぼうに言う。
随分と呑気なことを言うのだな、とカインは驚いたが少女の性格を思えばいいそうな台詞である。
「あんた何か話してよ」
「きゅ、急にそんな事言われても。第一、僕たちは今捕まってるんだよ?」
「それは分かるわよ。けれども、今の私達じゃ自力でここから逃げるなんて無理よ」
言われなく無い事を言われてしまい、少し心が痛む。
実力不足なのは分かるが、言葉にされると辛い。
ましてや少しばかり共に冒険をした仲間から言われるならば尚更であった。
「ねぇ」
「……じゃあ、僕の話でもしようかな?」
カインは揺れる松明の明かりを見ながら少しずつ自分の事を語り始めた。