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いったいどこなんでしょうか
カインは目の前で眠る金髪の少女が怖くなり、恐る恐る傍を離れた。
「聞いてる?」
「き、きいてるよ。今、牢屋の中にいるみたい」
「あたしだってそうよ。聞きたいのはそうじゃないの」
カインは隣の少女を起こさないよう大声は控え、囁くような声で応えた。
「ん?なんかあんた変ね?」
少女の勘の良さか偶然か、異変に気づかれる。
「何か隠し事してるでしょ?」
「い、いや別に。それよりも君はどの牢屋に?」
「あんたが先に言いなさいよ」
カインは居場所を伝えた。
二人の男女に抱えられて牢屋に入れられたことや手足を縛られていること。
少女も状況を教えれてくれたが、乱暴には扱われず待遇は随分と違っていた。
「僕なんか地面に投げられたんだけど」
「そりゃああんただもの、しょうがないわよ」
少女は笑い声を混ぜながら面白がった。
本来なら怒る所だが、少女の声が聞けただけでカインはそんな事など頭から消え、つられて笑ってしまう。無事で良かった、と胸の内の心配事が一つ消えた。
そして真面目な声色で少女に問う。
「ここがどこだか分かる?」
「……」
少女は急に黙り込んだ。先程まで会話できていたはずが、今の質問で口を閉ざし、まるで質問の意味や声が聞こえなかったかのように黙ってしまった。
言いたくないのか無知を晒したくないのか、カインにはわからずじまいであった。
「言いたくないならいいよ」
同情のつもりで言ったつもりではないが、今の言葉ではまるで少女に後ろめたいようなものが背後にあるような物言いではないかと、言い終えたカインは思い後悔した。
見えるはずもない右端の牢屋を見つめるかのようにカインは視線を横の石壁にむけ、返事を待つ。
空気は既に重いものとなり、吐き出す息でさえ少女の事線に触れてしまうような感覚に罪悪感は既に大きく育っていた。
「そうね、ここはおそらく……」
やっとの思いで口を開いてくれた少女であったが、階段を下る音が聞こえ始めた。
二人はそれに素早く気づき、カインは慌てて取り外せた目隠しを今度は嫌々に被ると、金髪少女の横で眠るようにして横になった。