3-2
海老反りするような形で縦筋に額を預け、どこか引っかかりがないかと頭をゆっくりと下ろしていく。
引っかかりがあればまずは目隠しを取ることができるはずだが、果たして。
カインは上から下へと頭を下ろしてみたが、目隠しはとれなかった。
ならばと、正面からではなく両側面で試してみる。
右面もだめであったが、左面の途中で逆剥けのようになった場所を事前に見つける事ができた。
「これならいけるかも」
顔を切らないよう慎重に頭を下げていく。
途中で違和感があり、頭を左右に振ると布をひっかくような音がする。
引っ掛かりにあたったらしく、そのまま逆剥けが取れぬよう慎重に頭を動かすと、すっぽりと目隠しがとれた。
日頃使わない筋肉を変な方向で使ったので、筋違いのような痛みで脂汗が出る。
少し悶えた後、痛みが引いたのを確認して返事のない少女と思わしき人物を確認する。
「あれ」
カインは視界が鮮明になったことで違和感を覚えた。
ここまで少女は大きかっただろうか。
ざっと見、カインよりもやや背の高くフードで覆われているので肌までは分からないが、浮き出た肩幅の広さは少女の比ではない。
失礼して被ったままのフードを口で咥えて捲った。
肩で揃えられた綺麗な金髪の少女がカインと同様だった目隠しをされた姿が現れた。
これが少女の姿なのだろうか、カインはまじまじと見つめる。
「誰かいるの?」
突然、誰かの声が聞こえ慌てふためく。
しかし声の主は目の前の少女ではなく、別の牢屋の中からだった。
カインは慎重に、だが、期待を込めて返事をした。
「いるよ!どこにいるの」
カインは声が通りやすいように口を鉄格子の間に入れ、目一杯出せるだけ口を尖らしてから答えた。
返事を待つ間に少女の様子を伺うが、意識を失ったままであった。
「あれ、あんたもしかしてカイン?」
「えっ!」
「やっぱりあんたなのね。どこにいるのよ」
少女の声に驚く。では、目の前の少女は一体だれなのだろうか。