2-8
少し文体を変えてみました。
カイン達は背を低くし、静かに闇夜に紛れるようにして光に釣られる虫のように近づく。
背の大きさやそれらが女性と男性であるとわかる頃には会話も耳に入り始めた。
聞き耳を立てるのは性分には合わぬが、いかんせん素性の知らぬ相手を少しでも知ろうという本能からくるものだったのかもしれない。
「今日は大量だったな」
「ああ狼もだいぶ狩ったし、素材も良い値で売れるだろうさ」
会話から察するに冒険者であることはすぐにわかった。
それに大量という言葉からもベテランと称される程の腕前とみて間違いないだようだ。
カインはさらに近づきたいと思い、歩を進めようとしたが少女が手を握り、制止した。
少女は首を横に振り、ある方向に指をさす。
一緒に休ませてもらえばいいのに、とカインが怪訝な顔でその方向に目を向けると剣や弓が幾つも積まれてあった。
「しかし、この装備。いくらで売れるだろうかねぇ」
「はっ。期待できるほど上物じゃねぇし、まあちょっとした飲み代ぐらいにはなるだろ」
冒険者たちは高々に笑いあいながら、積まれた剣や弓を手にとり怪しく笑った。
カインはなぜ装備を売るのかあまり理解できないでいた。
少なくともカインのものより上物ばかりで、売るには勿体ない。
少女が見入るカインの横腹を小突き、負傷した肩をわざと掴むとだいぶ離れた位置にまで連れてきた。
「あそこじゃとても休めないわ」
「どうして?とても強そうな人だよ?」
無邪気な顔で不思議そうな顔をするカインに呆れた今日一番のため息が少女からでた。
「あのねぇ。あいつら、やばいやつらよ」
「まあモンスターにとってはそうかもね」
軽い冗談のつもりだったが、少女の真摯で戯言を言うような表情ではなかった。
カインは少し怖くなって、口を閉じた。そして、再び遠く離れた焚き火をみつめる。
少女の言う意味をしばし考えるも、理解はできないでいた。
大量の武器がなんだというのだ。
「あれは盗賊よ」
「盗賊?」
「あの武器はあいつらのものじゃないわ。きっとそう。ここを通る冒険者たちから奪ったものよ」
どうしてそんな事がわかるとカインは彼らの味方ではないが、彼女に異を唱えようとしたが、カインもなぜ自分が擁護みたいな真似をしなければならないのかと憤る気持ちを抑えた。
「じゃ、じゃあ。彼らは冒険者じゃないってこと」
「ええ。あたしには分かる。だってあの武器――。
少女が続きを言おうとした瞬間、少女の脇腹を何かが強く叩き込まれ、うめき声を上げる前に何者かが口を手で抑えた。
カインは咄嗟の判断で距離をとるも、すぐさま背後に回られ首の根元を手刀の一撃をもらい、水面に浮く油のように湾曲した視界で意識を失った。
タイトル間違えました、申し訳ない。
修正しました。