0-3
0-3になります。
まだ走り始めたばかりですが、この調子で毎日更新したいと思います
引き続き、ご声援よろしくおねがいします。
「おう、こっちだ」
御者が馬車を探すカインの姿を見つけ、手を振って呼んだ。
カインは見慣れた幌馬車を見つけ、安心した様子で駆け寄るとすぐに御者台に座った。
「大分進んだね」
「まあな。朝から待ってるんだ、もうそろそろだろう」
並び始めに比べ相当前に進んでいる。
遠くで見えていた人の形も今はそれが守衛であり、身につける防具が鉄製であったことがわかる。
だがしかし、依然として列は続いており、昼をすぎる事は明確であった。
口調は平静だが、少し苛立つ御者の隣でカインの腹が鳴る。
カインが慌てて両手で腹を隠す姿に御者が呆れた様子でため息を吐く。
「ちょっと待ってろ」
「う、うん」
淡い期待で恥ずかしそうにしていると、御者台の下に隠してあった私物の入った箱を漁り、硬そうなパンを渡してくれた。他にも長持ちしそうな干し肉やカビ臭いチーズも付け加えてくれる。
「これぐらいしかなかった。ちょっとはマシになるだろう」
「ありがとう」
料金を支払おうとしたが手で遠慮されたので、ありがたくいただく事にした。
顎を酷使しながら腹を満たす中で検問所から数騎、騎士達が出陣していく姿が見えた。
待ち列に並ぶ誰しもが目を向ける。
騎士達はそれなりの速度で進むが、菱形の陣形を乱すこと無く先頭を行く、くせのある立派な鳥の羽根を甲冑につけた隊長とみられる人物に従い進む。
「あれは?」
「王国の騎士だろうな。稀にだが、ここみたいな遠い街にもやってくる」
「あれが騎士……」
旅商は冒険者の話をしてくれたが、魔術師や騎士の話もしてくれた。
騎士というのは冒険者の一部だと当時は思っていたが、成長する中で別の存在であることを知る。
そんな騎士が今しがた目の前を駆け抜けていった。
御者は稀にといったが、その瞬間に立ち会えた幸運を喜んだ。
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