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2-3

災難の次は災難。定番です

 果たしてこちらで良かったのだろうか。

 道は次第に悪化していき、遠くで獣の目らしきものが草木の合間から覗かせて光らせている。

 幸運な事は道が途絶えることはなく、荒れていてもハッキリと道筋が判別できることぐらいであった。


「こっちよ、こっち。絶対にこっち」


 自分に言い聞かせるように少女は顔を食い入るようにして前へと突き出し、お構いなくに進む。

 やはり怖いのだろうか杖にすがるようにして両手でしっかりと握りしめ、周囲に目を配らず前だけを見据えて進む姿にカインは道の事よりも少女の方を恐れはじめていた。

 


「あとちょっとで街なんだから」

「そ、そうかもしれないけどさ。少し休ませて」


 カインは別れ道からずっと早歩きで少女のあとを追っていた。

 昼間の件もあり、少し休めたとはいえ疲労は蓄積しており、体は正直で疲れは抜けていない。

 ふくらはぎも痛み始めており、少し立ち止まって休める時間が欲しい。


「あんたもう疲れたの?」

「きみは平気なの?」


 少女が立ち止まり、こちらに振り向いた。

 少女もカインと同じく疲れた様子で肩を上下させながら呼吸を荒らげていた。

 年端のいかぬ男女が森でそれも夜な上に道順すら分からぬというのは心を不安にさせるには十分である。


「やっぱり休もうよ」


 カインは少女を諭すかのように言うと、自身は道のすぐ傍の木陰に腰を下ろして、一息ついた。

 その姿に何も言わないが素直に従い、隣の木陰に座り、背を木陰に預けた。

 両者とも何も言わず、息を整えることに集中する。

 森の中は獣と梟が思い思いに鳴き続け、近場では虫の音が聞こえてくる。

 街へ来て初日になるが、ここは故郷の村と変わらない。

 カインは少しだけ家族や村の人達のことを考えようとしたが、少女が立ち上がった。


「あんた、すぐ立てる?」

「どうしたの?」


 少女の体が震えており、道の先を指さした。

 小ぶりながらも狼がこちらに歯を剥き出しにして威嚇している姿を光球が映し出した。

 

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