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案の定、迷いました
「ねぇ、こっちであってる?」
辺りはすっかりと闇に覆われ、夜空は星と月が支配する世界に完全に変わった。
自分たちを照らすのは少女の光球のみで先ほどからどうも同じ道を回っている気がしてならない。
なにか目印を付けるべきなのだが、少女が意地となっているためなかなか言い出せない。
「うるさいわね。絶対こっちよ」
「同じところを歩いてる気がする……」
「文句があるならあんたが前にたちなさいよ」
少女は腹を立て歩を早めた、カインとの距離が次第に離れていき暗闇の中に取り残されるのではないかとカインは慌てて後を追った。灰色のローブがゆらゆらと揺らしながら、獣道のような場所へと入った。
どこかしこに低い唸る声が聞こえ、狼の遠吠えらしきものが森に木霊する。
「まったく街は一体どこなのよ」
少女が小言を呟くのを聞き、カインは既に手遅れであると悟った。
なかなか言い出せなかった自分にも落ち度はあるが、と過ぎた事を考えながら背を追って進むと、急に少女が立ち止まった。
「ど、どうしたの?」
「分かれ道よ」
見ると、左右に道が伸びている。
案内板は何も無く、どちらとも激しく荒廃した道であった。
「どっちにする?」
「わかんないわよ」
今なら引き返せる、カインは少女に提案しようとしたが、どこで拾ったのか腰ぐらいの高さの枝木を地面に立てると、静かに手を離した。
枝は右寄りのほうへと倒れ、少女はそちらを見つめた。
「こっちよ」
「えぇ……」
「なによっ置いていくわよ」
少女の決定は覆ることはなく、二人は右の道へと進みはじめた。
こちらが正解だったかなど、今は誰にもわからないが道はたしかに出来ている。
信じる以外、二人には判断材料はなかった。